ゲームとしての難易度はかなり低く、さしたる謎解きもなくサクサク進められる。確か幼少の頃、私は2日でクリアした。頑張れば1日でクリアも可能だったが、聖帝十字陵が見つからずに無駄に時間を食った故に二日かかってしまった。 このゲームの特徴は、オリジナリティー溢れるフィールドシステムだ。まず、フィールドを歩いて街から街へ移動するという概念が無い。イメージとしてはアクションゲームなどの「面」に近いもので、まずそのエリア内で村からスタートし、敵のアジトへと赴き、目的を達成したら「いどう」で次の「面」へと飛ぶ、という感じだ。まあルーラ無しであっちゃこっちゃ行き放題なので便利っちゃ便利なのだが、なにぶん世界が繋がっていないので、どうもRPGの醍醐味を感じられない。説明書には一応下記のような世界地図が載っているのだが 正直、全く意味が無い。だって、繋がってないから。 エリアは全部でっかい真四角に広がっている。その中のどこかに敵のアジトなどがあるのだが、これを探すのが意外と面倒くさい。普通のRPGのフィールドってのは地形というものが存在し、ある程度次の目的地を暗に示されているものだが、真四角のエリアではその常識は通用しない。ペンキ塗りの要領で見回っていかないと、発見するのは難しいわけだ。この所為でわたしは聖帝十字陵の発見が遅れた。 対照的にダンジョンは、迷路的な要素が殆ど無く、まず迷わない。しかし代わりに、どえらく長い一本道を歩かされたりする。歩行速度も結構遅いので、かなりイライラさせてくれる。 そして最も独創的かもしれないのが、エンカウント。一歩歩くごとに雑魚が襲い掛かってくる鬼エンカウント地帯があるかと思えば、全く敵の出ないエリアもあったりと、凄まじいほどムラの多い配置を実現している。しかしこれはある意味リアルとも言える。ケンシロウという男を相手に、順番に1〜4人ずつ襲い掛かっていくというのは、あまりにも効率が悪い。ウワーッっと一気に襲いかかって、あたたーとケンさんに蹴散らされるというのが北斗の拳の(特にアニメでの)お約束じゃないか。 さて北斗ファン的にはシステムよりシナリオの方に注目せねばならないわけだが、ハッキリ言って台詞が少なすぎて、原作読んでいない者にはちんぷんかんぷんな出来となっている。これはもうファミコンという容量を考えると仕方の無いことなのだが、正直、ファン的にはこれくらいでいいのかもしれない。というのも、PSで出たアクションの北斗の拳も、同じように原作に沿ったストーリーだったのだが、あまりにも原作の場面を再現しようとしすぎて、合間合間のムービーが非常に長く、正直かなりウザったらしいモノになってしまったからだ。北斗の拳のストーリーというのは意外と複雑なのである。こんなもんをちゃんと判りやすく再現しようというのは、どだい無理なのだ。美麗なCGと生音声でならともかく、こんな荒いドット絵で、ひらがなカタカナをふんだんにつかった原作再現なんで、誰が見たいと言うのだ。原作読んでねえやつはプレイするな!っていうこの排他的な作りは、結果的に成功だったのかもしれない。無理矢理褒めてみた。 このゲームで一番頑張っているのは、なんといってもグラフィックだろう。キャラクター紹介を見てもらえれば判ると思うが、あれだけ数多くのキャラクターを巨大ドット絵で制作してもらえただけで、ファン的には納得せざるを得ない。少佐とかアルフまでボス級の大きさですよ。次作の北斗4なんか全部で6キャラしか巨大絵無いってのに。それにケンシロウだけを見てみても、明らかに3のほうが力が入っている。システムとかシナリオなんか気にするな。北斗ドット絵鑑賞ゲームと思えばいいのだ。
あと、ビルの廃墟具合や、緑のカケラも見えない荒廃したフィールドも、やけに忠実に北斗の拳の世界観を再現しているといえる。海が枯れていないのは御愛嬌だ。しかしそこまで拘っているのに、ユリアやシュウのグラフィックが普通の村人達と一緒と言う手抜き具合なのは何故なのだろう。歩行チップの少ないドット数では再現に限界があるからやる気が起こらず、バトルモードのほうだけに全力を注いだのだろうか。 そのほかもツッコミどころ満載なのだが、あとは実際にプレイしてもらうとして、最後に一つ褒めてあげたいポイントを紹介。 実はこのゲームの雑魚には、TVアニメオリジナルのキャラクターが結構登場しているのだ。別にアニメ版を踏襲したような場面やキャラが登場するわけでもないのに、なぜこんなところにだけアニメ要素を盛り込んだのかはさっぱり判らない。アニメ北斗に精通している者でなければ気付けない、なんとも限定的なこだわりだ。ここでその一部を紹介しておく。 こいつはユダ配下の美女狩り隊隊長のゴーレムだし こいつは聖帝軍のガルザス こいつらはリュウガにやられた盗賊集団だ。 ネタが細かいよ! |