
ラオウの意志を継ぎ、この国を救う。そう決意したケンシロウであったが、この国に語り継がれるラオウの名は余りにも大きかった。あんたが来た所為でチェーンは死んだんだ。ケンが名を名乗った瞬間、コセムはそうケンに喰ってかかった。この国が求めていたのは、ラオウであってケンシロウではない。コセムのその姿は、この国の総意を体現していた。遺体を炎で弔った後、気を失ったコセムを抱え、ケンは孤独の荒野へと歩き出す・・・
砂塵の中ケンが訪れたのは、同じように修羅に壊滅させられた村であった。死体転がる凄惨な光景を前に、立ち尽くすケン。その時、馬の蹄の音と共に7人の男達が姿を現した。惨劇の跡を眺める彼等の目は、ケンと同じ哀しみに包まれていた。投げ渡したポケットフラスコで彼等を弔うようケンに頼み、男達は再び砂塵の中へ姿を消したのであった。
村に戻ったロックが見たものは、傷ついた父コセムの姿であった。そしてそのコセムの口から語られた事実に、ロックは愕然とした。弟チェーンが死んだ事。救世主と信ずるラオウが既に死んでいる事。そしてこの国に来たのは、そのラオウを倒したケンシロウなる男である事。ロックは、今までラオウと共に戦うために腕を磨いてきた。そして赤い水を見て、やっとその時が来たのだと信じて帰ってきたのである。そして今またロックには哀しい別れの時が迫っていた。ラオウ様はいつまでも我々の心の中に生きている。そう言ってコセムは、あの約束のペンダントを形見に残し、静かに息を引き取ったのであった。ロックの腹は決まっていた。ラオウ伝説は俺が引き継ぐ。仲間達と共に、父の墓の前でそう誓うロックは、手始めにまず拐われた村人達の解放を目指す・・・
立ち寄った村の人たちは、ケンの姿を見るなり建物の中へと隠れてしまった。それはロックと同じく、ケンシロウを受け入れないという民衆の心の表れであった。この国にとってケンシロウは救世主ではなく、ただラオウを殺した男という存在でしかなかったのであった。| [漫画版との違い] ・シエとケンとのバトル、ハンの遺体がヒョウのところに流れ着く以外はほぼアニメオリジナル。 ・原作のコセムはブロンのブーメランで殺されるが、アニメではその後も生存。ブロン死後にケンに食って掛かり、その後気絶して自分の村へと運ばれ、そこで死ぬ。 ・シエvsケンは、原作では不帰の谷だが、アニメでは収容所 ・原作でシエが自滅した地面の仕掛けは無く、秘孔を突かれて死亡した。 |
|
| 第130話へ≪ | ≫第132話へ |