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[第130話]
非情の予言!ケンシロウ、
お前は救世主になれない!!


 ボロ達のリーダー・コセムは、右手に握り締めたペンダントを掲げ上げた。それは、コセム自身が交わしたラオウとの約束の証であった。この国が地獄と化そうとしていた数年前、命をかけて海を渡ったコセムは、ラオウとの接見を果たしていた。国の危機を伝えられたラオウは、いつか海を渡る事を約束し、コセムにペンダントを渡したのである。そして今、約束の時は訪れた。今こそラオウ様と共に戦うとき。コセムのその言葉に、武器を掲げて沸き立つボロ達。彼等はまだ知らなかった。彼等の見た伝達の赤水が、誤りであることに・・・

 ボロ達と対照的に、赤い水は修羅達を震え上がらせていた。ラオウが来る前に逃げようと考えた修羅は、車に乗って逃亡しようとする。しかし、その行く手を阻んだのは、彼等のリーダーであるブロンであった。運転席の修羅を殴り飛ばした後、恐れ慄く修羅達にブロンは言い放った。この国に来たのはラオウではない。ケンシロウという男であると。起死回生のその知らせに、安堵の表情を浮かべる修羅達。しかし、逃亡を謀った彼等の罪は許されるものではなかった。臆病者の烙印を押された彼等に待っていたのは、ブロンとその側近達による制裁であった。

 夜。子供達の囚われている修練場の周りには、続々とボロ達が集い始めていた。反撃の狼煙として、彼等はまず修練場に囚われている子供達を解放しようと考えたのである。どこから沸いたとも知れぬ凄まじい数のボロ達の夜襲を受け、修羅達はあっけなく全滅。ボロと子供達が感動の対面を遂げる中、コセムも息子チェーンとの再会を果たしたのだった。しかしその歓喜の声は、飛来した巨大なブーメランによって打ち砕かれた。ボロ達の動きを察知したブロンは、既に修練場へ駆けつけていたのである。そしてその口からは、彼等の希望を打ち砕く非情の真実が語られた。この国に来たのはケンシロウという男であること。そして救世主と崇められるラオウは、既に死んでいるのだという事を。希望の失われたボロ達に、もはやブロンに対抗するだけの気力など、あるはずも無かった・・・

 北斗七星を見上げながら、ケンは己の血の滾りに考えを巡らせていた。北斗琉拳。その使い手であるシャチと三羅将。この国が己の故郷であるという事。そして、ラオウでなくては羅将ヒョウは倒せないというハンの言葉。残された多くの謎と、それに繋がる己の宿命の正体を、ケンはまだ知りえてはいなかった。

 修練場へと訪れたケンが見たのは、惨殺されたボロと子供達の死体の山であった。そんな中、唯一息があったのはコセムは、抱き起されたケンに小さく呟いた。何故ラオウ様は来てくれなかったのだ、と。そのコセムの言葉は、この国に生きる村人達の総意でもあった。とその時、修練場に高笑いが響き渡った。声の主は、この反乱分子たちを一掃したブロン一味であった。ボロ達を卑下し、ラオウとの約束の証であるペンダントヘッドを折り曲げるブロン。非道なそのブロンの行いは、久々にケンの怒りを爆発させた。放たれたブーメランをキャッチしたケンは、それを折り曲げてブロンの顔面へ。己の武器を顔にめり込まさせられたブロンは二刀流で立ち向かおうとするも、ケンの怒りの闘気の前にはもはや近寄る事すら叶わなかった。そしてその額にケンの指が突き入れられた瞬間、処刑は完了した。闘気で曲げられた己の刃を自分の顔に突きたてながら、ブロンの肉体は鮮血と共に四散したのであった。

ペンダントを拾い上げ、握り締めた手に力を込めるケン。すると折り曲げられたそのペンダントヘッドは、元通りの形へと復元されていた。それは、コセムとラオウとの間でかわされた約束を自らが引き継ぐというケンの意志の表れでもあった。
放映日:87年9月10日


[漫画版との違い]
・原作ではハン没後、ケンはリンとシャチと共に行動するが、アニメではケンは一人で行動する。
・ラオウに怯える部下達を、ブロンが皆殺しにするシーン追加
・修練場の見張りがやられるのは、原作では口にくわえたハンマーだが、アニメでは馬乗りから刺される
・修練場の扉を破るのは原作では武器でこわすが、アニメでは丸太で突いて壊す。
・原作でブロンが最初にブーメランで切ったのは数人だが、アニメでは一人のボロの首だけ
・ケンが北斗七星を見上げながら血の滾りを感じるシーン追加
・ジュウケイ、レイア、タオが滅ぼされた村を訪れるシーンは削除
・原作の止めを刺す処理係がアニメでは居ないため、ケンは普通にコセムを助け起こす。
・原作のコセムはケンが着て直ぐその正体をケンシロウと悟るが、アニメではブロンが死んだ後(次話)
・アニメではコセムは修練場では殺されない
・ブロンがラオウペンダントを折り曲げ、ケンを激しく激怒させるシーン追加。その後ケンが直すシーンも追加。
・原作のブロンはブーメランを投げ返されて死亡するが、アニメではその後も戦い、自分の刀で自分の顔を切る秘孔(原作では部下が突かれた秘孔)を突かれて殺される。



●総集編詳細
今回の総集編で流れたシーン

・ケンが船で修羅の国に渡るシーン
・惨敗ファルコ登場シーン
・シャチがパトロール修羅を倒すシーン
・ケンがレイアが私塾を訪れた時のシーン
・シャチvsカイゼル
・レイアがシャチのペンダントを捨てるシーン
・20数年前、ラオウ、トキ、ケンシロウが海を渡ったシーン
・ケンvsハン



・対岸
ラオウ様が約束するシーン。
なんか対岸が見えてますが・・・まさかこれ
修羅の国じゃないですよねえ?
近すぎますもんねえ?


・残虐
今回のブロンがボロ達を皆殺しにするシーンは、数多くの凄惨な場面が描かれてきた北斗の中でも特に悲惨なシーンだと思います。子供達もまとめて殺されているのはもちろん、この袋小路だから逃げ場も無い。また、相手が強すぎるってのもある。またその目的が、皆殺しってのも、目的にブレがない分絶望的。某ベルセルクの贄に匹敵する阿鼻叫喚ぶりだったと思います。絵にしてたら当事のジャンプでも掲載できたかどうか・・・


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