ストーリー | キャラクター | 流派・奥義 |
北斗の拳(読み切り版) |
今をさかのぼること1800年前、中国は戦乱にあけくれる三国志の時代。浮屠教の僧侶たちは、世の平和を願い、恐るべき暗殺拳を生み出した。その秘拳は北斗拳と呼ばれた。北斗の星は、中国では死を司る神と信じられていた。そして1800年の歴史を超え、ここ日本でふたりの親子がその拳法を密かに守り続けていた・・・ 父親と恋人ユキの見守る中、巨大な黒牛と闘わされる一人の少年、拳四郎。黒牛の突進をかわした拳四郎が、その横腹に強烈な一撃を叩き込んだ瞬間、黒牛の腹は異形に変化し、爆ぜた。劉家秘伝、北斗神拳。一拳に全エネルギーを集中し、肉体の経絡秘孔に衝撃を与え、表面の破壊よりむしろその内部の破壊を極意とした、一撃必殺の拳法。拳四郎はその暗殺拳の伝承者であった。拳四郎の父は、第二十一代伝承者 劉正より口伝されたその北斗神拳を、幼き頃から拳四郎に叩き込んでいたのだった。だが、当の拳四郎は、この拳に意味を見出してはいなかった。こんな平和な時代に殺人拳は必要ない。恋人のユキと普通に暮らすことが、彼のささやかな望みであった。 ユキをバイクで送り届け、拳四郎が帰ろうとした時・・・・一人の巨漢が、同じマンションへと入っていった。その男・剛田は、とある政治家の命を受け、法務大臣の佐々木を始末しに来た殺し屋であった。そして不幸にもその殺害現場を目撃してしまったのは、あのユキであった。助けを求め、拳四郎へと電話をかけるユキ。しかし拳四郎が聞いたのは、電話の向こうから聞こえるユキの声と悲鳴と、そしてマンションですれ違ったあの男の、ガムを噛む音であった・・・ 拳四郎達が駆けつけたとき、既に部屋の中には変わり果てたユキの姿があった。部屋に身を潜めていた殺し屋の仲間を倒した拳四郎は、到着した警察にその旨を報告する。しかし、彼らは何一つ聞こうともせず、拳四郎達を犯人だと決めつけてきた。有無も言わさず拳四郎に手錠をかけた刑事の矢崎は、棍棒で執拗に拳四郎を打ちつけ、警察署へと連行したのであった。 拳四郎と共に牢屋に入れられた父は、一連の裏に潜む巨悪の存在を見抜いていた。ユキを一撃で殺したその拳は、泰山寺拳法と呼ばれる殺人拳によるものに間違いなかった。北斗神拳に唯一匹敵すると言われる暗殺拳、泰山寺拳法。健全な拳法を教える裏で、恐るべき暗殺集団を形成する泰山寺は、世界の政治権力と結びつき、遂には日本にまで及んでいたのであった。 牢の前に現れたのは、ユキを殺した剛田、そして刑事の矢崎であった。警察も含めた全てがグルだったのである。己達の罪を全て被せた拳四郎を、虫けら呼ばわりし、二人は去っていった。これが現実・・・今の警察の真の姿を知った拳四郎には、かつてないほどの怒りがこみ上げていた。牢の鉄格子を素手でひん曲げた拳四郎は、腐った者達に制裁を加えるべく、彼らの屯する署長室へ・・・ 署長室へと乗り込んできた拳四郎に、泰山寺棒術で襲い掛かる矢崎。だが怒れる拳四郎の前では、彼の拳法など児戯に等しかった。秘孔気舎で動きを封じてからの連撃―――。それはまさに、剛田も初めて目にする、伝説の北斗神拳であった。 泰山寺拳法 熊爪両断拳。鋼鉄をも断ち切るというその剛田の拳も、やはり拳四郎には通用しなかった。自慢の技をあっさりと受け止めた拳四郎は、奥義五指烈弾でその自慢の手を粉砕。頭に仕込んだ刃で、最後の抵抗を試みる剛田であったが、次の瞬間、彼は信じられないものを目にした。小さかった拳四郎の筋肉が、突如数倍に膨れ上がったのである。本来30%しか使うことの出来ない人間の潜在能力を、100%引き出す―――。それが、北斗神拳の奥義の極意であり、剛田が最後に見た光景であった。北斗双龍波―――。ユキを殺した怒りの全てを乗せたその拳は、剛田の身体を跡形も無く粉砕したのであった。 俺を後ろから拳銃で撃たないと誓うなら許してやる。そう言って署長室を後にする拳四郎であったが、腐った署長がそのような約束を守るはずは無かった。しかし彼が拳銃を構えた瞬間、彼の頭部は膨れあがり、爆ぜた。拳四郎は悟っていた。この世に蔓延る悪の存在。死なねばならぬ者達が、あまりにも多すぎる事を。不用と思われていた自らの北斗神拳。その伝承者としての宿命を、今拳四郎は知ったのであった。 |
|
北斗の拳II(読み切り版) |
世界最高の暗殺機関、泰山寺。そこに所属する暗殺者の一人・リュウは、恋人のヨウコと静かに暮らすため、組織からの脱出を謀っていた。だが掟に反した者に与えられるのは死・・・。既に二人は、追っ手として差し向けられた斉藤の手が迫っていた。追い詰めた二人に、斉藤が発砲を命じたその時―――、兵士達は、突如頭を破裂させて死亡した。彼らの背後に立っていた男・・・それは、あの北斗神拳の伝承者、霞拳四郎であった。恋人のユキを殺した泰山寺を潰すため、拳四郎はその拳を振るい続けていたのである。そして今夜、その拳が獲物に定めたのは、斉藤の命であった。相手に技を出させる間もなく、拳四郎の流星破顔脚は、確実の斉藤の致命の秘孔を捉えていたのだった。 命を救われた恩を返さんとリュウが協力を申し出た瞬間、拳四郎は崩れるようにその場で眠ってしまった。泰山寺を狙う身であると同時に、狙われる身でもある拳四郎は、長い間寝ることすら許されない生活を送っていたのであった。 拳四郎の暗躍によって、泰山寺の日本進出は確実に遅れ始めていた。苛立つ泰山寺の総帥は、今までのB級以下の戦士たちとは格が違うA級戦士、金峰梅軒を呼び出す。鋼鉄よりも硬いというその肉体で拳四郎抹殺を確約する梅軒は、借り受けた機動隊と共に拳四郎の潜む場所へ・・・ 三日間眠り続けた拳四郎は、ナイフを突きたてようとするリュウの殺気によって目を覚ました。警察ですら泰山寺の支配下にある今、自分達が生き残るには拳四郎と共に戦うしかない。そう考えたリュウは、拳四郎に殺意の刃を振り下ろすことで、その実力を確かめたのである。改めて拳四郎の強さを目の当たりにし、共に戦うことを誓うリュウであったが、拳四郎はそれを断った。殺気を消せないリュウは、もはや暗殺者ではなく、それは拳四郎にとって足手まといでしかなかったのであった。 リュウから得た情報をもとに、泰山寺の南西支部へと向かおうとする拳四郎。しかし彼らの潜んでいた廃工場は、既に金峰梅軒率いる武装警察によって取り囲まれていた。リュウの手引きで包囲網の外へ出た一行は、警察の車を奪い、逃亡しようとする。足の傷を押し、必死で車へと走るリュウであったが、既にその背後には追っ手が迫っていた。梅軒の命令で放たれた銃弾は、無情にもリュウとヨウコの身体を鮮血に染めあげたのであった。続けて梅軒が鋼鉄の熊手を放ったその時―――リュウは致命傷を受けたその身体を起こし、拳四郎をかばった。やつらをぶっつぶしてくれ。そのリュウの遺言を果たすため、拳四郎は涙を飲み、車を発進させたのであった。 部下達に命じ、拳四郎の行方を捜索する金峰梅軒。しかしそのターゲットは、既に屋敷の中へと入り込んでいた。目の前に標的が現れた事に喜ぶ梅軒は、自慢の泰山寺拳法で拳四郎に襲い掛かる。鋼鉄以上に鍛え上げた肉体と、像を片手で振り回す怪力に、かつてない苦戦を強いられる拳四郎。だがまだ余裕を崩さない拳四郎に対し、梅軒は秘奥義を出してきた。妖剛筋鬼幻幽拳。目に見えないほどの高速の拳が、拳四郎の身体を鮮血に染める。だが止めをささんと、梅軒が更に踏み込んだその時―――高速の拳は、拳四郎の手によって完全にその動きを止められていた。勝ちを急ぎ、間合いをつめ過ぎた事が、拳四郎に拳を見切らせてしまったのである。そしてその間合いは、拳四郎にとっても必殺の間合いであった。北斗百裂弾。放たれる無数の拳が、梅軒の肉体に叩き込まれる。自慢の鋼鉄の肉体も、身体の内側から破壊する経絡秘孔の前では無力であった。死神の拳、北斗神拳。その死神の息子として、悪を倒す宿命に目覚めた拳四郎の戦いは続く・・・ |
|