リュウガ
登場:原作(105〜109話)TVアニメ版(73〜77話)
ラオウ外伝、トキ外伝、ジュウザ外伝、他
肩書:拳王軍の将軍 ユリアの兄
流派:泰山天狼拳
CV:堀 秀行(TVアニメ版)
松原大典(天の覇王)
森岳志(北斗無双・真北斗無双)
阪口大助(ユリア伝・少年期)
加瀬康之(リバイブ)
身体データ
身長:190cm
体重:105kg
スリーサイズ:130・92・106
首廻り:46cm |
拳王軍の将軍。
泰山天狼拳の使い手。
ユリアの実兄で、
ジュウザとは母違いの兄。
天狼星を宿星に持つ。
この世を平定できるのは
ラオウの恐怖による統治だけだと信じ、拳王軍に参加。拳王の留守を預かり、伝説を汚すであろう兵達を粛清した。そんな中、
とある村で遭遇した
ケンシロウにラオウと同等の器を感じ、自らの力をもって見定めることを決意。帰還したラオウに、ケンシロウとの戦いを臨み、許可を得た。
時代のために魔狼となる覚悟を決め、余命少ない
トキを襲撃し拉致。ケンシロウを
自らの居城へと誘い込み、怒りによって本気を出させることで、その真の力を実感。時代はラオウよりケンシロウを望んでいること、そして妹ユリアの目に間違いは無かったとを確信し絶命した。
尚、ケンと闘う前に既に割腹しており、それが直接の死因となったらしい。
TVアニメ版では、一度ケンシロウに勝負を申し込むも、闘う理由がないとして逃げられるというエピソードが描かれている。また、初登場の際には、廃墟と化した
サザンクロスを訪れ、ユリアの墓に花を手向けている。
『ラオウ外伝 天の覇王』では、
リュウロウと戦いでラオウが鬼に目覚めのを機に、拳王軍へと参加。一切の情を捨てた鬼と化し、ラオウの悪評のすべてをを自らが被る覚悟で覇権に貢献した。
レイナと共に
サザンクロスへと赴れた際には、義理の弟であるジュウザと対面。KINGの正体が
シンであること、そのシンに連れ去られたユリアが城から身を投げた事、そしてケンシロウとシンの対決が目前に迫っている事を知り、
拳王府に帰城してラオウにその事を報告した。
冥王軍の討伐に赴いた際、敵の罠にかかり、
ガイヤの
黒山陰形拳を被弾。瀕死の負傷を負い、砂漠へと捨てられたが、一命は取り留めた。尚、リュウガ軍の兵長には
ザクが据えられている。
アニメ版では、
鉄帝ジャダムに不覚をとりかけた所を
サクヤに救われ、その謎の力も目撃。ガイヤにやられた後、サクヤが使っていたのが同じ黒山陰形拳であった事を拳王に報告した。
聖帝軍との闘いの際には、
ソウガとともに
ユダと拳を交えた。
『トキ外伝 銀の聖者』では、
アミバが動いたのを機に
奇跡の村へと出陣。村に戻ろうとする
トキを足止めし、覇道の妨げになるとして捕らえようとしたが、怒りを解放したトキに歯が立たず、
新胆中で動きを封じられた。
その後
カサンドラへと訪れ、ケンシロウやユリアが生きていることをトキに報告。北斗を乱世に導くのが己の宿命であり、そのためにもトキには生きていて貰わねばならないと告げた
『ジュウザ外伝 彷徨の雲』では、かつてジュウザがユリアを妹と知って荒れていた時、捕われの身となったジュウザを牢獄から解放。雲が如きジュウザの生き方を尊重し、出奔を手助けした。
拳王軍に入り、魔狼となった後、ある村にてジュウザと再会。拳王に逆らう者としてジュウザに戦いをけしかけ、一旦は追い詰めるものの、その戦いの中で子供の命を救い、本当はその心の中で血の涙を流し続けている事を見抜かれた。
『真救世主伝説 ユリア伝』では、幼き頃、
ダーマに連れられて飛行場に訪れたが、飛行機の墜落を予知したユリアが搭乗を拒んだため、自らも九死に一生を得た。
『北斗の拳外伝 金翼のガルダ』では、
ガルダが
南斗最後の将の居城の場所をつきとめたことを危惧し、拳王に進言した。
彼の印象として最初に浮かぶのは、やはり「謎の虐殺行為」であろう。彼は、村一つを全滅させた。女子供関係なくだ。その理由がイマイチわからない。「ケンシロウが時代に必要な巨木かどうか見定めるため」だということらしい。意味不明である。リュウガがケンの実力を見抜いたからなんだいうのだ。その後生きてケンと共に平安な世を作るためなのだとしたら、100歩譲ってわかる。しかし彼は今こそ確信した!というその3分後くらいに昇天している。死にゆく人間が何を確信しようが、それがなんだというのだ。自分が満足して死ねるためにあの村ひとつは犠牲になったというのか。陰腹したからって許される事じゃないだろう。一体その真意はどこにあるのか。
その前に、彼の強さについて考えてみよう。あの拳王様の片腕を任される、立場上では拳王軍No2にあたるリュウガではあるが、正直冷静に見てみると、本当に強いのかどうかは甚だ怪しい。ケンシロウはリュウガ初登場時の泰山天狼拳の解説でこう言っている。「その拳はあまりにも速く流血の間もなく凍気さえ感じさせるという」。だが、ケンはその泰山天狼拳の奥義である天狼凍牙拳を、なんと足でガードしてしまっている。説明するまでもないが、手の攻撃を上段蹴りでガードするなどというのは異常な事だ。要するに速いと言っても一般レベルでの速さなわけで、ケンシロウクラスにしてみればハエがとまらんばかりのスピードであるのかもしれない。威力にしたって、ほぼ完璧にあたったはずの拳は、指先がちょこっと肩に食い込んだだけであった。あれがレイやシンの拳だったなら、もっと深い傷を負っていた事は間違いないだろう。天の覇王ではそれを補うかのような強さを見せたが、最後はよくわからない不意打ちで瀕死の重傷を負い、出番は終了した。汚名返上とは言い難い。
ぶっちゃけ、拳王様もリュウガの強というよりは、自らの覇道を信じてついてきてくれるその忠誠心と行動力を買っていたのではなかろうか。しかし、彼自身も自分の実力は弁えていただろう。だからこそ覇権を目指さず、巨木であるラオウの下につこうと考えたのだ。
孤独の星という宿命に逆らってでも拳王様に尽くし、時代のための捨て鉢となったリュウガ。誰よりも時代の事を考えていたのは彼だろう。しかし残念ながら彼にはその「時代」を救う力がなかった。覇王となるべき実力がなかったのだ。更に孤独な一匹狼であるが故、味方も居ない。そんな彼に出来るのは、強い主の下で粉骨砕身働く事しかなかったのだ。
そのためには、主の選別は何よりも慎重にならねばならない。まさに彼の人生は、巨木を見極める事のみに全てを注いだといっても過言ではない。一旦はその巨木だと確信し、忠義を尽くした拳王。だがケンシロウに出会い、その決意は揺らいだ。もしケンシロウこそが時代を救える巨木であったなら…。考えた末、リュウガは決断した。村人達、そしてトキを殺す事でケンの本気を引き出そうと。
だが、それはケンの力を計るためではなかった。確実に己が負けるためなのだ。
ケンシロウとの戦いの中で、ケンが巨木ではないと判断した場合。この場合は、問題が無い。リュウガが勝ってもそれはそれでいいし、ケンが勝ってもどうせ後々拳王様に倒されるだけ。
だが、ケンが巨木だと判断した場合、困った事が起こる。ケンが巨木であっても、リュウガに負けてしまう可能性があるのだ。事実、ケンは時代を救う巨木だったのかもしれないが、その割には幾度も負け、時代を救えぬままお陀仏になっていたかもしれない場面が何度もあった。巨木だから負けないという事はないのだ。ケンが本気を出さなければ、その実力はアミバに手こずる程度である。下手をすればリュウガにも負けてしまいかねない。その場合、リュウガは時代を救う巨木を自らの手で刈ってしまうことになるわけだ。だからこそリュウガは、村人の命を奪ってまでも、ケンに本気をださせる必要があったのである。全てはきまぐれのケンの強さの所為だったのだ。
だが例えそうだとしても、時代のためとはいえリュウガが村人達を殺した事には変わりない。しかし、リュウガにとってはそれは当たり前のことなのかもしれない。優先度の違いなのだ。リュウガにとっては時代というものこそが最重要項目なのであって、それに比べれば、天狼の宿命も、己の命も、民の命ですらちっぽっけなものなのである。
ちょっと無茶な説を書いてしまったが、リュウガがどう転んでも死のうとしていたという事に関しては、陰腹を見ても明らかである。そして、その死に向かうリュウガの決意には、拳王の後押しもあったのだと思う。
天の覇王では入閣即片腕となり一部隊を任され、単身サザンクロスへ行くとなれば南斗が相手だとその身を心配されてみたり、ガイヤにやられた時は怒り狂ってソウガ達を呼び戻すなど、拳王様はリュウガの存在をかなり重く考えている。なのに帰城した際にラオウは、ケンシロウと戦いたいというリュウガの要望をあっさり快諾した。これは結構おかしなことである。ウイグルやソウガを失い、レイナも戦線離脱し、拳王軍はかなり戦力が落ちたはず。軍におけるリュウガの重要性は以前よりも増しているはずだ。なのに単身ケンシロウを相手にするという、リュウガの自殺願望的な願いを受け入れているのだ。だが、ラオウにとってはその死こそが、リュウガに与えた「褒美」だったのだ。リュウガは、ラオウの覇権が完成に近づいた今、魔狼の役目に自ら幕を下ろしたのだとトキは言っている。ラオウはそのリュウガの意思をいち早く汲み取り、ケンとの戦いを許したのだ。リュウガが自らのために拳を血で染めているのを誰よりも良く知っていたラオウだったからこそ、その血にまみれた戦いの渦から死という方法でリュウガを解放したのである。
ちなみに、彼のモデルとなったのは、デビット・ボウイ。70年代以降、アメリカのミュージックシーンを騒がせてきたイングランド出身のミュージシャンだ。俳優としても積極的に活動しており、邦画「戦場のメリークリスマス」に出演したことで有名。2016年に逝去している。