ストーリー | 登場人物 | 流派・奥義 | STAFF |
は、東映ビデオと東北新社の協力によってハリウッドで制作された、北斗の拳の実写映画。1995年4月22日から全国公開された。ストーリーは、原作で言うところのシンを倒すまで。話の筋こそ原作通りだが、ほぼ全体的にオリジナルな内容となっている。主人公のケンシロウ役は、ゲイリー・ダニエルズ。吹き替え版でのメインキャラクターの声は、TVアニメ版と同じキャストがつとめている。 現在では数多くの実写作品が溢れ、耐性がついているものの、当時は皆あまり実写化という物への危険性を感じておらず、この作品にも期待を寄せていた人は多かったようだ。そして期待は見事に裏切られ、北斗ファンの多くは哀しみを背負わされた。 まずストーリーが判りにくい。原作を読んでいない人には何がなにやらさっぱりわからない。何故世界が崩壊したのか、何故北斗神拳で人が殺せるのか、全く説明の無いまま話が進む。ならば原作のファンになら納得がいく内容かといわれると、そうでもない。むしろ漫画版の完成度の高さを知っている分、その落胆度は大きくなってしまう。シナリオ自体は然程悪いわけではないので、もっと原作を知らない層にも受け入れられ易い作りにすれば、一般のB級映画マニアからも、そこそこの評価を得られていたかもしれない。 アクションもかなり中途半端な出来。メイキングの中でアクション担当の人は「思い通りにやらせてくれない」と言ってボヤいていた。北斗の拳のような人知を超えたバトルをCG無しで映像化すること自体ハナから無理な話なのだ。それでも北斗の拳のバトルを描きたいというなら、北斗神拳の神秘性を生かしたものにすべきだっただろう。そのために不可欠なのは、やはり肉体破裂である。その点においては、CGの無い中で、頑張って再現している方だと言える。しかし、残念ながらあまりにもその登場数が少ない。これは予算の関係上からも仕方ないのだが、それならそれで、他の方法で神秘性は表現する方法もあったはずだ。秘孔で口を割らせるとか、意思に反して動かすとか、金をかけなくても十分魅力的に北斗神拳を描けたはずである。 そして結局神秘性は諦めたのか、後半になるにつれ、バトルはどんどん普通の殺陣になっていく。しかし、香港映画よろしくなスピーディーなバトルを展開してくれるわけではない。そこらの戦隊モノのほうが、よっぽどいい動きをしている。雑魚戦だけならまだしも、シンとのバトルですらそれなのだから、本当にガッカリだ。 いっそアクションを諦めてエピソード重視にするという方法もあったが、やはりそれでは納得しないファンが多いのも事実。完成度の高いエピソードで良作を作ったところで、北斗の拳という作品の持つイメージがアクションである限り、それはもう失敗作なのだ。それじゃあどうすればよかったのかと言うと、結局こんなのは作らないのが一番良かったんだなあ。 散々貶しておいてなんだが、個人的には、映画としての出来はそこまで悪くないと思う。北斗の拳と重ねずに観れば、十分観れる作品だと言っていい。安い制作費の割にはなかなか味のあるセットが組まれているし、スタントも派手に頑張っている。村が盗賊に襲撃される場面や、ケンが七つの傷をつけられるシーンの痛々しさなどは、実写でしか表現できないリアルな演出だ。ユリアを除く全登場人物が小汚いというのもやけに現実的で、そう考えると、アニメの真ピンクの服を着たリンの方が変に思えてくる。そしてケンシロウ役のゲイリー・ダニエルズも、殺陣の構成が悪いだけで、アクション自体はなかなか上手い。特に蹴りのフォームが綺麗だ。同じキャストで、漫画を原作としない映画を撮れば、きっともっといい作品に仕上がっていただろう。 |