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呉東来
ごとうらい



登場:第8〜31話
肩書:紅華会四番頭
戦法:脚に仕込んだバネでの高速移動
CV:茶風林

 紅華会の四番頭。閻王にやられた傷がもとで、首と背中が一部機械化しており、ハンドルを回さなければ上半身を起こすことが出来ない身体になっている。普段は車椅子で生活しているが、実は普通に立つ事ができ、足裏に付いたバネで高速移動する事もできる。怒ったり驚いたりすると直ぐに銃を乱射する癖があり、敵味方かまわずその犠牲となっている。広東生まれらしい。
 かなりの女優好きであり、かつて潘光琳の恋人である楊美玉に手を出そうとしたが、全く相手にされず、その理由は己が潘よりブサイクだからだと邪推。いずれ潘を年月をかけていたぶり、醜くなったその首を美玉に届けることを約束した。その後、紅華会の隆盛に伴い、潘兄妹の始末を一任され、潘光琳を公肇山荘に監禁。公約どおり、足先を徐々にネズミに食わせるという凌遅刑に処した。

 閻王の行方が判ると同時に、日本大新世界に刺客を送り込むが、何れも失敗。閻王が次に狙うのは自分だとして、章元帥に頼んで霊王を呼び寄せ、自らのボディーガードにつけた。その後、楊美玉の誕生日パーティーに招待されるも、楊が閻王に協力して自らを誘き出した事を知り激怒。見せしめの為に潘を「龍虎闘」で調理しようとするが、駆けつけた拳志郎たちによって阻止され、最後は自らがその油釜の中へと放り込まれて死亡した。

 TVアニメ版では、原作で何度か呼ばれていた「ブタ」が、「トド」に変更されていた。



 個性の強すぎる紅華会の中でも群を抜いてヤベー奴。それがこの呉東来だ。彼と比べれば黄や田ですら礼節を弁えた紳士に見えてくるレベルである。

 中でも特筆すべきは、やはりあのサイコな性格だ。ネズミに足を食わせる凌遅刑や、人間をそのまま油で揚げる龍虎闘といった、部下ですらドン引きする拷問・処刑を嬉々として行う様はまさに異常者。黄も処刑遊戯を開催したりしていたが、あれは大半は金儲けが目的。呉はただの悪趣味でやっているから始末に負えない。

 そんな残忍な性格の割に、ハートは超がつくほどのチキン。ビビリ中に物音がしただけでパニックに陥り、目玉のおまわりさん並に銃を連射するという有様。報告が気に入らないというだけで部下を殺す理不尽さや、自分の名前すら書けない社会不適合者ぶりもヤバい。足にバネを埋め込んでピョンピョン移動するという発想を自分の身体でやってしまっているのも正気の沙汰ではない。

 しかしそのくせ女関係は意外に純。気に入った女にはとことんアタックして銃で脅すまでするものの、最終的には相手からの愛情を得られるまでは手を出すことはない。彼もまた愛に彷徨しているのだ。

 残忍さと理不尽。ビビリに無教養。そしてぶっとんだ発想と純情さ。これらの性格を総合して考えると、導き出される答えは一つ。そう、彼の中身はただの我侭な子供・・・それも小学生にも達していない、玩具屋でグズるレベルの3〜4歳くらいのガキそのものだという事だ。残忍な性格も、幼い子供特有の無垢な残酷さ・・・命の尊さを理解していない故の行為なのだろう。人間を油で揚げるのも、アリの巣に熱湯を注ぐのも、彼にとっては同じ「遊び」なのである。

 しかし真にヤバいのは、そんなデンジャラスなアダルトチルドレンが紅華会の四番頭にまで上り詰めていることだろう。しかも最大敵対勢力のボスである潘光琳の処理という大任を任され、頼みさえすれば霊王という最強のボディーガードまで招聘してもらえているのだ。それはつまり、呉が紅華会にとって無くてはならない存在であることの証明でもある。

 彼が重宝されている理由、それはまさに上で挙げたような彼の「子供」な性格であろう。通常の大人ならストップをかけてしまうラインでも、子供である呉東来は正常な判断能力が無いため、平然と超えてしまう。後先を考えない行動力は時に貴重な能力となるのだ。それがよく表れているのが、死に物狂いで大新世界に突入した呉の部下達である。彼らが恐怖したものこそ、まさに呉東来がもつ幼児性だ。いくらヤクザであっても、それ相応の理由が無いと普通は部下を殺したりはしない。理不尽に殺せば信頼も失うし単純に戦力も欠ける―――などというリスクを一切考えないのが呉東来という男。どんな些細な理由でも迷わず殺す。気に入らないから殺す。だからこそ部下達は死んでも命令を遂行する死兵となる。そう、それはまさに北斗の拳で言うところの拳王軍。ラオウ様がその圧倒的な暴力で部下達に与えた「背水の精神」を、呉東来はその幼児性で実現させているのである。


 余談だが、彼が潘を処刑するために行おうとした「龍虎闘」。これは実際に存在する料理で、蛇と猫を炊き合わる広東料理の三大絶品の一つなんだとか。正確には、コブラ、キングコブラ、金環蛇、の三種の毒蛇と、老い猫、メスの若鶏を入れ、各種調味料で作るらしい。