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フォックス



登場:原作(20〜23話)TVアニメ版(11、12話)
   劇場版、セガマークIII版、PS版、他
肩書:ジャッカルの右腕
流派:跳刃地背拳
CV:戸谷公次(TVアニメ版)
   青野武(劇場版)
   渡辺武彦(PS版)
   阿座上洋平(真北斗無双)
   桐本拓哉(リバイブ)


 ジャッカル一味の最高幹部。跳刀地背拳の使い手。子供達トヨの前で絞首刑にする案を出したり、子供達に着火したダイナマイトをねじこんで逃亡のための時間稼ぎをするなど、非道な行いでジャッカルをサポートした。


 その後、食料調達のためにとある村へ。死んだフリをし、近寄ってきた村人達を跳刃地背拳で斬殺した。だがその後、小便をしていた所にケンシロウが登場。仰向けになって降伏したフリをし、間合いへと誘い込もうとするが、狙いを見抜かれて失敗。大岩を跳躍でかわした隙に背後を取られ、自白の秘孔である新一を突かれ、ジャッカルの居場所を吐かされた。

 最後はヤケクソで抵抗するも、連続蹴りで岩にたたきつけられ、後頭部を破裂させて死亡。遺体はジャッカルへの土産としてビレニィプリズンへ届けられた。


 『劇場版 北斗の拳』ではジャギの部下として登場。村人にジャギの胸像を見せて、ケンシロウと呼ばせる役目になっていた。




 「フォックス」はご存じの通りキツネの英名だ。で、キツネってシュッとしたフォルムをしているので、その名を冠したキャラクターはカッコイイ場合が多いんですよね。マイケル・J・フォックスとかもいるし。なので好印象を持たれがちな名前だと思うんです。


 そんな風潮を一人で吹き飛ばした最低の「フォックス」がこの男。下衆でハゲでチョンマゲで拳法は卑怯千万。人を殺したら小便がしたくなる性癖持ちという、好かれる要素ゼロのキャラクターだ。


 まあキツネ=卑怯者というイメージは昔話にもあるので、そこから来ているのかもしれないね。彼の修得する跳刃地背拳の「相手を騙す」「異常な跳躍力」という特徴も、なんとなくキツネをイメージしている気もする。





 しかし「跳刃地背拳」。なんとも異質な拳である。 「寝ころんで大地を背にすることで前面の敵に集中出来る」という説明には、一瞬ナルホドと思わせる説得力があるが、冷静に考えたらその体勢からの攻撃は不可能なので、意味不明なんですよね。


 そこに意味を持たせているのが、あの異常な跳躍力。正直、あんな体勢からどうやって跳んでいるのか理解不能なのだが、理解不能であるが故に相手にとっても思惑の外となり、虚を突かれるのだろう。ケンシロウは最初からタネを知っていたので引っかからずに済んだが、初見ならば無傷とはいかなかったかもしれない。



 しかしそこから判る事は、ケンシロウの言う通り、この拳がまさに「虚拳」であるということ。正面切っての戦いでは殆ど役に立たない、不意打ちに特化した拳法なのだ。

そんなんある?

 普通の拳法の中に「裏技」として不意打ちが組み込まれてるならわかるが、拳法そのものが不意打を前提としているって、流石に異質すぎないか?というかケンシロウもそんなヒネくれた拳法をよく知っていたものだ。いや、もしかしたらあまりに珍拳すぎて界隈で有名になっていたのかもしれん。



 フォックスが何故こんな拳法を選んだのか。その真意は謎だが、不意打ちだけで世紀末を生き抜いていくのは難しかっただろう。それ故に、彼がジャッカルという男に出会えた事は本当に運が良かったと思う。


 ジャッカルという男は、「自分より強い男とは戦わない」ことをモットーとする。おそらく一方的に蹂躙できる相手以外とは、戦闘を行うつもりがないのだろう。そしてそれは、チームのメンバー達も同じ。ケンシロウに挑もうとした部下二人が、ジャッカルによって「粛清」された事からも、如何に非戦闘主義が徹底されているかがよくわかる。そんなチーム方針は、正面切っての戦いを不得手とするフォックスにとって、まさに理想の環境だったのだ。


 この世紀末は、血に飢えた暴徒たちで溢れている。そんな世界において「好戦的じゃない者達」で構成されたジャッカル一味は、極めて稀有な存在。そんな彼等と、不意打ちしか能がないフォックスとの出会いは、まさに奇跡。相性診断満点のマッチングだったのだ。