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北斗の拳 ラオウ外伝 天の覇王
ストーリー キャラクター 流派・奥義 アニメ版 小説版



北斗の拳 ラオウ外伝


[原案]
武論尊・原哲夫
[作画]
長田悠幸


北斗の拳 ラオウ外伝 天の覇王

は、ラオウを主人公とした北斗の拳の外伝作品。北斗神拳を手に入れたラオウが、修羅の国の幼馴染であるレイナ、ソウガの兄妹と合流し、覇権を目指す物語。黒王号との出会い、サウザーとの闘い、トキをカサンドラに幽閉するエピソードなどを経て、マミヤの村でケンシロウと再会するまでのストーリーが描かれている。番外編として、ラオウの息子・リュウが登場する短編と、女軍師サクヤの物語が後に加えられた。2008年にはTVアニメ化され、テレビ東京系列で放送された。放送開始日、終了日は各局によって異なる。


 現在では数多くの北斗の拳外伝作品が誕生しているが、その先駆けとなったのがこのラオウ外伝だ。拳王様は、原作の中で唯一ケンシロウに匹敵する最重要人物。真っ先にスパイラル作品が作られたのも当然と言える。だが実際、拳王様が外伝キャラに向いているかと言えば、それはNOだろう。何故なら拳王様を主人公とした物語を作ろうとすれば、この「天の覇王」がそうだったように、原作「北斗の拳」とかけはなれたカラーの作品となってしまうからだ。
 本家がケンシロウ単体で動く物語だったのに対し、このラオウ外伝は、ラオウ様だけでなく、拳王軍という「集団」に焦点がおかれている。つまりは三国志のような「戦国モノ」の要素が強い。拳王様が第一に目指していたのは、恐怖によるこの世の統治であり、その先にある修羅の国の平定だった。つまり拳王様にとっての最優先事項とは、領土を拡大してゆく事であり、敵を倒すことではないのだ。だが「北斗の拳」「ラオウ」というキーワードだけで、豪快で鮮烈なバトル漫画を期待する人は多い。多くの読者がそのズレた認識を持っている限り、拳王様の外伝作品が大成功を収める事は無いだろう。故にこの作品は、拳王様を本気で愛している者だけが愉しめる作品であり、私はそれでいいと思う。


 とは言ってもやはり北斗の拳である以上、白熱したバトルを求めてしまうのは仕方のないところ。長田氏の絵は線が少ない分、北斗の拳よりも重厚さに欠けるが、その分大きな動きで迫力を補っている。拳王様の超絶パワーを描ききるには力不足かもしれないが、総じてアクションシーンは上手く、北斗外伝の中で一番だと言っても良いだろう。バトルの内容も、リュウロウ戦やサウザー戦は見応えがあり、特にラオウvsサウザーという夢の対決は、久々に北斗のバトルでハラハラさせられた。が、正直言って他のバトルが盛り上がりに欠けている事は否めない。特に残念だったのは、黒山陰形拳のガイヤ。拳王様自らその拳の詳細をお調べになるなどという伏線を引きながら、結果はひと傷もつけられないまま敗北という惨めなものだった。ラスボス的ポジションである彼にはもう少し頑張ってほしかったが、無敵の拳王様がこんなようワカラン拳法に苦戦してほしくないという気持ちもあり、ファンとしては難しいところである。


 本作で拳王様の脇を固めるレイナ、ソウガの兄妹は、修羅の国から渡ってきたラオウの幼馴染という設定。もともとは「真救世主伝説北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章」にて初登場を果たしたオリジナルキャラクターなのだが、真シリーズを通して思ったほど出番が無かったため、こっちの外伝作品のほうが深く掘り下げられていて面白い。なにより「拳王様は如何にしてあの大軍勢を纏めておられたのか」という以前からの疑問が、この二人の登場によって大分解明されたことが嬉しい。まあ、原作の拳王軍にもっと有能な将が登場していれば、彼等を登場させる必要も無かったと思うのだが・・・。


 本作には原作となった小説版があり、かつてケータイサイト『北斗の拳DX』にて東城太郎氏が連載していた「小説 ラオウ外伝」がそれである。漫画版とは然程違いはないが、リュウロウ編で終了しているので、以降のストーリーは漫画版オリジナルということになる。その部分の制作にも東氏が関わっているのかどうかは定かではない。しかしそれにしたって単行本の巻末に氏の名前があってもよさそうなものだが・・・。

 TVアニメ版は、漫画をベースにした全13話構成。ほぼストーリーは同じだが、ジャギ、アミバ、ウサ、マミヤといったキャラクター達の出番が省かれており、また情けなかったガイヤに代わり、ラスボスのボジションにはサウザーが充てられた。拳王様の声は真救世主伝説シリーズから引き続いて宇梶剛士氏が務めており、殉愛の章の頃から比べるとかなり上達されている。レイナは柴咲コウではない。
 アニメ版の最大の特徴は、やはりサクヤの存在だろう。北斗の拳ではあまりなかった褐色美人なキャラデザインは個人的に100点をあげたいのだが、正直オリキャラのくせにストーリーに絡んで来すぎで、最後のほうはウザさすら感じた。アニメ版に関してはもうサクヤ外伝状態だと言っても過言ではない。でもカワイイから許す。


作品キャッチコピー


漢の名はラオウ。北斗神拳最強の時代、
ただ、天に与えられし己の力を信じ、
一片の悔いも残さぬ生き方で信念を貫く。
若き日のラオウが刻む拳王伝説。
その覇行の全てを、ここに記す―――!!



掲載誌

週刊コミックバンチ

連載開始:231号(06年3月24号)
連載終了:300号(07年8月24、31日合併号)



漫画版 タイトルリスト
第1章 覇王道
第2章 鬼の城
第3章 拳王誕生
第4章 拳王府
第5章 智王の奇策
第6章 黒王谷
第7章 悪魔vs悪魔
第8章 黒王の初陣
第9章 聖帝
第10章 両雄再会
第11章 妖星の罠
第12章 拳王vs聖帝
第13章 捜索
第14章 追憶
第15章 不落の街
第16章 龍帝の最期
第17章 崩壊
第18章 胸中
第19章 奇跡の村
第20章 外道
第21章 兄弟の会話
第22章 監獄の獣・前編
第23章 監獄の獣・後編
第24章 風を聞く森
第25章 救世主
第26章 巨木
第27章 鬼
第28章 天狼
第29章 魔狼
第30章 杯
第31章 KING
第32章 我流の雲
第33章 女の戦・前編
第34章 女の戦・後編
第35章 砂漠の村
第36章 七つの傷の男
第37章 軍師の策
第38章 潜入
第39章 罠
第40章 黒幕
第41章 決意
最終章 蹄

Secret chapte:1 悪魔の血
Secret chapte:2 覇王の魂

[特別編] 女軍師・サクヤ 前編
[特別編] 女軍師・サクヤ 後編



小説版 タイトルリスト
第一話 新たなる王
第二話 わが友、黒王
第三話 聖帝と呼ばれし男
第四話 不落の街―カサンドラ
第五話 トキ幽閉
第六話 救世主ケンシロウ伝説 



アニメ版 タイトルリスト
第一話 わが拳は天のため!
第二話 王は王を知る!
第三話 われに落とせぬ城なし!
第四話 この拳、誰がために!
第五話 相剋の兄弟!
第六話 鬼、目覚める!
第七話 蒼き狼、大地を駆る!
第八話 慟哭、闇に響く!
第九話 女の戦い
第十話 熱砂に砕ける拳!
第十一話 聖帝、現る!
第十二話 いま堕つる拳王府!
第十三話 わが赴くは天の道!