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ハン



登場:原作(170〜177話)TVアニメ版(126〜129話)
肩書:第三の羅将
流派:北斗琉拳
CV:戸谷公次(TVアニメ版)
   桐本琢也(真北斗無双)
   矢部雅史(DD北斗の拳2)
   小西克幸(リバイブ)

 修羅の国第三の羅将(羅将捨明王)。北斗琉拳の使い手。疾風の如く速い拳を持ち、いまだかつて誰も拳の影すら見たものはいないと自負している。野心を持つ者しか認めず、常に配下の者達に命を狙われながら暮らしている。

 リンをつれてきたボロが刺客であることを見抜き、正体を現したシャチと対決。一蹴するも、仕込んでいた鉄板により致命傷を与えられず、シャチは逃亡。去り際に、いずれリンが死を呼ぶことになるだろうと予言された。

 その直後、予言された通りにケンシロウが登場。相手が北斗神拳の使い手であることを知り、心躍らせながら戦いに臨み、五分の戦いを展開。その中で相手がケンシロウである事を知り、この修羅の国がケンの故国であることを告げ、動揺を誘発。終盤、徐々に脚の自由を奪ったケンシロウに対して斬風燕破を放ったが、同じように自らも徐々に視神経を封じられており、拳は心臓を外れ不発。そのまま反撃の連続拳を喰らい敗北した。死に際に、ケンシロウでは第二の羅将ヒョウには勝てない事を予言し、川へと落下した。後に遺体がヒョウの城へと流れ着いている。


 TVアニメ版では、下僕の女に注がれた毒入りワインを一気に飲み干すという狂気の行動を見せた。




 いわゆる修羅の国編の区切りとなる中ボス的な存在。その強さも申し分なく、ケンを手こずらせた度合いという意味ではヒョウよりも上だ。彼の武器は高速の拳だが、実際は両手をガッチリ組んでのプロレス的な事も行っており、決して速さだけではない事も証明されている。数多くの名言やそのダンディズムなお髭で、虜にされた者も多いだろう。しかし、彼には謎が多い。基本的に死後は完全無視されており、過去のエピソードにも全く顔を出す事も無かった。赤子の頃のケンを知っている事から考えても、北斗宗家に関わっていたことは間違いない。幼少期にその姿を確認できても良さそうなものなのだが・・・。まあ所詮北斗宗家に関わりの無い者の扱いなど、ジャギと同じくこんなものだという事か。ちなみにジャギとハンは共に戸谷公次氏が声を演じておられる。

 彼の生き様は、卑怯者やアホな兄達よりも相当格好よかった。彼は心から戦いを好み愉しむ、根っからのファイターであった。部下達に命を狙わせることで24時間戦いに身を置くという異常なまでの好戦的な性格は、まさしく修羅と呼ぶに相応しい。そう、彼は修羅の象徴であり、修羅の国とはハンの意志が具現化したようなものなのだ。修羅制度を考えたのもカイオウではなく、彼なのではないだろうか。バトル大好きなハンが、退屈せずに暮らせるよう考えた法律。それこそが死闘制度であり、非情の修羅の国を生み出したものなのではないかと思う。しかし死闘制度を続けていれば、いずれ村人達も滅び、労働力は失われる。それは食の断絶を意味し、修羅の国も滅びる。故にカイオウは、ハンの支配するエリアだけは死闘制度を残し、カイオウやヒョウの支配するエリアからは掟を撤廃したのではないか。故に修羅の質も落ち始め、海賊達や北斗の軍にも敗北するような弱小修羅達が生まれたのではないかと思う。ハンの理想とする世界は、人間という生物が生きて行くために必要な性の前に、不完全に終わったのである。


 そんなバトル大好きな彼の不運は、北斗琉拳を学んだ事なのかもしれない。戦いが趣味である彼が、修羅の国の最強拳である北斗琉拳を学ぶのは自然な事だった。しかし、その拳はあまりにも強すぎた。これにより並の男達との戦いは、もはや勝負として成立せず、彼は満足を得られなくなってしまったのだ。ゲームを愉しんでキャラを育てていたら、いつの間にかレベルマックスになっており、その後の展開が全く面白くなくなってしまった。そんな感じなのだろう。ならば兄弟子達に挑んでみるのも良かったような気もするのだが、まあカイオウにはどう考えても敵わないことは判っていただろうし、彼も一応北斗宗家の一族であった事を考えると、宗家の血を引くヒョウには手出ししにくかったのではないかと思う。正直、魔界に入る前のヒョウになら勝てそうな気もするのだが。

 そんな彼が待ち望んでいたのは、自分を退屈から解放してくれる強い男だった。そしてケンシロウという理想の訪問者を迎えたわけだが、彼が本当に待っていたのはラオウだったんじゃなかろうか。退屈で死にそうなハンの唯一の生きがいが、救世主と呼ばれるラオウとの戦いであり、彼はそのラオウの強さを身を持って知っていたのではないかと思われる。ハンは、天将奔烈がラオウの拳である事を知っていた。つまりそれは、幼少期ではない、割と最近のラオウと会っているという事。また奥義を目にしているという事は、拳を交えている可能性が高い。タイミングとしては、ラオウがカイオウに宣戦布告をしに修羅の国を訪れたときだろう。あのカイオウとの対面より前に、ラオウはハンと戦ったのではないかと推測される。そして、ハンはその天将奔烈で一蹴されてしまったのではなかろうか。いずれまたラオウがこの国へ訪れ、再び合間見えた時を夢見て、ハンは常に戦いの中に身をおいて自らを高めていたのだ。ケンと互角にまで戦えるほど強くなったのも、全てはラオウへのリベンジが念頭にあったからなのである。