白羅滅精
はくらめっせい
流派: |
北斗琉拳 |
使用: |
ハン(対 ケンシロウ) |
登場: |
原作(176話)/アニメ版(128話)/
北斗の拳3/北斗の拳5/真北斗無双/
モバイル真・北斗無双/リバイブ |
北斗琉拳の奥義。両掌から放たれる
闘気で離れた相手を攻撃する。
羅将ハンが、
ケンシロウとの闘いで使用。床石が崩れ、階下へと落ちたケンシロウに向けて上空から放った。しかしケンシロウの
天将奔烈に押し返され、奥義を無力化された挙句、自らも背後の塔まで吹き飛ばされた。
原作以外の作品では、SFCソフト
『北斗の拳5 -天魔流星伝 哀★絶章-』で
ヒョウや
カイオウ、
『北斗の拳(セガサターン版)』に登場する
魔道琉拳の
ホシムも使用する。
北斗の拳では「かめはめ波」と似た技として、よく
北斗剛掌波が挙げられる。だが手の形だけで言うなら、この白羅滅精の方が断然近い。両手首を合わせ、掌を相手に向ける。更には右手が上になっている所まで一緒だ。
並べてみると更に顕著に……というかこれ似すぎですね。
ちなみに、かめはめ波の初登場は1985年の3月。白羅滅精は1987年の3月なので、2年ほどかめはめ波の方が早い。元ネタを主張する権利はドラゴンボール側にあるだろう。あくまで冗談です。
余談だが、元ネタと言えば、SNKの格闘ゲーム「ザ・キング・オブ・ファイターズ」シリーズには、ハンを元ネタにした
ゼロというキャラがおり、
「白羅滅精」という一字一句同じ名の必殺技を使うことができる。
ただ「己の背後にブラックホールを発生させて謎の光体を引き込む」というアバンギャルドな術に改変されてしまっており、面影は全くないのだが。
●闘気波と考えた場合の違和感
TVアニメ版では、手を後ろに引く動作も相まって、一層かめはめ波感が増してしまう白羅滅精。
『真・北斗無双』では、球体型の闘気を放つビッグバンアタック風味だが、最近のDB超で「ただの気功波」よばわりされていたし、ほとんど差は無いと思われる。
『北斗の拳 LEGENDS ReVIVE』では炎っぽいエフェクトになっているが、闘気を放って吹っ飛ばすという点においては変わらない。
このように、細かい違いはあれど、白羅滅精は「かめはめ波」と似たような闘気波という扱われ方が一般的だ。「離れた状態から両掌を突き出す」という絵面なのだから、当然と言える。
だがこれはあくまで
状況証拠に過ぎない。白羅滅精がどのような奥義なのか、実際の所は不明なのだ。原作でもTVアニメでも、
ハンの手から闘気らしきものが放出されている描写は一切確認できない。ケンの天将奔烈の方はバリバリ視えているのに、である。
そもそも白羅滅精を闘気波として考えた場合、
違和感がある。
一つ目は、
ハンが白羅滅精を止めに使用している点。技を撃つ直前に
「とどめだ!」叫んでいる事からも、ハンがこの一撃でケリをつけようしていたことは間違いない。だがこの時点までのハンは、拳速を最大の強みとしていた。そんな男が
いきなり闘気波をフィニッシュホールドに持ち出してきたことに違和感がある。
「北斗琉拳は闘気の扱いに長けているのだから奥の手が闘気波でもおかしくないのでは?」と思われるかもしれない。だがハンは、他の二人の羅将と比べても明らかに闘気量で劣っている。だからこそハンも、兄弟子達にも負けない「拳速」という長所を磨いてきたのだろう。にも関わらず、結局最後は闘気波に頼るというのはカッコ良くないし、しっくりこない。
もちろん、ああ見えてハンも凄い闘気を持っていた可能性も十分ある。だがその場合、別の問題が生まれる。闘いを決着しうるほどの技と言うわりには、
白羅滅精は弱すぎるのだ。これが違和感の二つ目。
あの場面、先に技を撃ったのはハンの方だった。それを見てケンシロウも天将奔烈を撃ち返してきた。もし白羅滅精が、天将奔烈と同じく闘気を放出する技なのだとすれば、
両者の闘気が空中で衝突していなければおかしい。それこそドラゴンボールでよくあるじゃないですか。エネルギー波同士で押し合いになるやつ。あれですよ。
北斗世界では闘気同士が干渉することはないという考え方もある。だがその場合は、互いの闘気波がすり抜けるわけで、
ケンシロウのほうにも白羅滅精が届いているはず。なのでこれも成り立たない。
闘気が衝突する場面もない。すり抜けてもいない。となると、考えられるのは一つ。
白羅滅精は一瞬で天将奔烈にかき消されているのだ。これはつまり、両者の闘気波に圧倒的な格差があった事を意味する。ケンが寝ころびながら撃ったような技にコールド負けを食らう……ハンはそんな貧相な技を撃って「とどめだ!」などと叫んだというのか。否、ありえない。
ならばこうは考えられないだろうか。白羅滅精が闘気を放つ技であることは間違いない。しかし同じ闘気波であっても、その性質は全く別……かめはめ波や北斗剛掌波のように、
圧縮した気をぶつける事での打撃、爆発、滅殺等を目的とした技ではなく、もっと別の効果を狙った技なのではないか。
そうなれば白羅滅精が簡単に撃ち負けたのも納得がいく。もともと破壊を求めた技でないのだから、その衝撃力自体も殆ど無いわけで、天将奔烈の闘気にかき消されるのも当然だ。またそう考えることで、ハンの自尊心も守られる。もし白羅滅精と天将奔烈が同じ性質の技だった場合、あれほど完膚なきまでの敗北を喫したハンのプライドはズタズタになるはず。だが彼は、ケンがラオウ様の技を使った事に驚いただけで、己の技が撃ち負けた事に対する驚きや焦燥はなかった。それは、地力が劣っていたのではなく、技の性質的に負けて当然だという風に受け止めていたからに他ならない。彼は腕相撲で負けたのではない。ジャンケンで負けただけなのだ。
ならば真の白羅滅精とはどんな技なのか。正直、そんな事はどうでもいい。私としては白羅滅精が「かめはめ波の型をパクったクソザコ闘気波」のように思われなければそれでいいのだ。
まあ強いて挙げるなら…
相手の闘気を消滅させる技なんてのはどうですかね。
根拠はほとんど技名に拠るのだが…「精」という字には、人間の活力、エネルギーという意味がある。要するに"気"だ。つまり
「滅精」は「闘気を滅する」と読める。相手の闘気が消失すれば勝利は確定したも同然なので「とどめだ!」にも違和感は無いし、これ自体に破壊力は無いので天将奔烈にかき消されるのも当然だ。
ちなみにFCソフト
『北斗の拳4』の
闘気滅殺とか、
『北斗が如く』の
冥斗鬼影拳なんかにもそういう効果の技があるんですよね。ていうか原作にも闘気を吸収する技がいくつか登場しているのだから、闘気を霧散させる技があっても全然不思議ではない。
生気を抜かれた人間は、血の気が失せ、真っ白になる。まるで白き衣を纏ったかの如く。白き羅(薄衣)…つまり「白羅」である。 闘気を滅し、相手を蒼白にする拳。そこから付けられた名が「白羅滅精」……なんてどうでしょう。白き雪を血の紅に染める男の必殺技が、逆に相手を白く染めるというのも皮肉が効いていて面白いじゃないですか。