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経絡秘孔・破孔(1)
(北斗の拳に登場した秘孔)



[経絡秘孔]

 秘孔とは、人体に点在する、経絡(血の流れ、神経の流れ)を司るツボ。北斗神拳をはじめとした北斗の流派では、そこに指を突き入れ、を送り込むことによって、人体に様々な変化を齎すことを奥義としている。もともとは西斗月拳に伝えられていた技能であったが、シュケン月氏の民からこの術を学び、それを北斗宗家の拳と融合させたことで、史上最強の北斗神拳が生まれたとされている。
 秘孔は人体に708つあるとされており、突く箇所によってその効果も変化する。一方、北斗琉拳ではこれを経絡破孔と呼んでおり、その数も1109と、経絡秘孔よりも多い。だが作中でアミバが新秘孔をいくつか発見している事を考えると、まだまだ人体には発見されていない経絡秘孔が無数に存在しているものと思われ、その数は計り知れない。
 各秘孔には名称が付けられているが、作中で名称が明らかにされていない秘孔も多数存在する。それらは「秘孔3(名無し)」にて、効果別に紹介している。


 特に多く用いられるのが、肉体を内部から破裂させるという秘孔であり、この殺人術こそが北斗神拳の代名詞ともなっている。一度突かれれば、特殊な方法を除いては解除する術はなく、相手は確実にその身を爆ぜて死に到ることとなる。
 一方で、治癒効果をもたらす秘孔も存在し、時には完治に時間がかかる病気や怪我を、瞬時に治してしまう程の効果をもたらす。痛みや出血を止めたり、時には瀕死の重傷を負った者を死の淵から蘇らせたりすることも可能だが、不治の病に侵された者を治すことは出来ないらしい。
 その他にも、相手を意のままに操ったり、記憶を抹消したり、身体能力を飛躍的に上昇させるなど、様々な効果をもつ秘孔が存在し、その使用法も多岐に渡る。
 これらのメカニズムは明らかにされていないが、一説では、気をもってして経絡の流れを操作することで、普段脳から送られるものとは全く別の信号を身体へと送り込んでいるからだとも言われている。つまり脳から送られてくる命令には最初から制限がかかっているが、相手から送られてくる信号にはそれがないため、通常ではありえない人智を超えた現象を引き起こせるのだという。


 これらはまさに北斗の門派にのみ伝えられる秘拳であるため、誰にでも使えるというわけではない。実際に効果をもたらすためには、一拳に集中させたエネルギー(気)を、秘孔を通じて敵の内部に送り込む必要がある。故に、気を操ることが出来ない者が秘孔を突いたり、秘孔の無い箇所に気を送り込んだところで効果は現れない。また、気の強弱によってもその効果には差があり、力の弱い女子供が秘孔を突いたところで、拳を極めた者には通用しないこともある。強く突けば人体を破壊し、柔らかく突けば治癒の効果をもたらすとされており、後者のほうは大量の気を必要としないため、拳法を使えない者でも修練によって身につけることが出来る。
 秘孔の突き方は、指先で指突するのが基本的な突き方であるが、敵の破壊を目的とする場合には、拳で殴ったり、蹴りを当てるのと同時に秘孔を突いたりする場合もある。また北斗神拳には、闘気をもってして秘孔を突く奥義「天破活殺」も存在し、これを用いれば相手に触れずして秘孔を突く事も可能となる。


 秘孔の効果を封じる方法は幾つかあるが、北斗同士の戦いであれば「別の秘孔を突く事で効果を解除する」という方法が有効となる。ただし全ての秘孔効果が解除できるわけではなく、実際の所どれほどの秘孔が無効化出来るのかなどは一切不明である。また、秘孔を突いた相手が格下だった場合は、自らの体内に気を巡らせるだけで無効化することも可能である。
 サウザーは、「帝王の体」と称する肉体でケンシロウの秘孔を無効化したが、これは秘孔の位置が表裏逆という特殊な身体であったが故に正確に秘孔を突けていなかっただけであり、謎を解き明かされた後は、普通に秘孔を突かれて敗れ去っている。
 芒狂雲は、己の秘孔の位置を変化させるという北斗孫家拳の究極奥義「秘孔変位」にて拳志郎の秘孔突きを封じたが、決して動かす事が出来ない秘孔・奇穴の存在により、完全なる封じ技たりえなかった。
 その他にも、突かれた箇所の細胞を滅することで秘孔の流れを止めたり、刃を突き刺して秘孔を抉り取るという方法もあるが、いずれも代償のダメージは大きい。
 一風変わった存在として「秘雷孔の術」というものがあり、これを秘孔に仕掛けられたものは、別の誰かにその秘孔を突かれると爆死してしまうという、いわば秘孔の地雷とも言うべき術である。拳志郎はこの技の存在により、記憶を蘇らせる秘孔や、自白させる秘孔を突けなくさせられた。