ストーリー | キャラクター | 流派・奥義 |
[原案] 原哲夫 |
[作画] 原哲夫 |
は、フレッシュジャンプ1983年4月号と6月号に掲載された、全2話の読み切り作品。一話目が「北斗の拳」、二話目が「北斗の拳II」というタイトルになっている。後に週刊少年ジャンプで連載される作品の原型でもある。漫画、原案共に原哲夫氏であり、武論尊氏は携わっていない。物語としては連載版とは基本的に関係はなく、主人公の名前(霞拳四郎とケンシロウ)と、北斗神拳の存在以外は、連載版でほぼ全て一新されている。かつては「鉄のドンキホーテ」の単行本くらでしかお目にかかれなかったのだが、最近ではコンビニで売っている廉価版の北斗の拳や、ガイドブック等にも収録されるようになり、レア度は低くなった。 物語は北斗神拳の伝承者である霞拳四郎が、日本進出を目論む悪の暗殺組織「泰山寺」の戦士達を相手に闘いを繰り広げるストーリー。第一話では、平和な世の中に暗殺拳の存在意義を見出せないでいる拳四郎が、恋人ユキが殺された事によって泰山寺の存在を知り、自らの拳の宿命に目覚めるまでが描かれている。 主人公の霞拳四郎は、ケンシロウのような無骨さは微塵も無い、ふつうの青年である。ケンシロウも平和な文明社会に生まれていたら、もうすこし軽い性格に育っていてくれたのだろうか。拳の腕のほうはとりあえず2話分では無敵を誇っているが、誰かと切磋琢磨して修行したわけでもなく、鬼気迫る宿命も感じちゃいなかったので、イマイチ強そうに思えない。このままで連載が続いていたら、どこかで壁にぶち当たり、急激な進化を遂げる場面が描かれていたことは間違いないだろう。 敵として登場する「泰山」は、御存知の通り連載版にも数多く登場する拳法であり、本作では世界を席巻する巨大組織で、北斗神拳と互角とまで言われている。連載版では一気にやられ役へと降格されてしまうわけだが、本作でもほとんど拳四郎にアッサリとやられているので、結局雑魚には違いない。 第二話では、暗殺者としての血に目覚めた拳四郎のバイオレンスな戦いぶりが描かれている。第一話で「平和な世の中で暗殺拳を使えば殺人拳」なんて言っていた世界観はどこへやら。単に泰山寺の兵士というだけで容赦なく殺していくという、一気に連載版に近い雰囲気に変貌を遂げている。結局この2話でA級戦士・金峰梅軒を倒し、物語は未完のまま終了しているのだが、私的にはいつか完結編の第三話を描いて欲しいと願っている。 本作でのバトルはTVアニメ版北斗の拳にも引用されており、剛田vs拳四郎の闘いは33話で、金峰梅軒と拳四郎の闘いは21話でそれぞれ描かれている。また、「蒼天の拳」も、主人公の苗字が「霞」である事や、第一話の書き出しが非常に酷似している事から見ても、原先生自身がこの初期作から引用したのであろう事は間違いない。先生はインタビューで「アシスタントも使わず自分ひとりで作り上げたため、気が狂いそうになった。」と、この作品の感想を述べている。一度は失われた「文明が失われていない時代の北斗神拳」という設定を、蒼天の拳で今再び蘇らせることになったからこそ、この初期作との繋がりを感じさせる要素を含まれたのではないかと思う。 |