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拳種
けんしゅ

 凄まじい力を誇る激流が如き非情の拳・剛拳や、流水が如き動きで相手の攻撃を受け流す情の拳・柔拳などに代表される、それぞれの人物、拳法などが持つ拳の種類の紹介。


剛の拳
 圧倒的な闘気と力で相手を押し攻める、激流が如き拳。防御よりも攻撃に重点を置き、一撃必殺の拳で敵の肉体を粉砕することを旨とする。非情さが増すほど纏う闘気も多くなり、それに合わせて拳の威力の高まる。剛の拳の者同士が闘うと、その闘気の衝突により激しい空気の流れが起り、時には周りの者が闘気に巻き込まれて死に至る場合もある。
 ラオウケンシロウの拳が、この拳の代表格として挙げられる。二人は非情さを積み重ねる事でこの拳を手に入れたが、トキ刹活孔を用いて命を削ることで、一瞬の剛の力を得ることに成功した。その他では、ロフウが使用する南斗水鳥拳の男拳や、アサムが使う大乗南拳なども、剛の拳と呼ばれている。


柔の拳
 激流を制する、静水が如き拳法。激流に逆らわず、むしろその流れに身を任せて同化することで、力を必要とせずに相手の攻撃を受け流す事が出来る。受けに回って初めて真価を発揮する拳であるため、己から仕掛ける事はあまりなく、相手の攻撃をいなして素早く間合いへと滑り込み、反撃へと転じるというのが主な攻撃方法となる。逆に間合いの外からでは致命の拳を叩き込む事ができないのが弱点でもある。
 剛の拳と対極に位置する拳であり、その闘い方は、烈と粛と例えられるように、全く異なる。剛と剛の闘いでは闘気のぶつかり合いによって激しい空気の流れが起こるのに対し、剛と柔では放たれる闘気を全て柔が受け流し、飲み込んでしまうため、全く空気に乱れは起こらない。
 トキの代名詞とも言うべき拳であり、ラオウはこの拳がケンシロウに伝わる事を畏れたがために、トキをカサンドラへと幽閉し、ケンシロウと会わせぬようにしたと言われている。


暗殺拳
北斗神拳の代名詞。敵地に潜入し、音も立てず、何の痕跡も残さずに対象を暗殺する拳であり、その真価は闇の中でこそ発揮される。自らの姿を晒すことなく相手を倒す黒山陰形拳や、読みきり版北斗の拳に登場した泰山寺拳法などもこの拳に属する。


虚拳
相手の虚を突く不意打ちの拳。死んだフリで相手を油断させて倒す、フォックス跳刃地背拳がこれに含まれる。ケンシロウに蔑まれ、おまえに似合いの拳だと言い放たれた。


奇拳/奇襲の拳
奇を衒った攻撃を繰り出し、相手の意表を突く拳。張太炎が独自に身につけた拳がこれにあたり、剛の北斗曹家拳を繰り出すと見せて、柔の技である爆龍陽炎突幻夢百奇脚を繰り出すことで、拳志郎の虚を突こうとした。しかし、父への憎しみが生み出した奇拳では、ひたすら拳を極めて神域に至る北斗神拳には及ばない言われ、戦いの中でその死角を見抜かれた。


邪拳/邪法拳
拳法の定石から外れた、真っ当なものでない拳。ジュウザが自らの我流の拳をこう称したり、義足を軸にしたファルコの片脚の拳もこう呼ばれた。


戦場の拳
戦場の中で威を発揮する拳。北斗神拳西斗月拳がこう呼ばれる。ただし北斗神拳は、戦場の拳であるがゆえに千変万化する戦いの中でその奥義を見出す事ができ、それゆえにカイオウをも圧倒したが、西斗月拳のほうは乱れ戦う中での戦場を得意とする拳であるがゆえに一対一の闘いに向いていないと語られている。


修験の拳
厳しい修行を行うことにより、悟りを得ることを目的とする拳法。北門の拳がこれにあたる。しかしセイジはその掟を守らず、野に下って己のために拳を振るおうとしたため、数々の刺客を送り込まれた。表面上の戦闘能力は高いが、実戦力が足りぬため、暗殺拳である北斗神拳には及ばなかった。


殺人拳
相手を殺傷する事を目的とした拳。ターゲルが使う黒掌十字拳がこのように呼ばれた。


活人拳
人を生かし、守るための拳。読みきり版北斗の拳の中では、北斗神拳がこう定義されていた。


集団殺人拳
華山群狼拳の拳種。中国拳法象形拳の流れを汲む、集団が統率された動きで相手に襲い掛かる戦法を用いた拳。個個が高い身体能力を持つ牙一族だからこそ可能な無敵の拳であるらしいが、ケンシロウとレイには全く通用しなかった。


暗黒の拳/光無き拳
ゼンオウが使う北斗無明拳の異名。かつて北斗神拳伝承者争いに敗れたゼシンが創始した拳であり、以来歴史の暗黒の中で呪われた拳と受け継がれ、北斗神拳への憎しみの炎を燃やし続けていたため、そのような渾名がつけられた。暗闇であるがゆえに、天帝の持つ光は最大の障壁であるらしい。