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ロック



登場:TVアニメ版(131〜133話)
肩書:コセムの息子
武器:短剣
CV:広中雅志

 修羅の国にて、6人の仲間達と共に、救世主と呼ばれるラオウの到着を待ち続けていた戦士。TVアニメ版にのみ登場したオリジナルキャラクターであり、ボロ達のリーダーであるコセムの息子という設定になっている。修練場に捕らわれていたチェーンの兄にあたる。

 かつては父に倣い、戦わないことを誇りにしていたが、目の前で母を殺され、更には友人が修羅に連れて行かれても何も出来なかった己の不甲斐なさを呪い、いつかこの国を変えてやるという思いを抱くように。同じ志を持つホセ、ハンス、ウェイン、ロペス、フランコ、サンチョと共に、いつかラオウと共に戦う日を夢見て修行の日々を送った。

 ラオウ襲来を知らせる赤水を見て行動を開始するも、ボロ達の反乱は悉く失敗に終わり、父コセムも瀕死の状態になっていると知り落胆。ラオウが死んでいる事、そして修羅の国に来たのがそのラオウを倒したケンシロウなる男だと告げられ、父の形見であるラオウとの約束のペンダントを手に、仲間達と共に「ラオウの軍」を結成した。

 初陣として、捕われた村人達を解放するために収容所へと攻め込み、大入道の部隊を撃破するも、後を次いで現れたシエに苦戦。その後、現れたケンシロウによってシエは撃破されるが、そんなケンシロウに対し、二度と目の前に現るなと罵った。

 西の砂漠の村が襲われたという話を聞いて出陣するが、村人達を人質に取ったギャモン一味より、ケンシロウの抹殺を命じられ、それに同意。峡谷でケンを襲い、落石の下敷きにした。人質の身柄を受け取るためにギャモンの秘密の砦へと赴くが、素直に返して貰える筈もなく、鉄格子の中に閉じ込められてしまう。それを予想して呼んでおいた民衆達もギャモンに一掃され、絶体絶命となるが、ケンシロウによって救われ、ラオウ伝説を次ぐのは自分ではなく、ケンシロウであることを確信した。

 その後、ジュウケイを訪ね、ヒョウの親衛機甲団を襲うことを報告し、もし敗れたときには村人達の命を守ってもらうよう依頼。そのジュウケイより、ヒョウはケンシロウの実の兄であること、そしてそのヒョウの記憶はジュウケイより奪われている事を知らされ、自分達の手でヒョウを倒さねばならないと決意。とある村でヒョウの親衛機甲団を待ち伏せ、たった七人で戦いを挑んだ。善戦するものの、仲間は次々と殺され、残るは己とホセだけに。挑発によりヒョウを引きずり出したが、敵う筈もなく敗退。ケンに真実を伝えるため、ホセの命がけの身代わりによって何とかその場から逃げることには成功した。瀕死の状態で馬に運ばれ、ケンシロウに再会する事はできたが、ヒョウと戦うなとだけ告げ、その理由は語れないまま息絶えた。




北斗2でのアニオリキャラの代表格。元ネタは1960年の米映画「荒野の七人」。過去の北斗のエピソードを振り返ってみても大変珍しいタイプで、アニオリ仲間キャラとしては最強といっていいだろう(善人って少ないんだな…)。たった3話の登場ではあったが、この131話から133話までは間違いなくロック達が主人公であり、これほど話の中心として描かれたアニオリキャラは他には見受けられず、まさにベストオブアニメオリジナルキャラと言っても過言ではない。その容姿も派手で、オトコマエのフェイスに風に揺れる銀髪、元ネタである西部劇の舞台を駆け回るカウボーイの如き手綱捌きはカッコイイの一言に尽きる。

 しかし残念ながら、あまり人気を博したとは言いがたい。どうもアニメ北斗好き達の中でも、魅力あるキャラとして挙げられる事は少ない気がする。理由はいくつかある。まず、修羅の国のアインと言うべき、微妙な強さ。むこうの大陸ならともかく、拳法もなしでこの修羅の国を戦い抜こうというのはあまりに無理がある。まあその割には大変にがんばったとも言えるのだが、登場したときから限界が見えるようなキャラにそこまでの期待は持てないというのが本音だ。人はやはり強者が好きなのだ。

 次に、リーダーであるロックの地味な戦い方である。短剣はやはり地味だ。短剣で修羅と渡り合えるということはそれだけの体術がある証拠であり、それならもっと別の見栄えする方法もあったんじゃないかと思う。個人的には好きだけどね、短剣。

 ロックにいい印象がない点として決定的なのが、死亡シーンだ、ボロボロになりながらも運よくケンシロウに再会できたと言うのに、大事な事を伝えられずに息絶えたあのシーン。結局戦力としてはほぼ役に立たなかった上に、用件を伝えるという役目すら果たせなかったと言う死に様は「役たたねえなこいつ」と視聴者に印象付けるに十分であった。実際、私も昔はそう思ったし。あと、ついでに言うなら登場させる時期も悪かったかな。だってシャチと色々カブってんだもん。年恰好や銀髪を含め、もうすこし差別化できなかったのだろうか。どうせなら40代くらいのシブめのオジサマキャラにしていたほうが、人気出たんじゃないかなぁ。まあ、それこそ本家の荒野の七人になっちゃうけど。

 しかし彼の本当の存在意義は、ケンの戦力となることでも、ヒョウが兄だと伝える事でもない。「ケンシロウを認める事」なのだ。ロックの父・コセムは、ケンシロウではこの国は救えない、ラオウを倒したケンシロウは希望を奪った疫病神。そう思いながら、無念の中で息絶えた。息子ロックもその意思を受け継ぎ、ケンシロウを忌み嫌った。しかしケンシロウと共に戦ううちに、この男ならラオウ伝説を次げるかもしれない。ケンこそが新たな救世主なのだと確信する。死んだ父コセムにかわり、ケンシロウにこの国の希望を見出す事。それがロックに託された役目だったのである。無念を残したコセムの魂はロックへと乗り移り、ケンシロウという光をその目で見た後、ロックと共に悔い残すことなく天へと帰ったのだ。