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陳狷民/陳永祥
ちんけんみん      ちんえいしょう



登場:第8〜78話
肩書:紅華会八番頭→二番頭
戦法:百連弾サブマシンガン
CV:二又一成

 紅華会の新七番頭(黄西飛呉東来の死亡後)。屁と商売が臭いという事から「イタチの陳」と呼ばれている。閻王にやられた所為で右手がハサミ型の義手になっているが、取替え可能であり、百連弾サブマシンガンなどの強力な武器を装備することも出来る。昔は貧乏猟師だったらしい。33話では「陳永祥」だが、死亡する78話では「陳狷民」と記されており、どちらが正しい名前なのかは不明。

 かつて身代金目的で北大路剛士を捕らえようとしたが、居合わせた拳志郎に妨害され失敗。顔面にラーメン鉢を叩きつけられて大怪我を負った。(この時は右手は失っていないため、後日再びやられた可能性有り)

 閻王復活後、他の幹部達と共に対策を練るも、黄、呉、といった兄弟達が次々と死亡。上海青幇に奪い返され、西湖にいる二番頭・張太炎に助力を求めた。しかし勢力を回復するには至らず、最後のアジトであった船を燃やされ、事実上紅華会は崩壊。右手をマシンガンに付け替え、閻王に特攻するが、既に闘いは終わったと太炎に諭され、新たな二番頭としての地位を与えられた。しかし沈みゆく船から脱出する術が無かったため、その直後溺死。

 TVアニメ版では、大炎を助けるために拳志郎を殺そうとしたが、ギーズにマシンガンを切断され失敗。その後、浜辺へと打ち上げられて生還し、己がボスとなって紅華会を復活させる事を宣言。揚子江飯店へと潜入し、潘光琳に銃弾を浴びせた。その後、平和飯店で拳志郎にも襲いかかろうとしたが、しこたま秘孔を突かれて爆死。




 十分悪党なのだが、他の紅華会幹部達のクセが強すぎてツッコミ役に回る事が多いため、比較的マトモな人物に見えてしまう人。だが彼らが身を置く世界、特に紅華会という悪鬼羅刹の集団の中では、マトモなどというステータスは鼻クソにもならない。実際、幹部の中でも格上である二〜四番頭を務めていたのは、黄西飛、呉東来、田学芳といった「異常者」達であり、陳は彼らが死んで昇格しても六番頭がせいぜいだった。

 おそらく、彼は普通に組員としての能力が無かったのだと思われる。組の資金源であるヘロインの精製もヘタクソだったようだし、以前には北大路剛士の誘拐に失敗している。閻王に邪魔されたからとはいえ、日本人1人の誘拐すらポカしたような奴が昇格出来る訳が無い。それに彼は太炎や他の幹部達との絡みが多く、精力的に動いているように見えるが、逆に言えば本来のお前の仕事はどうしたんだという事になる。つまりは基本ヒマなのだ。仕事を与えられていないのである。

 異常な性癖を持つ兄弟達ばかりが昇進していく中で、マトモな自分が評価されないのは、陳にとって辛い日々だっただろう。しかし、そんな彼にも遂に報われる時が来た。太炎が拳志郎に敗れ、紅華会を去ることになったと同時に、陳は太炎と同格になり、そして紅華会二番頭へと昇格を果たしたのである。だがあの時、紅華会は今まさに崩壊寸前。いや最後の希望である太炎が抜けた時点でもう完全に終焉を迎えていた。そんな死に体の組織で今更ナンバー2になったとて、喜ぶべきことではないはずだ。にも関わらず、あの時の陳の目には心の底からの歓喜の涙があふれていた。あの時の彼の頭にあったのは、昇格した後の小賢しい金計算などではなく、やっと自分の努力が認められた事に対しての喜びだけだったのである。結果的に彼はその約3分後には溺死してしまう訳だが、その前にあの涙を流せただけで、他の幹部達よりは遥かに幸せな最期を迎えられた・・・筈だ。