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シュケン



登場:蒼天の拳(第167〜169、234〜236話)
   蒼天の拳REGENESIS
肩書:北斗神拳創始者
流派:北斗神拳 北斗宗家の拳
CV:大塚周夫(ぱちんこ蒼天の拳)
   佐藤拓也(蒼天の拳REGENESIS)

 北斗神拳の創始者。北斗宗家の拳の天才。

 戦乱の世を治める救世主となるため、西斗月拳の修得を目的に西域へ。そこでヤーマと出会い、恋に落ちると共に、彼女から秘孔術の理を教わった。
 その後、西斗の高弟達から本格的に拳を学ぶも、修得後にイザヤを含む兄弟子達全員を殺害。西斗月拳を悪しき者達の手に渡らせぬため、その秘術を封印するよう、北斗の高僧から命じられていたことが明らかとなった。しかし、自らの子を身篭っていたヤーマだけは殺すことが出来ず、自らの命を喜んで差し出してきた彼女の愛に号泣した。
 その後、北斗宗家の拳と西斗月拳を融合させ、史上最強の拳・北斗神拳を創始。天帝の守護拳としてこの世に平和を齎すも、自らが犯した罪を忘れず、生涯天に許しを請い続けた。





 北斗の拳ではぼんやりした姿でしか描かれておらず、ケンシロウのような短髪とオールバック姿だけが判別可能な程度だったが、いざ蒼天の拳に登場してみるとそのどちらでもないロン毛で「お前誰やねん」状態となった創始者さん。だがイメージが変わったのは見た目ではない。彼が起こした一夜の惨劇は、彼自身、そして北斗神拳の歴史に大きな傷を残すこととなった。人類史において、勝利者の裏には必ず抹消されし汚点がある。それは北斗神拳にとっても例外ではなかったということだ。

 ケンシロウは泰聖殿の聖碑にてシュケンの生涯を体感している。ということは、この事件ももちろん視たのだろう。だがそれは既にヤサカと和解した後の事。拳志郎が西斗月拳の事を全く知らなかったということは、それまではこの事件が全く公にされていなかったという事だろう。おそらくシュケン以降、どの伝承者も知らなかったのではないか。問題が起こる(ヤサカ出現)まではひたすら隠匿し、問題が解決(ヤサカと和解)したあとはまるで苦労話の一つであるかようにのんのんと語って聞かせる・・・。まるで腐った大手企業が如き体質だ。拳の創作のために手を汚したなら、せめて伝承者達にはその事を語り継ぎ、罪を共有していくべきではなかったのか。そりゃ狼もブチ切れるよ。怒られて当然でしょ。


 しかし、本当にそこまでしなけれがならないほど西斗月拳は脅威だったのだろうか。確かに超人的な拳法ではあるが、南斗や元斗をはじめ、それに匹敵しうる拳法は他にも多数存在する。シュケンの理屈で言うなら、北斗神拳以外の超人拳法は、全てこの世から抹消すべきではないのか(北斗の拳ではほぼそれを成したようにも思えるが)。

 だがその認識は少し違う。シュケンが、いや北斗の高僧達が真に恐れていたのは西斗月拳そのものではない、西斗月拳の持つ「秘孔術」が、他の拳法と交わること・・・つまり第二の北斗神拳とも言うべき最強拳の誕生を恐れていたのである。シュケンが、封印すべき存在の事を口にするとき「西斗月拳」ではなく「西斗月拳の秘術」と呼んでいる事からも、それは明らかだ。

 他にどれほど強い拳法が組み上げられようとも、攻守を極めた北斗宗家の拳と、一撃必殺の秘孔術を融合させた北斗神拳が最強であることは揺るがない。だがもし他の拳法が秘孔術と交わってしまえば、最強の座は一気に危うくなる。いや、今のままでも北斗神拳を渡り合える南斗らの拳法が更に秘孔術まで会得してしまったら、一気に抜き去られてしまう可能性のほうが高いだろう。

 そしてそれよりも致命的なのは、敵が秘孔の術を知れば、北斗神拳の秘孔術に対応策が練られてしまうという事だ。そう、それはまさに北斗宗家の拳が辿った歴史そのもの。かつて最強を誇った北斗宗家の拳も、受け技を極められたことで威を喪失した。それと同じことが、北斗神拳でも起こってしまうのである。北斗宗家は、歴史の中で二度目の「拳法の無力化」という屈辱を味わわされる事となるのだ。
 西斗月拳を抹殺した一番の理由が、「永久の平和を守るため」であることは間違いないだろう。だがその裏には「北斗神拳の最強の座を守るため」「再び拳法の威を失う事態を避けるため」という北斗の高僧達の個人的なプライドも多少は混じっていたのではないかと思う。

 そうやって考えると、実行犯であるシュケンもまた可哀想な被害者・・・・とまでは言えないだろう。だいたいシュケンもさ、どうせ殺すことになるって判ってるのにヤーマとマジ恋愛しちゃ駄目でしょ。男と女のことだから仕方ないけどさ、やることやって子供まで作ってんじゃないよ。オトコとして君も十分酷い奴だよ。