
早速そのバギーに乗って旅へと出た二人であったが、暫くの後、突如ケンは車を飛び降りて走り出した。ケンが辿り着いた先にあったもの、それは、悪党達に追い詰められる老人の姿であった。その老人、スミスは、村のために集めた種モミを持って帰ろうとしていたところを、KINGの軍団の一味、スペード達に見つかり、襲われていたのだ。そしてその一人の男の危機を、ケンは見逃せるはずはなかった。颯爽とスペード達の前へと立ちはだかり、老人を見逃すよう要求するケン。当然そんな言葉に従うはずも無く抵抗するスペード達であったが、彼の放ったボウガンの矢はケンの二本の指で捕えられてしまった。北斗神拳の奥義、二指真空把。ケンの前では、ボウガンの矢すら止まっているに等しいスピードだったのだ。投げ返された矢を右目に受け、スペード達は逃亡。だが、スミスの種モミは、既に彼らの手に奪われた後であった。
種モミを食べようとしていたバットにお仕置きするなどの一悶着もありながら、ケンは無事スミスの手に種モミを返した。スミスがこの種モミにこだわる理由、それは平和のためであった。種モミさえあれば毎年米が出き、争いは無くなる。今日より明日・・・今ある食べ物より、幸せな未来のほうが大切だとスミスは考えていたのだ。自らの命を賭してまでその明日にかけようとするスミスに、ケンは久しぶりに人間を見たような気持ちを覚えるのだった。
無事にスミスを村に送り届けたケン達であったが、ケンは何も報酬を貰うことなく、さっさと村を出るようバットに告げた。村の中から聞こえる赤子の鳴き声。それは、誰もが飢えていることの証だった。そんな村から貴重な食糧を貰うことなど、ケンには出来なかったのだ。渋々了解したバットは、再びバギーを走らせて荒野へ。だがその時、ケン達と行き違いに、村へと向かう集団がいた。彼らは紛れも無く、あのスペード一味だった。車を飛び降り、急いで村へと駆けるケン。だが、時既に遅かった。地獄絵図と化した村の中、ケンの目の前で、スミスはスペードの槍に体を貫かれたのであった。死を目前に控えても、こぼれたタネモミを必死で拾い集めようとするスミス。だが、その手を更にナイフで突き刺し、高笑いを上げるスペードに、遂にケンの怒りが爆発した。
その頃、リンのいる村では、水と食料の物々交換が行われていた。地下水の豊富なこの村には、食べ物と水を交換しに来る者達も多かったのだ。そしてその時、リンはある決断をしていた。村へと訪れたトラックに忍び込み、村を出ようと考えていたのだ。ケンに会いたい・・・。何処行くかとも知れぬトラックに揺られ、荒野へと旅立ったリンとぺルは・・・| [漫画版との違い] [追加] ・リンが村の外でケンが帰ってくると信じて待ち続ける ・ケンがシンの悪夢で飛び起きる ・リンの村で、食料と水の物々交換が行われている。 ※鹿の薫製で水2カン。宝石は交換不可 ・リンが物々交換に来たトラックに潜り込んで村を出る [変更] ・バットがバギーを手に入れて戻ってくる。以降も移動に使用。 ・今回のスペードを含むKING四天王の入れ墨が「K」から「J」に変更 ・スペード一味がタネモミをアジトに持って帰り、バットがそれを取り戻す ・残悔拳での死亡までの時間が3秒から7秒に |
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