カサンドラ
拳王が支配する不落の監獄。獄長は
ウイグル。「鬼の哭く街」「不落の街」などの異名を持つ。
かつて鬼と恐れられ、悪魔と謗られた凶悪犯たちが哭いて出獄を乞うた街であり、今もウイグルの手にかかって死んだ囚人たちの哭き声が、風を呼び慟哭となって響き渡っている。囚人の中には、各地から集められた拳法家、武道家達もおり、彼らは拳王に拳法の極意書を奪われた後にそのまま収監され、絶望の中で死んでいく。そんな囚人達の慟哭が「鬼の哭く街」との異名を生んだと言われている。
一度収容されると二度と生きて門をくぐる事は出来ないと言われ、また逆に何人にも落とされた事はなく、不落伝説に挑戦せんと訪れた者達は、門番である衛士・
ライガとフウガや、獄長ウイグルの前に、悉く葬られている。獄内にある墓地には、ウイグルに挑んで返り討ちにあった者達と、その時の賭けで処刑された囚人達が眠っていると言われる。
円状に街を囲む高い壁によって外界と遮断されており、その中央に聳え立つ頭一つ高い監獄塔の中に、北斗の次男・
トキが収監されている。その獄舎への道は迷路状になっており、通路を塞がれると二度とたどり着けないとされる。
マミヤからの情報で、トキがここに捕われていることを知った
ケンシロウは、
レイ、マミヤと共にこの街へ。ケンの圧倒的な力を目にした門番のライガ、フウガは、この男なら不落のカサンドラ伝説を破れるかもしれないと思い、門を開いた。その伝説の象徴でもある獄長ウイグルの前にケンシロウは苦戦を強いられるも、必殺技である
蒙古覇極道を破り、勝利を収めた。解放された囚人達は歓喜に沸くも、直後に
拳王親衛隊が現れ、ケンシロウとトキを会わせまいと画策。トキの牢へと続く道を塞がれそうになるが、ライガ、フウガが命を捨てた死守のおかげで通路は守られ、中央の監獄塔にてケンシロウとトキは再会を果たした。
TVアニメ版では、カサンドラへと向かうケンシロウ達に、
ベラ、
ターゲル、
カサンドラ襲撃隊などといった刺客を送り込まれるも、何れも失敗。監獄内では、ライガ達の師である
ソウジンや、
ブルグ率いる
拳王決死隊などもその行く手を阻むも、やはり撃退された。なお、広場では、カサンドラの兵士と囚人達が、拳王親衛隊や拳王決死隊を相手に共闘するというシーンが描かれ、いずれも勝利を収めている。
また、アニメには「監獄塔落ちる時 カサンドラ荒野に還り 生きとし生ける者全て無に帰す」という言い伝えが存在し、その言葉通り、ケンシロウがトキを救い出した後、監獄塔は崩壊している。
『ラオウ外伝 天の覇王』では、ラオウがカサンドラを手に入れるまでの経緯が描かれている。覇道の拠点となる城を探していたラオウは、十年前に
龍帝アモンによって作られた要塞都市であるカサンドラに着目。だが既にそこは、アモンが我が身を守るために引きこもっているだけの城と化していた。仕掛けられた数々の罠をクリアし、アモンのもとへと辿りついたラオウは、これを一蹴。
ソウガが右足を失うというアクシデントがありながらも、この要塞都市の支配権を得たラオウであったが、不落の街など覇道には不要だとして、牢獄として造り替えられることとなった。
牢獄となった後は、
智将ギオンが獄長を務めていたが、新兵であったウイグルの思想、能力を見抜いたラオウが、彼を新たな獄長に任命。TVアニメ版では、
聖帝軍のスパイであるとの疑惑をかけられた
サクヤが収監されたが、後に
レイナの特命によって釈放された。
『トキ外伝 銀の聖者』では、奇跡の村を奪われ、自らも拳王に敗退したトキが、絶望の中でカサンドラへと収監されるという場面が描かれている。
ザクの手によって牢へと入れられたトキは、そこで死の時を待っていたが、
リュウガより、ケンシロウと
ユリアが生きている事を教えられ、今しばらく生きる事を決意。自らに
仮死状態となる秘孔を突き、ケンシロウの訪れを待った。
『北斗の拳外伝 金翼のガルダ』では、拳王配下となった
ガルダが訪れ、番兵達を蹴散らしながらウイグルのもとを訪問。拳王の了承を得て、
南斗最後の将の居城を示す地図を受け取った。
『劇場版 北斗の拳』では、ラオウの手によってユリアがカサンゴラに収監されるという展開に。その様子を見ていた
リンは、
バットと共にカサンドラの地下牢に潜入し、かつてユリアがケンシロウへと渡した種が花を咲かせた姿を見せ、ユリアを勇気付けた。その後、広場ではレイが拳王に倒されたり、ケンシロウと拳王が闘ったりなど、原作の
マミヤの村と似たような展開が繰り広げられる。
◆エリア
- 正門
- カサンドラに入るための唯一の門。ライガとフウガによって守られている。だがケンシロウに敗北したライガ、フウガは、この男ならカサンドラ伝説を打ち敗れるかもしれないと思い、今まで守り続けてきた門を自分達の手で開け放った。
龍帝軍の居城であった時代は、この門をくぐれば街中の罠が作動するという仕掛けが施されていた。
- 城壁
- カサンドラの街を囲む円状の城壁。上には監視塔があり、カサンドラに向けて歩を進めるケンシロウ一向の姿を捉えた。TVアニメ版では、ライガとフウガが破れた後、この城壁の上からカサンドラ兵が飛び降りてケン達を襲撃している。
龍帝軍の居城であった頃は、この壁を越えたり、門から入ったりすると街中の罠が作動するという仕掛けが施されていたため、ラオウは城壁をぶち壊して入ることでその仕掛けを無効化した。
- 日光浴場
- ウイグルが気まぐれで囚人達に陽の光を与える場。銅鑼の音と共に囚人達が連行され、暫くの間歩かされる。一人逃亡を図った男は、ウイグルに見つかり踏み殺された。
- 正面広場
- 正門をくぐった先にある広場。ケンシロウとウイグルの闘いが行なわれた。地面の下から針の生えた壁がせり出してくる仕掛けが施されている。ウイグルが倒された後、囚人達は自由の訪れに歓喜の声を挙げたが、拳王親衛隊の登場によって再び絶望へと落とされた。
TVアニメ版では、囚人とカサンドラ兵が、拳王親衛隊や拳王決死隊などと戦闘を繰り広げている。
- 墓地
- 正面広場の脇にある墓地。ウイグルに救世主気取りで挑んできた者達や、その時の賭けの対象にされて処刑された囚人達の遺体が眠っている。ウイグルはケンシロウの墓もそこに用意していたが、結局ウイグル自信が入ることになり、秘孔の効果によって小さく折りたたまれながら、サイズの合わぬ墓穴のなかに押し込まれた。
- 五号獄舎
- 囚人が捕われている獄舎の一つ。ケンシロウとの戦いを盛り上げるためとして、この獄舎の囚人達が引き出され、ケンシロウが負けた場合は石の断頭台で首を落とされるという立場に置かれた。ちなみにこの獄舎が選ばれたのは、ウイグルがおもむろに抜いた顎鬚の本数が五本だったから。
監獄塔
カサンドラの中央にある監獄塔。トキが収監されている。ここへたどり着くためのルートは迷路になっており、ふさがれれば二度とたどり着くことはできないらしい。拳王親衛隊が通路を巨大な壁でふさごうとしたが、ライガとフウガはそれを下で支え、ザルカらに暴行を受けて死亡した後も道を守り続けた。
塔の中ではザルカとカシムがケンシロウを殺そうとしたが、あっけなく返り討ちにあっている。
TVアニメ版では、ライガ、フウガも生きてここへと辿りついており、彼らの師であるソウジンとのバトルが描かれている。また、「監獄塔落ちる時 カサンドラ荒野に還り 生きとし生ける者全て無に帰す」という言い伝えが存在し、その言葉通り、ケンシロウがトキと再会したのを切欠に塔は崩落。拳王決死隊が襲い来る中、急いで塔から脱出し、事なきを得た。だがその逃げ道を確保するためにライガ、フウガが命を失っている。
- 偽トキの牢
- 拳王親衛隊が用意した、偽者のトキのいる牢。カシムがその偽トキに刃を突きつけることで、別働隊が本物のトキを連れ出すまでの時間稼ぎを行なった。しかしケンシロウにはすぐに見破られており、我慢できずに正体を現した偽者は、カシムに一刀両断されて殺されている。
- トキの牢
- トキが収監されている牢屋。病気によって旅を続けられなくなったトキは、仮死状態になることで病の進行を抑えながら、この牢の中でケンシロウを待ち続けていた。ケンシロウが迫ってきた時には、拳王親衛隊がトキを始末せんと訪れたが、北斗有情破顔拳で返り討ちにあっている。
ラオウ外伝では、隣の牢にサクヤも一時収監された。
- 展望テラス
- 塔の屋上。ウイグルが鬼達の哭き声を聞いて愉しむための場。脱獄を図った空手家が連行され、熊胴断波で細切れにされた。
- 血の染みこんだ部屋
- 殺された武道家たちの血が染みこんだ部屋。拳王に極意所を奪われ、亡き者にされた拳法家達の無念が刻まれたこの部屋を見せることで、トキはケンシロウに拳王の野望の業の深さを伝えた。
- アモンの塔
- 龍帝軍のアジトであった頃に建っていた、龍帝アモンの居城。各階に進入不可能な罠が仕掛けてあったものの、ラオウたちはこれを次々と突破し、玉座の間にてアモンを一蹴した。その後、仕掛けられた爆弾によって塔は崩壊。石の壁によってラオウ達は玉座の間に閉じ込められそうになったが、ソウガが右足を犠牲にしてそれを阻止し、間一髪塔からの脱出に成功した。
トキの捕らえられていた監獄塔は、おそらくこの塔の跡地に建てられたものではないかと思われる。