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北斗剛掌波
ほくとごうしょうは



流派: 北斗神拳
使用: ・ラオウ(対 ケンシロウ)
 …北斗の拳(124話)アニメ版(100話)
・バラン(対 サトラ)
 …北斗の拳(234話)
・バラン(対 ケンシロウ )
 …北斗の拳(234話)
・ケンシロウ(対 バラン)
 …北斗の拳(234話)

・ラオウ(対 ゴラム)
 …ラオウ外伝
・ラオウ(対 砂漠の村を覆うシート)
 …ラオウ外伝
登場: 北斗の拳/アニメ版/ラオウ外伝/ラオウ伝激闘/北斗の拳3/
北斗の拳4/北斗の拳6/北斗の拳7/セガサターン版/PS版/
激打2/激打3/DS版/PSP版/審判の双蒼星/北斗無双/
真北斗無双/北斗が如く/ONLINE/リバイブ/モバイル真・北斗無双


 掌から圧縮された闘気を撃ち出す北斗神拳の奥義。ラオウケンシロウとの戦いの中で使用したが、無想転生によって空を切らされた。

 かつてラオウから拳を盗んだというバランもこの拳を修得しており、サトラを壁に吹き飛ばすほどの威力を見せたが、ケンシロウには通用せず、直撃前に闘気を宙へと霧散させられた。逆にその後ケンシロウから「本物の」剛掌波を撃ち返され、多大なダメージ負わされている。

 『ラオウ外伝 天の覇王』では、ラオウが鬼王ゴラムに対して使用。幽冥狼牙拳で飛び掛ってきたゴラムを迎え撃つように使用し、その衝撃で体を粉々に打ち砕いた。後に、砂漠の村を覆い隠すシートを吹き飛ばすためにも使用し、隠されていたその村の姿を白日の下に晒した。

 ゲーム作品にもラオウを代表する技として頻繁に登場しており、特に『パチスロ北斗の拳』で印象的な存在として扱われたため、その知名度は更に高まった。

 『北斗の拳4-七星覇拳伝 北斗神拳の彼方へ-』では、リュウリュードといった拳士が使用可能だったが、主人公は使うことが出来なかった。

 『北斗が如く』では、スフィア・シティの扉を破壊するために放ったが、かつて核の炎にも耐えたほどの強度であったため、傷一つつけられなかった。




 パチスロ北斗の拳で一躍メジャーとなり、ラオウ様の代名詞とも言われる存在にまでのしあがったこの技。だが原作においてラオウ様が(技名を言って)使用したのは一度きり。しかも無想転生にて反撃され、結局技を出す前に潰されてしまっている。なのにやけにこの奥義の人気は高い。その理由は、この奥義が持つ魅力にあると思う。北斗剛掌波のファン第一号といえばやはりバランだろう。剛掌波を目にしたからこそバランはラオウ様に惚れこみ、そのラオウ様に少しでも近付くために剛掌波を会得した。彼はラオウ様のこの拳に「神」を見たのである。
 ただ北斗神拳の奥義の中において、この闘気の塊をぶつけるという技は殺傷力という点でさほど上位に位置づけられないだろう。剛掌波がどれだけの衝撃力を持っていようと、肉体を内側から破棄するほうがどう考えても致死率は高い。しかし覇を唱える者に求められるのはそのような暗殺拳ではないのだ。圧倒的な力による破壊。それも離れた場所にいる相手を纏めて一撃で粉砕するという人間の域を超えた力こそが覇王の絶対的な力の証明となり、そして人々に圧倒的な恐怖を与えるのである。

 ところでこの技、多くの人が「かめ○め波的もの」として捉えているようだが、私の見解は少し違う。意外とこの技、あまり遠距離で撃たれていないのである。腕二本分くらいあれば届くくらいの微妙な間合いから使用されているのだ。その点を踏まえて考えると、この技は「闘気をぶっぱなしてあとはおまかせ」という技ではなく、掌打の威力を倍加させるようなイメージの技なのではないかと思う。掌打を打ったその勢いで闘気を放つことで、間合い外の敵にもその掌打の威力を運ぶ・・・いや闘気自体が持つ熱量や滅殺力も加わり、更に破壊力を増すと言うのが正しい見方なのではないだろうか。離れた敵を攻撃する技とはいえ、距離が離れれば離れるほど闘気の推進力が落ち、技の威力も落ちる。無論、距離が開くほど回避される可能性も高まるという理由もあるだろう。故に遠距離というよりは中距離で用いられているのだ。

 しかし中距離技だとしても、ラオウ様が使用した場面は中距離とも言い難いほどにケンシロウと接近した間合いであった。何故ラオウ様はあの場面で剛掌波を選択されたのか。それは、ケンシロウが見せていたのがトキの静水の動きだったからである。かつてラオウ様がマミヤの村でトキと拳を交えた際、ゆるゆると動くトキに対し直接攻撃を仕掛けたラオウ様は、その拳を透かされて間合い内へと踏み込まれ、喉元に鋭い拳を突き立てられた。おそらくケンの動きを見たラオウ様の脳裏には、あの場面がフィードバックしたのだろう。静水の動きに対して迂闊に直接攻撃は出来ない。過去の経験則からそう判断したラオウ様は、間合い外から攻撃できる剛掌波にて「様子見」をしたのだ。だが結果、ケンシロウはレイの突進力を再現した動きで一気にその間合いを詰め、脇腹に傷を負わせた。攻めの剛掌波ではなく、逃げの剛掌波という弱気を突かれたあの場面はラオウ様が完全なる敗北を喫したシーンと言えよう。いや・・・その前にあそこで技名叫びながら撃っちゃった事の方が迂闊だった気もするね。