![]() 今でこそ存在を受け入れられるようになったが、やはり当時の一番の問題は「天帝拳」の使い手なる完全オリジナルキャラクターが主人公だった事だろう。ケンシロウやレイやトキといった原作のヒーロー達が惜しげもなく登場するのに、主役はいつも見知らぬアイツ。これでは盛り上がるものも盛り上がらない。もし主人公をPTから外せるシステムが搭載されていたならば、殆どのプレイヤーが原作キャラで固めた4人で旅していたであろう。こんなキャラゲーに、原作キャラを超えるほどに強いオリジナルキャラなど誰も望んではいないのである。 敵役の魔皇帝軍の設定が薄すぎたのも失敗の1つだろう。前作北斗の拳4では「表南斗に追放された裏南斗六聖拳」「元斗皇拳と北斗琉拳が融合した元斗琉拳」といった、安易ながらも子供心にワクワクさせる設定の敵が登場してきたのだが、本作はそういった敵側の設定が全くない。魔皇帝が「魔皇拳」を使うというだけで、その配下の者達はどんな拳を使っているのか全く明らかにされないのだ。そんなわけがわからん奴らに、原作キャラのヒーロー達が苦戦させられるような展開を見せられても、面白かろう筈がない。 ![]() 勿論RPGとしてもクオリティは低い。特に目新しいシステムが組み込まれたわけでもなく、どこも変わり映えしない街並み、ダンジョンと、SFCのスペックが全く生かされていない。まあ前作から僅か1年ちょいでの発売という期間の短さから考えても、大幅な進化は期待など臨むべくもないのだが・・・。ただ1つ、子供心にツボにはまったのは、敵が死ぬ時の「あーっべっしっ!!」の断末魔ボイスである。これがなかなか爽快で、奥義で敵を一掃した時などは大変心地よかったりする。他のRPGでは真似できない、北斗ならではの部分であろう。あべしだけでなく、もう少しバリエーションがあれば、それだけで作品の評価も上げられたのではないかと思う。そういえば前作のレビューでも同じような点を褒めたな。やはり北斗の拳という作品の置ける断末魔というものの存在は限りなく大きいのであろう。 次作の北斗の拳6からは、時代に乗っかって格闘ゲームになってしまったため、結局この作品を最後に北斗の拳のRPGは製作されていない。まあガンホーが出したオンラインゲームも一応RPGのようなものなのだが、それも7億の赤字を出す大失敗に終わってしまった。やはり北斗の拳という作品はRPGとは相性が悪いのかもしれない。 |