
修羅の国にラオウ伝説走る。赤き水を見て、修羅達は恐れ慄き、村人達は歓喜した。そんな中、聖地の沼で隠遁生活を送っていたジュウケイもまた、その赤き流れを目にしていた。訪れたレイアとタオに、ジュウケイは語った。伝えてはならぬ北斗琉拳。その禁を破り、三人の男に伝承したが故に、今のこの修羅の国が誕生したという事。そして、この修羅の国を故国とするラオウが、この国を救ってくれる救世主である事を。
二十数年前。時代は滅亡への道を突き進んでいた。後に修羅の国と呼ばれるこの国は、強力な軍事国家に侵略され、滅亡寸前にまで追い詰められていた。やがて文明は滅び、全ては無から始まる。そう考えたジュウケイは、三人の子供を北斗神拳伝承者リュウケンのもとに送った。その子供達こそ、ラオウ、トキ、そしてケンシロウの遠き日の姿であった。無となった時代において、三人が世を握る力を持って、再び国へと帰ってくることを祈って。
ぶつかり合う闘気は渦を生み、二人の周りを瓦礫が飛び回る。それらが衝突し爆ぜる中、ケンは己の足に走る違和感を感じた。戦いの中で、ハンは徐々にケンの足の自由を奪っていたのである。勝利を確信し、ゆっくりとケンへと近づくハン。放たれた奥義 斬風燕破は、動けないケンの心臓を貫いた・・・はずであった。だが次の瞬間、ハンは己の目を疑った。心臓へと放ったはずの拳は、まったく見当違いの肩下へ突き刺さっていたのだ。ハンがケンの足の自由を奪っていたように、ケンもまたハンの眼の神経を奪っていたのである。秘孔で足の自由を取り戻し、ハンへと歩を詰めるケンシロウ。もはや勝負は決していた。飛び掛ってきたハンの体に、ケンの拳は激闘の終わりを告げる連撃を叩き込んだのであった。戦いの勝者こそ全て。ハンが語ったその修羅の国の非情の掟は、ハン自身がその体で受け止めることとなったのであった。
リンとシャチが連れて来られたのは、赤鯱の船が見える浜辺であった。シャチは赤鯱のもとへ。リンはバット達の下へ。それぞれがそれぞれの場所に帰るよう告げ、赤鯱への合図の狼煙を上げるケン。しかし、ケン自身は帰るつもりはなかった。己の血が告げる宿命の正体とは何なのか。それを突き止めるまで、ケンはこの国を出るわけにはいかなかったのである。だが、やり残したことがあるのはシャチも同じことであった。ケンが去った後、シャチは狼煙に砂をかけ、退路を断った。この国を掌握するという野望のため、彼もまた修羅の国を離れる気はなかったのだ。そして、リンもまた残留する決意を固めていた。帰って好きな男の子を生むが良い。ケンが別れ際に告げたその言葉が、リンをこの国に留まらせる決意をさせていたのだった。| [漫画版との違い] ・修羅達や村人達が赤い流れを目撃するシーン追加 ・レイアやタオがイカダから降りるシーン削除 ・ハンのとび蹴りを(疾火煌陣?)を、ケンがパンチの連打で防御する場面追加 ・残像を見せる歩き方でケンの背後を取り、バックドロップの体勢にはいるまでの場面追加。 ・バックドロップの地割れでリンが気絶、修羅が飲み込まれるシーン追加 ・原作ではハンがケンの名を当てるが、アニメではケンが名乗る。それを聞き、修羅達がラオウではないと知る場面追加。 ・斬風燕破の後に、僅かな攻防が追加 ・原作ではハンが死ぬ間際に、20数年前の出来事を話すが、アニメでは削除。ジュウケイがレイア達に語るシーンは有り。 ・原作ではハン戦後にシャチとリンに帰るよう言うが、アニメでは二人を赤鯱の船の見える浜まで連れて行って言う。 ・ケンが赤鯱へ知らせるために炊いた狼煙を、シャチが砂をかけて消すシーン追加 |
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