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[第92話]
よみがえった雲のジュウザ!
俺はラオウを恐れない!!


 南斗の都を目指し、一歩一歩その歩を進める拳王。なんとしても南斗最後の将には会わねばならない。その野望の達成をさらに磐石にするため、拳王は側近のザクにケンシロウの足を止めるよう指示を出した。ケンの前に立ちはだかる新たな刺客とは・・・

 その頃、将のいる南斗の城では、ジュウザが出撃の準備を始めていた。久しぶりの戦闘服に袖を通しながら、決して将を涙に暮れさせないことを誓うジュウザ。少し前までのあの無頼な男の姿は、もはや影も形も無くなっていた。とその時、リハクの部下よりある報告が入れられた。ジュウザの仲間達が、城の外に集まってきているというのである。ジュウザが外へ出たとき、既に城の前は、久々の戦闘に胸躍らせる男達で一杯になっていた。相手は拳王。戦えば必ず死ぬ!この戦いが遊びではない、命を賭けた戦であるという現実を、男達に突きつけるジュウザ。だが、彼等は誰一人として帰ろうとはしなかった。その場に集まった男たちは、既にジュウザと地獄まで共することを心に決めた者達ばかりだったのだ。彼等のジュウザに対する信頼は、ジュウザが思っていたよりも遥かに深く、太かった。命をともにした盟君達とともに、今、雲が自らの意思で動き出す・・・

 巨大な地割れの上にかけられた一本の橋。その両端に陣取っていたのは、バルダ率いる拳王の部隊であった。地割れの向こう側に行くには、必ずその橋を通らねばならないという事に目をつけた拳王部隊は、橋の前で検問を行うことにより、ケンシロウ達の足をとめる作戦に出たのだ。更にその作業を村人に手伝わせることにより、人質をも確保。そして、万が一の時は爆弾で橋を破壊し通行できなくするという、まさに完璧な作戦であった。バットが得てきたその情報に頭を悩ませるケン達は、なんとか戦闘を避けて通り抜ける策を考えるが・・・

 検問を続ける拳王部隊の前に現れたのは、荷車を引いた大男と、二人の"娘"であった。4人の特徴を知られていることを逆手に取ったケン達は、バットに女装をさせることにより、その目を欺く作戦に出たのだ。バットの演技もあり、見事作戦は成功。しかし、問題はもう一つ残されていた。フドウの引く荷車の中に隠れていた、ケンシロウである。村人達を使い、積んである藁の中を徹底的に捜索させる拳王部隊。とその時、村人の一人の顔が強張った。かき分けた藁の中に、ケンシロウの姿を見つけてしまったのだ。しかし、結果を聞かれた男の口から出たのは、異常無しという嘘の報告であった。男は、己達を連れ出し、やりたくもない仕事を強要させる拳王部隊に嫌気がさしていたのだ。絶体絶命の危機を乗り越えて、なんとか検問を通過し安堵するフドウ達。しかし、一緒に藁の中を捜索していた老人は、一瞬強張った男の表情を見逃してはいなかった。

 橋を渡り終え、緊張の面持でバルダの前を通過しようとするフドウ達。だがその時、一行の前にニヤつく一人の大男が立ちはだかった。なんと男は、女装したバットに一目惚れてしてしまったのである。バットを腕に捕らえ、無理矢理結婚を迫る男。しかし、今はケンシロウを探す時だというバルダの一言によってなんとかその場は収まったのだった。最後の関門をも突破したフドウは、更に成功を磐石にするため、ケンシロウ達は東へ向かったと嘘の情報を提供。まんまと騙されたバルダは、早速部下達を東へと派遣し、全ては上手くいったかに思われた。しかしその時、立ち去ろうとするフドウ達を何者かが呼び止めた。村人の一人が何かを見て見ぬフリをしたと言う密告を受けた拳王部隊が、再度フドウ達を調べに来たのである。密告をしたのは、あの村人の強張った顔を目撃した老人であった。母親が病気であるというその老人は、仲間を裏切ってまでも報酬の食糧を得ようとしたのである。だがバルダは、その村人2人ともに死刑という判断を下した。一度仲間を裏切ったものは自分たちをも裏切るかもしれない。たったそれだけの理由で無残に二人を絞め殺させたそのバルダの非道ぶりは、荷車の中のケンにもしっかりと届いていた。

 荷車を取り囲み、一気に槍を突き入れる拳王部隊。だが、怒れるケンシロウの肉体にはそんな攻撃など通用しなかった。ゆっくりと藁の中から姿を現したケンは、北斗円環斬襲脚にて取り囲む雑魚を一瞬にして撃破。残るバルダは、得意の槍術、華山三叉槍にてケンに立ち向かう。跳躍したケンに対し、下からの切り上げで一傷を負わせるバルダ。だが、彼の攻撃もそこまでであった。正面からの直突きを掴まえられたバルダは、槍を放さなかったことが災いし、そのままケンの真上へと掲げられジ、エンド。高く放り投げられたバルダは、身に纏う西洋の甲冑などお構い無しに拳を打ち込まれ、醜く破裂したのであった。

 峡谷に差し掛かった拳王軍の前に、色とりどりの花火が打ちあがった。それを合図に、拳王軍の真正面から現れたのは、騒音を奏でる派手な集団であった。だが、ラオウの視線はその集団の先頭に構える一人の男に釘付けになっていた。雲のジュウザ。決して動かないと確信していたその男が、拳王の前へと現れたのである。雲ゆえの気まぐれ・・・自らが動いた理由をそう答えたジュウザは、自らが既に完全復活を果たしていることを示さんと拳王へと突撃。跳躍したそのジュウザ目掛け、渾身の一撃を放つラオウであったが、その拳は虚しく宙を切った。逆に、ただ飛び越えただけかに見えたジュウザの跳躍は、見事に拳王の兜を破壊していた。心と拳が完全に蘇ったことを示すには十分なその攻撃は、ラオウを迷わず黒王から下馬させたのだった。しかし、そのジュウザの心を動かした原因は、未だラオウは掴めずにいた・・・
放映日:86年10月30日


[漫画版との違い]
・原作でザクが命じられるのは拳王配下最強部隊を差し向けることだが、アニメでは近くの村の部隊(バルダの部隊)
・ジュウザと、南斗の城の前に集まった仲間たちとのやり取りのシーン追加
・ジュウザが戦闘服を纏っている時、側にいるのは原作ではリハク部下。アニメではリハク。
・ジュウザが引き連れてきたのは原作ではフドウの軍団だが、アニメではアウトロー仲間達。
・若草色の軍団の出番削除
・バルダ一味とケンシロウ達のやりとり追加
・ジュウザとユリアの幼少時代の話は、原作では兜を破壊した後だが、アニメではゲルガがジュウザの城に押し入った時


・伝説のシーン
この92話は、アニメ北斗の拳全152話の中でも最も印象深い伝説のシーンのある回です。
CMに入る直前の場面、村人が荷台の藁をかき分けていると
ワラの隙間から
ケンのシリアス顔がドン!!

こんなん絶対笑うやん。
そんでこのタイミングでCMにいくセンスもまた凄いよ。絶対狙ってるもん。

でもってCM明けたら口に指あてて「シー」でまた爆笑ですよ。
面白すぎるだろ。

ちなみにこの場面、ちゃんと設定図まであります。(クリックで拡大)

リンの「何してんだコイツ」って感じの表情で三度目の爆笑をどうぞ。

・イケメンだしね
拳王軍兵士約2名に美女認定を受けた女装バット。正直、最初出てきたときは「ありえねえブス」と表現してるっぽいのに「きゃーわいいー」といきなり言われて「なにーっ!」とツッコんだ人も多かろう。
奴等がブス専なのか乱視なのかはおいといて、とりあえずバットは拳王特殊部隊(デカイばばあ)を超えたことは間違いない


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