
荒野を疾走する一台の車に、ならずもの達が襲い掛かる。荒廃した世界は、彼等Z軍のような盗賊集団が蔓延る世界と化していた。奪った食料で、空腹を満たすZ軍。だが、車に積んであった札束には何の興味も示さなかった。核戦争で滅んだこの世は、金の流通もない、彼等盗賊達が暴力によって支配する世界へと変わっていたのだった。
そこから少し離れた場所にある、とある村。そこに住む少女リンは、ペットの犬・ぺルとともに、日常を過ごしていた。とその時、リンの耳に騒がしい声が聞こえてきた。タネモミを盗みに村へ入った少年、バットが捕まったのだ。縛り首だと脅されたはバットは、突如ハーモニカを吹きながら、ダンスを披露しはじめた。自らの芸で楽しませて、許しを得ようとしたのである。だが、空腹のバットに最後まで踊りきる体力は残ってはいなかったのだった。とその時、今度は井戸の方が騒がしくなった。井戸番の制止を無視して、勝手に水を飲もうとしてする男が現れたのだ。彼は、先ほど偵察対にひきずられていたあの男であった。村人達に捕らえられた男は、バットと共に村の牢屋へ・・・
村の長老が帰ってきたと同時に、ケンシロウの身体検査が始まった。ケンがZ軍の一味でないか、その身を調べる村人達。しかし、そこにあったのはZの刺青ではなく、胸に刻まれた鮮やかな七つの傷であった。そしてそれを見た瞬間、長老の頭の中にとてつもない不安が過った。その傷が描いていたのは、正しくあの北斗七星の形。北斗現れるところ乱有り・・・北斗に纏わるその不吉な伝説を、長老は知っていたのだ。そして、その不安が早くも現実のものとなった。遂にZ軍が、村を襲撃してきたのである。ケンを再び牢へと閉じ込め、戦場へと向かう村人達。だがリンは、その戦場へ向かう前に、ケンの牢の中に鍵を置いていってしまった。自らの死を予感したリンは、せめてケンだけでも逃げ切ってほしいと考えたのだ。だが、今から少女が殺されようとしているそんな状況を、ケンには見逃すことなど出来なかった。そしてケンは、その状況を変えられるだけの力を持つ男であった。おもむろに鉄格子をつかみ、力でその鉄格子を破壊したケンは、急いで戦場へと駆ける・・・
牢獄から出たケンが見たのは、既に人質として囚われていたリンの姿であった。ありったけの食糧を持って来い!!リンをその手に握り締め、村人達に降伏を要求するZ-666。そして、その悪鬼達にケンが近付こうとしたとき、奇跡は起こった。「ケ――――ン!!来ちゃだめ―――!!」それは、言葉を失ったはずのリンの叫びだった。ケンの"おまじない"、そしてリンの心の叫びが、彼女に言葉を取り戻させたのだ。だが、そこで人々が目撃した奇跡は一つだけではなかった。歩み寄ってきたケンを始末せんと取り囲むZ軍団。だが、彼らはケンの蹴りを受けたかと思うと、次の瞬間、その身は怒号とともに激しく爆ぜた。一拳に全エネルギーを集中し、肉体の経絡秘孔に衝撃を与え、内部の破壊を極意とした一撃必殺の拳法、北斗神拳。ケンはその必殺拳の使い手だったのである。目の前の男が偵察隊を殺した犯人だと確信し、激怒するZ-666。しかし、リンを人質に取る卑劣なZ-666に、ケンもまた激怒していた。北斗神拳の奥義、北斗百裂拳。ケンの高速の連続突きが、Z-666の体をとらえる。その衝撃でZ-666は吹っ飛び、そしてその手からこぼれ落ちたリンは、無事にケンの腕の中に救出されたのであった。激しく吹っ飛んだ割に痛みを感じなかったZ-666は、再度その身を起こし、ケンに攻撃しようとする。だが既に彼の体は死んでいた。北斗神拳の真髄、経絡秘孔への衝撃をあたえられていたZ-666は、体を不自然に変形させ、その体を肉片へと変えたのであった。| [漫画版との違い] [追加] ・荒野でケンシロウが倒れてユリアやシンの幻影をみる ・Zの偵察隊がケンシロウと接触した場面 ・リンの愛犬ペルが登場 ・リンが、井戸の見張りの男の頬にキスをして水を分けて貰う ・盗みを働いたバットでダンスを見せて許してもらおうとする ・バットが捕まったのは4回目 ・リンの家族が殺されるシーン [変更] ・ケンシロウが網にかからない。かわりに勝手に井戸の水を飲もうとして捕まる ・バットの小便もらしがカット |
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