ジード
登場:原作(1話)TVアニメ版(1話)
トキ外伝(2〜16話)等
肩書:盗賊
CV:蟹江栄司(TVアニメ版)
柴田秀勝(劇場版)
田中大文(PS版)
金光宣明(ケンシロウ伝)
宮坂俊蔵(北斗無双・真北斗無双)
森嶋秀太(DD北斗の拳2)
土田大(リバイブ) |
◆御言葉◆
|
「Zのメンバーと
知ってのことか〜〜〜っ!!」 |
盗賊集団
「Z(ジード)」のボス。旅人や村人達を襲い、食糧を強奪することで荒廃した世界を生き伸びる者る。チームのメンバーは、身体のどこか(主に額の左面)に「Z」の刻印があるが、ボスである彼だけは「Z-666」と数字が付与されている。
ボスである彼とチーム名は同じ「ジード」だが、チーム名の表記は「Z」と書いて「ジード」と読む。
トキ外伝 銀の聖者の中では「ZEED」に変わっていた。書籍によってはチーム名との差別化を図るため、彼個人の呼び名を「Z-666」と表記している場合もある。
◆経歴
旅人を襲って食料を強奪していた時、何者かの手によって
偵察隊が殺されたとの報を受け激昂。だが同時に、頭部を内側から破裂させられたその異様な死体を目にし、ただならぬものを感じた。
その後、
リンの住む村を襲撃し、
リンを人質にとって村人達に抵抗をやめるよう宣告。だがそのとき、突如現れた
ケンシロウの手によって部下たちが殺され、その死に様から、偵察隊を殺した犯人がこの男であると確信。しかし攻撃に転じる間もなく、
北斗百裂拳を喰らいダウン。ダメージこそ無かったが、既に秘孔を突かれており、数秒後にその身を飛散させた。
『トキ外伝 銀の聖者』では、
奇跡の村を狙う夜盗集団として登場。チームは500人を超える大軍団として描かれている。時系列的には原作より前にあたる。
奇跡の村の北の地域で暴れまわっていたが、
セトなる男が奇跡の村から送られてきたスパイであることに気付き、追っ手を送り込み殺害。だが追っ手達もまた、その場に居合わせた
アミバによって殺され、ジードはこれを奇跡の村の者達の仕業だと思い込み激怒。徐々に奇跡の村へと近付きながら、近隣にある七つの村を次々と壊滅させていくことで、村人達の恐怖を煽った。だが六つ目の村を壊滅させたとき、チームにアミバが接近。偵察隊の一人が奇跡の村に捕らえられ、己達の戦力や行動を把握された事を知ったジードは、残る一つの村をスルーするというアミバの策を受け入れることに。目論見どおり、予定より早い襲撃をかけることで、奇跡の村の者達をパニック状態に陥らせることに成功した。その後は夜戦というアドバンテージによって一方的な展開になるかと思われたが、風力発電によるスポットライトや、高圧電流の流れるフェンス、そして村人達の意外な統率力の前に、次第に劣勢に。狙いを風車へと絞るが、その前に立ちはだかった
トキと
ジュウザの前に為す術なく蹴散らされ、最後はボスのジード自身が
北斗虚無指弾を喰らい、ここ数日の記憶を消され、戦いは終結。メンバー達に抱えられながら、惨めに奇跡の村を後にした。
◆ステータス
(名無しキャラを除けば)作中で初めてケンシロウに倒された記念すべき北斗神拳被験者第一号。それがジード様だ。この男の肉体が四散したその瞬間から北斗の拳という物語が始まったと言っても過言ではない。そんな「始まり」のキャラであるのに、額にある刺青は「最終」を意味する"Z"というのもまた面白いではないか。
半ば不意打ちに近いような感じで北斗百裂拳を喰らって敗北したため、強さの程は不明。だが拳王様をも上回る程の巨漢というだけで、下手な拳法家よりもよほど強そうに見える。
武器は手斧。原作で使われる事は無かったが、
アニメ版ではこれを投げて旅人の乗る車のタイヤを破壊している。ちなみに原作では斧を左手に持っているが、トキ外伝では右手持ちになっていた。その他、アニメでは弓、トキ外伝では大剣やダイナマイト、
北斗無双では左図のような鉄棍棒を武器としていた。
大事な第一話ということもあって、TVアニメ版での行動に然程変化は加えられていない。万札をバラ撒く役目を与えられた事くらいか。
声を演じるは蟹江栄司氏。他では
デビルリバースや
マダラなども担当しておられるが、一番有名なキャラクターといえばラーメンマンであろう。しかし残念ながら、北斗や肉が完結する前の1985年に、43歳の若さで亡くなられている。もし存命であったなら、この後も数多くの北斗キャラを演じておられた筈だ。個人的にヌメリはこの人が良かった。
尚、TVアニメ版では、Z軍が
KING軍の傘下という設定になっている可能性がある。起因となったのは、アニメ17話でKING軍団大将軍
バルコムが言い放った「ヤツ(ケンシロウ)と最初に戦ったのはジードの組織だった」という台詞だ。ケンシロウの過去の行動を全て把握できていなければ、ケンの最初の相手がZ軍と断言する事は出来ない。ましてや「北斗の拳の作品内での最初」などというメタ発言でもあるまい。となると考えられるのは、自分達が感知できる中での最初…要するに「KING軍傘下の中で最初にやられたのがZ」だという意味ではないかと考えられるのだ。また、1985年発売のアニメコミックスの中にある相関図でも、シンとジードの主従関係を示す関係線が引かれており、それも根拠の一つとなっている。
まあTVアニメ版に限って言えば、
GOLANや
ジャッカル達ですらKING配下となっているので、今更Z軍がそうであったとしても何も不思議はなかろう。
ちなみに、TVアニメのキャラクター設定画にあるケンシロウとの身長の対比から計算すると、彼の身長はおよそ237cmということになる(ケンの身長を公式設定の185cmとした場合)。
◆ベスト・オブ・雑魚
彼のような敵001号に与えられる役割というものは大体決まっている。主人公の力量をある程度示すための「やられ役」だ。かませ犬にすらなれない、本気を出させることもできない、ただ倒される事以外に存在意義を持たぬ日陰の月見草。それが彼に与えられたポジションなのだ。だが彼は、そんな裏方役を見事に全うした。いや、全うしすぎた。もはや彼のやられぶりが、
北斗の拳のイメージを構築したと言っても過言ではない。切られ役の大御所として名高い福本清三、ゾンビ役で名を轟かせたビル・ハインツマンに匹敵する、影の功労者。それがこのジードなのである。
ジードが「最初の敵」としてまず優秀だったのは、そのガタイ。リンを片手で掴んでしまう程のその巨体は、彼が理屈抜きで強者であることを証明している。現実に存在していれば、このガタイだけで世界最強の座を得れるほどの素材だ。しかしこれは、北斗の拳の世界においてはさして珍しいサイズの巨体ではない。実際、この後には彼よりデカい男達がどんどん登場することになる。しかし読者はそれをあらかじめ予測することができる。それはジードが「最初の敵」だからであり、今後益々大きくて強い相手が出てくるであろうことを想像する事が出来るからだ。つまりこのガタイは、ジードを「すさまじく強そうに見せる」ことで、それを無傷で葬り去った
ケンシロウの超人的な強さを際立たせると共に、「最初でこれなら次はどんな凄い奴が出てくるのだろう」という
今後のストーリー展開への期待を膨らませる役割をも果たしているのだ。まさに「最初の敵」に相応しい、絶妙のデカさだったと言える。
彼らの行為にも注目して欲しい。原作でZ軍団が行った事と言えば、冒頭で旅人を襲撃したことと、リンの村を襲撃した事の二点である。確かに彼らZ軍団は、罪も無い人々を襲い、奪い、殺してはいる。しかしそれらは全て自分達が「生きるための行為」だ。最初に襲われた旅人達も、水や食料をたんまり運んでいたから襲われたのだ。アニメ版じゃ牛まで運んでいた。こんなもん襲われる方が悪い。またリンの村を襲ったときにも、ただ村人達を虐殺するわけではなく、リンを人質によって抵抗をやめるよう促していた。本当の下衆であれば、問答無用で全員皆殺しにし、その散乱した死体をツマミに飯を食うくらいの事をしていた筈。つまり彼らは、根からの悪党ではなく、力こそが全てという掟が生んだ哀しき生への渇望者なのである。
これは裏を返せば、
彼らが悪者としては中途半端であるともいえる。しかしこの「中途半端な悪」こそが、「最初の敵」として求められているポジションなのだ。第一話に登場する敵に求められるのは、
主人公のおおよその能力、強さを示す事。そこには極端な悪は必要ないし、主人公を本気で怒らせる必要もないのだ。事実、この次の敵である
スペードは、見事なまでのドグサレ具合を発揮し、ケンシロウを心の底から激怒させた。
このケンシロウの怒りが際立ったのも、ジードの中途半端さがあったこそなのだ。他の役者を活かすためのアシスト役に徹する、まさにいぶし銀の存在である。
また、
北斗の拳の雑魚=モヒカンというイメージを定着させたのも、このジードの貢献度が大きい。確かに他にもモヒカンは沢山いる。今で言えば、モヒカン雑魚と聞けば例の
汚物消毒雑魚を思い浮かべる人も多かろう。しかし私に言わせれば、あんな兜から毛を生やしているような野郎など、断じて真のモヒカンなどではない。
ボスから手下まで、メンバー全員がモヒカンで統一されているのZ軍こそが真のモヒカン雑魚、モヒカナー、モヒカニストなのである。
長髪にスキンヘッド、ホッケーマスクや鉄兜といった「紛れ」がいくら登場しようとも、北斗の拳の雑魚=モヒカンというイメージがこれだけ強固なのは、Z軍団の狂信的とも言えるモヒカンへの執着があるからこそなのだ。
そして
「北斗百裂拳」と「おまえはもう死んで(い)る」という不屈の名言も、このZから誘発されたものである。さらに
モヒカンを定着させたという功績・・・。これらが如何に凄いことであるか、皆様はおわかりになるだろうか。
例えばシンとケンシロウの闘いから、関連するワードを挙げるとするなら、
(1)南斗獄屠拳 (2)サザンクロス (3)執念にまさるおれの怒りだ!
などがチョイスされるだろう。だが果たしてこれらから、今のティーンエイジャーは北斗の拳を連想する事が出来るだろうか?少なくとも一度は北斗の拳を読んだ事が無い限り、それは難しいだろう。
それに対し、Zから生み出されるのは
(1)モヒカン (2)北斗百裂拳 (3)おまえはもう死んでいる
……
強い、強すぎる。なんと豪華な布陣だ。一人オールスター状態である。北斗の拳を一度も読んだ事が無くとも、これらの用語からだけで作品を連想できるという人間は可也多いだろう。それほどまでにこの三つは、北斗の拳という作品を象徴するイメージとして人々の脳裏に焼き付けられているのだ。ケンシロウとジードの闘いというものが、この作品の中でどれだけ重要な存在か・・・皆様には解ってもらえただろうか。
もうひとつ、北斗の拳の雑魚に与えられる役目には
「断末魔」というものがあるが、残念ながらジードにはそれがない。まだその風習が生まれていなかったからだ。しかし、既にその文化が浸透しつつあったTVアニメ放映時には、きっちりとこのジードにも断末魔が与えられた。
「おーわだぐでぃび ひでぶー!」
・・・ハートより先にひでぶを言ってしまった強欲ぶりは正直どうかと思うが、これだけの実績を持つ男に更に
「ひでぶ」が加わってしまった今、もはや彼には一部の隙も無い。まさに雑魚の究極形。
ベスト・オブ・雑魚の称号を与えるに相応しい人物は、彼を置いて他に無いだろう。
◆666の由来
ジードが軍団のボスである証。それは、雑魚達と一線を画す
「Z-666」の刺青だ。この666という数字、一般的には映画『オーメン』に登場した、悪魔の数字として知られている。6月6日の午前6日に生まれた悪魔の子・ダミアン。彼の頭髪の下に刻まれていた数字が、この666であった。悪魔の数字666…。そして死を司る星、北斗七星…。ジードとケンシロウが相対したのも、死が死を呼び寄せた運命の出会いだったのかもしれない。
この「666」の抑々は、ヨハネ黙示録13章18節に「獣の数字」として記されていたものである。
「ここに知恵が必要である。思慮のある者は獣の数字を解くがよい。その数字とは人間を指すものである。その数字は666である」というのがその内容だ。その後、この数字は皇帝ネロの事だ、いやローマ法王の事だと各地で様々な解釈がなされるも、正しい答えは出なかった。しかしオーメンの登場によって、666は一気にその知名度をあげ、キリスト教徒でない者達にも「悪魔の数字」として世界中に認知されることになったわけだ。
だが近年、
この認識は誤りであった事が判明した。エジプトの遺跡から発見された最古のヨハネの黙示録を現代技術で解析した結果、
これは「666」ではなく「616」であった事が明らかになったらしい。当時のキリスト教者達が、自分達を迫害していたローマ皇帝カリグラの名を暗号で置き換えた数字が616なのだそうだ。
…気合入れて墨入れちゃったジードさんには少々残念な結果ではあるが、ま、この時代じゃ誰もそんなの知らないだろうから気にしなくて良いだろう。それよりも、今後ジードの真似をして666を刻もうなんて考えてらっしゃる方がもしいるならば、この事を一応頭に入れておくといいかもしれない。
◆トキ外伝での躍動
『トキ外伝 銀の聖者』でのZEED
(この作品ではこう表記される)の躍動ぶりは、原作を遥かに凌ぐ。全六巻のうちの二巻までは、ほぼZEEDと奇跡の村との戦に費やされている。また、原作では数十人規模にしか見えなかった組織も、トキ外伝では500人を超える大軍団として描かれていた。この作品で最も株を上げたのは、トキよりもむしろジードのほうだろう。
トキ外伝の中で、ジードに関する最も注目すべきエピソードは、
虚無指弾を喰らって記憶を失った事であろう。まあ彼が以前に北斗神拳を目にしていたとなれば、原作との大きな矛盾が生まれるので、記憶を失うというのは当然の展開であるとも言える。しかしそれでも波紋は収まらない。
まず、原作でのジードの見方が大きく変わってくる。ハッキリ言ってジードは、こんな巨体である割には比較的知的なキャラである。敵を襲撃する際に見せるクールな表情や、頭部の破裂を見ても冷静に小型爆弾の可能性を否定する落ち着きぶり。なによりも部下が言い残した「ほくと」という謎のメッセージに不穏なものを感じるシーンなどは、さながら名探偵のようだ。だがそんなシーンも、トキ外伝での一連の出来事によってイメージは180度変わる。「カンの鋭さを感じさせるインテリ悪党」が、一転して、「一度見た北斗神拳を完全に忘れてクエスチョンマークを点灯させるアホ」になってしまうのだ。
だがもっと問題なのは部下達のほうである。ジードは仕方ない。虚無指弾を喰らっているのだから。しかし
記憶を失っていないはずの部下達までもが、まるで北斗神拳の死に様にピンときていないというのはどういうことなのか。
私が思うに、Z軍は奇跡の村での敗退を機に解散したのではないだろうか。いや、むしろ
ジードが見離されたと言ったほうがいいかもしれない。数日で治るとはいえ、虚無指弾を喰らった後のジードは、もはや自分の意思では歩くことも出来ない廃人と化した。しかも特大サイズの廃人だ。全てを失ったモヒカン達が、あの荒野で、そんなデカブツをいつまでも介抱し続けるとは到底思えない。彼らがどれだけボスを慕っていたかは知らないが、あれだけの敗戦を経た後では求心力も薄れていただろう。あの後ジードは、荒野にただ一人置き去りにされたという可能性が高いのだ。
その後、正気に戻ったジードは、仲間達が消えた事を不思議に思いつつも、改めてメンバーを集め、新生Z軍を組織した。それが原作第一話に登場したZなのだ。故に彼らは奇跡の村での出来事を知らず、ケンシロウの北斗神拳にも反応しなかったのである。またそう考えた場合、双方の作品におけるZ軍の相違点もいろいろ解決する。トキ外伝では500人を超える大軍団だったのが原作では数十人規模に縮小されていた事……得意であった夜盗行為を封印し真昼間に活動していた事……軍団名の表記が「ZEED」から「Z」に変わった事……全てはメンバーが総入れ替えになったことが原因だったのではないだろうか。
しかし、それでも変わらなかったものがある。ジードの
仲間への義理人情の厚さだ。原作でもトキ外伝でも、ジードが動いた理由は、仲間を殺した男への復讐であった。
部下がたった数人殺されただけで、あれだけの怒りを顕にしたリーダーがいただろうか。牙大王にとっての息子達、ガルフにとっての愛犬達と同様、ジードにとってはこの仲間達こそがかけがえの無い家族なのである。そんな義侠心溢れるリーダーを、やすやすと見放した(と思われる)部下達は、まったくもってけしからん奴等である。
余談だが、かつて私は「奇跡の村を襲った盗賊はZ」という自説を唱えた事があった。トキが留守にしていた間、村はZ軍の部隊に襲われ、壊滅した。村はいつかまた再興すればいいが、Zという組織を完全に潰さないと、また村が襲われることになる。そう考えて旅に出たトキであったが、やがてZがケンシロウの手によって壊滅させられた事を知る。安堵すると同時にケンシロウの生存を知ったトキは、自らの体力を考え、わざと拳王軍に捕らえられてカサンドラでケンシロウの到着を待ち続けることにした―――という内容の、粗い考察であった。が、なんという運命の悪戯か。顛末こそ無茶苦茶なれど、「Zが奇跡の村を襲う」という展開自体は見事に的中してしまったではないか。これは中々の快挙と言って良いだろう。もって褒められていいはずだ。やはりなんでも数撃っとくもんだなと改めて思った。
◆他作品での出番
ベスト・オブ・雑魚の称号は偉大なものではあるが、裏を返せばそれはジードが特長のない地味なキャラクターという意味でもある。それ故か「最初の敵」という美味しいポジションである割に、ジードの他作品への登場機会は然程多くない。トキ外伝であれだけの役目をもらえたのは本当に幸運だったと思う。
ゲーム作品の中ではやはり
北斗無双での活躍を語らずにはいられない。このゲームでは様々なメジャーキャラクターがカットされているが、その中で
ジードにその貴重な登場枠が与えられた事は半ば奇跡に近いと言っても良いだろう。
容姿は原作から少し変更されており、モヒカンが後頭部辺りからポニテになっているというオシャレポイントが素敵。その他、右肩の後ろにも「Z-666」の刺青が追加されていたり、装備が毛皮主体の素材になったり、肩当や脛当などにも刺々しいスパイクが付加されていたりする。
伝説編(ストーリーモード)では、当たり前のように一面のボスとしてのポジションを与えられている。棘付き棍棒を両手に持ってガンガン殴りつけてくるというスタイルだが、これはそこらへんの敵将でも普通に使ってくる技なので、オリジナリティは皆無に等しい。しかしその強さはハンパ無い。何故なら、一面ではプレイヤーキャラを成長させられていないからだ。いくら殴っても全然体力を削れない上に、百裂拳はガードするわ、止めのコマンドをミスったら体力半分まで回復するわでドエラい目に遭う。ちゃんとレベルを上げてから進めていくタイプのスタイルである自分にとっては、正直この後に登場するボスなど雑魚に等しく、まさにこのジードこそが北斗無双最強の敵であったと言っても過言ではない。
幻闘編(オリジナルストーリー)のほうでは、
牙一族と手を組むというシナリオになっている。ジード兄と牙大王・・・夢のコラボである筈なのに全くワクワクしないのはまあ致し方ないだろう。しかし、かたち上では牙大王と「同格」という扱いなのだから、ジードにとっては悪い事ではなかろう。どう考えても向こうさんのほうが強いのだから。
その他にもいくつかのゲーム作品に登場しているが、大体はそのゲームのチュートリアルのために殺されるような扱いであり、ここでも「最初の敵」としての宿命を存分に果たしていると言える。
少し変わった所では、
『北斗の拳3 新世紀創造 凄拳列伝』の中で、何故かミスミから種モミを奪ったというスペード的な役回りになっていた。それはいいにしても、一言も台詞が無いままケンシロウとのバトルになって殺されるというのは少々扱いがぞんざい過ぎる気もする。
『北斗の拳ONLINE』では
カノジョまで登場した。
ジェラという名のローポリゴンなスキンヘッドが眩しいレザーちゃんだ。戦闘力に長け、ジードが自分の強さと釣り合う相手と見込んでいるために一緒にいるという設定らしいのだが、女と五分・・・というのは、ジードが情けないのか、ジェラが強いのか、判断に迷うところではある。
その他、本人ではない「似たようなキャラ」が登場することもままある。
『北斗の拳バイオレンス劇画アドベンチャー(PC)』では
「ジャック」なる、もう見た目そっくりなキャラクターが
『北斗の拳(セガサターン版)』では
「ジーザ」なる、容姿も名前も限りなく近い人物がそれぞれ登場している。
この辺りの汎用性の高さは、ベスト・オブ・雑魚ならではと言えるだろう。
映像作品の中では、
『真救世主伝説 ZERO ケンシロウ伝』のラストに登場した場面が印象深い。ゲッソーシティを舞台に繰り広げられる大きなドラマ……それを経た後に原作第一話へと繋がるというこの流れは、この作品が北斗の拳の前日譚「ZERO」である事を強く印象付けている。リンやバットと出会うだけではダメなのだ。やはりこのジードに百裂拳を炸裂させ、そして「おまえはもう死んでいる」がなければ、北斗の拳という物語はスタートしないのである。
あとこれは殆どオマケだが、あの
『ハリウッド実写版』にも「一応」登場している。映画を見た方なら覚えているだろう。ストーリーの序盤でゲイリーケンシロウが披露する、あのペチペチ百裂拳を。あれを喰らった弁髪野郎がジードなのだ。まあ一応666はあるので、気付いた人もいるだろうが……。
ちなみに彼の役所は、「クロスマン」というシンの軍勢の一人で、手下のケンプとニューターと共にマッカーシー夫妻を襲い、銃で脅して妻のジルを強姦しようとするというものだった。ハッキリ言って仲間のケンプのほうがいい体格をしているので、そっちがジード役でよかったと思う。こんな元阪神の
トレイ・ムーアみたいな奴では北斗神拳の脅威のアピールにはならないだろう。