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北斗円環斬襲脚
ほくとえんかんざんしゅうきゃく



流派: 北斗神拳
使用: ケンシロウ(対 バルダの部下達)
登場: アニメ版北斗の拳(92話)


 TVアニメ版に登場した北斗神拳の奥義。高速回転する旋風脚を放ち、周囲を取り囲む敵全員を爆死させる。

 ケンシロウバルダの部下達に対して使用。荷車の干草の中に潜んでいたところを取り囲まれ、一斉に槍を突き立てられたが、逆にこの奥義で相手全員を一瞬にして葬り去った。






 TVアニメ版には数多くのアニメオリジナル奥義が登場するが、54話北斗撃墜指が登場して以降、パタリとそのムーブメントは止んだ。その後、38話ぶりに登場したアニオリ北斗神拳奥義が、この円環斬襲脚だ。アニオリというジャンルにやたら興奮を覚える私にとって、それは長期のおあずけの果てに与えられた大好物。遭難から生還して食したオニギリの如く、私の身と心と知的好奇心を満たしてくれたのである。





 この奥義の魅力は、なんといっても「旋風脚」であること。スト2、ダブルドラゴン、飛竜の拳といったレトロゲームを経てきた私達の世代にとって、旋風脚はロマンの塊。リアルでやっても絶対に大した威力ではないが、ゲームの中では多対一の危機を乗り切る切り札であり、時には一撃必殺の秘拳として扱われる、小四の心を掴んで離さないファンタジーな存在なのである。





 北斗の拳において「旋風脚」といえば、やはりシュウ南斗白鷺拳が思い出される。南斗烈脚斬陣がその代表格であるが、この円環斬襲脚との相似性でいえば、ベルガ部隊との戦闘で見せた技の方が近いだろう。
 この2つのアニメ描写は、驚くほど似ている。モーションはもちろん、アングルや敵の数まで一致しているのだ。果たしてこれは偶然なのか?もしかしてケンさん、勝手に拝借してないか?

 もともとケンシロウは、シュウの技をよくパク……真似する傾向がある。サウザー戦では背転脚を、目を負傷した時は心眼戦法を、アニメではジャドウ戦で南斗烈脚空舞を再現している。ならばこの円環斬襲脚もそうなのだろう……と言いたいところなのだが、問題は「北斗円環斬襲脚」と、北斗の冠をつけちゃっている所だ。水影心による拝借などではなく、勝手に自分のオリジナルにしてしまっているのである。これはいけません。




 だが両者には大きな違いがある。シュウの方は相手を切り裂いているのに対し、北斗円環斬襲脚は相手を爆死させている。そう、紛うこと無き「北斗」の奥義なのだ。つまり型は似ていようが、奥義の性質としては全くの別物。ケンシロウ側としてもパクり呼ばわりは全く持って心外。遺憾の意であろう。すいませんでした。


 しかしケンシロウは、どうやって相手を爆死させているのだろう。見ての通り、ケンシロウの蹴りは、全く敵に届いていない。南斗の切断ならば真空波で説明がつくが、爆死となると話は変わってくる。

 北斗神拳には、触れずして秘孔を突ける奥義・天破活殺がある。だがあんな反則級の奥義、そうそう手軽に使えるものではないだろう。サウザー戦でも何度か相手の動きを観察した後にようやく炸裂させられていたのに、円環斬襲脚の場合は自分が空中で高速回転している上、敵も複数、しかも攻撃手段は足。この条件の中で、正確に闘気を飛ばして秘孔を突くというのは、いくらケンシロウと言えども難度が高すぎる。以上の事から、あの爆発の要因は秘孔ではないと考えられる。




 北斗神拳は、秘孔を突かなくても敵を消滅させることができる。北斗剛掌波に代表されるような、圧倒的な闘気だ。それを叩きつけられた時、並の人間はそのエネルギーに耐えられず、肉体が崩壊する。ラオウ様が何度も証明している事だ。
 円環斬襲脚による人体消滅も、これと同じ原理なのではないだろうか。脚に込められた闘気が、強烈な蹴り、更には高速回転による遠心力を得て相手へと叩きつけられ、肉体を消滅させているという事だ。




 このシーン、アニメではケンが回転した後、「北斗!円環斬襲脚!」と叫び、その直後に敵が爆死している。技を放ってから死ぬまでにタイムラグが発生するのは、まさに秘孔の特徴そのものだ。
 だがよく見て欲しい。ケンが奥義名を叫んでいる瞬間、彼の体は宙で静止している。つまりその間の数秒間は、実際には時は流れていないという事。本当は、ケンが蹴りを放ち終えた瞬間に爆死しているのである。そこに秘孔独特の「間」は存在していないのだ。当然、爆破直前の肉体変異も一切見られない。これこそが、死因が秘孔では無い事の証明なのだ。




 また、ケンが蹴りを放った次の瞬間、敵頭部付近を走る白い光線のようなエフェクトが確認できる。これは回転蹴りから放出された闘気を可視化したものであろう。光線が走った頭部だけが消滅しているのがその証拠だ。
 秘孔を突かれた演出なのでは?と思われる方もいるだろう。だがそれならば、個々にピーリーの電撃が発生していなければおかしい。光線がひと繋ぎであるということが、秘孔であることを否定しているのだ。



 以上の結果から、円環斬襲脚とは、旋風脚によって闘気を円状に放出する技であると私は考える。つまりはシュウの旋風脚と原理は同じ。飛ばすのが真空波か闘気かの違いなのだ。リスペクトするシュウの技に発想を得て、北斗風のアレンジを加え、北斗神拳奥義へと昇華させた技。それが円環斬襲脚の正体なのだ。



やっぱパクってんじゃねえか