
黒王から降り、本格的に戦闘体勢へと入るラオウ。だがジュウザは、そんなラオウに無防備のまま歩み寄ってきた。恐怖は戦いにおいて隙を生む。その事を熟知するジュウザは、自らの天賦の才によって、恐怖を感じる暇すら無い怒涛の攻撃を会得していたのだ。いきなりラオウに背を向け、そのまま蹴りを放つジュウザ。難なくガードしたかに思えたラオウであったが、その足は突如目の前から消え、ラオウの真下から現れた。その後も繰り出される変幻自在の蹴りに翻弄されるラオウ。そして最後に放たれた回し蹴りは、ガードしたラオウの片膝を地面へと着かせたのであった。天賦の才に裏打ちされたその我流の拳の威に苦戦を強いられるラオウだが・・・
拳王刺客隊最強を自負するジェモニであったが、百戦錬磨のケンシロウの前ではやはりその力は子供同然であった。自らの得意とする泰山流剣舞術を、最初の攻防で見切られたジェモニは、飛び蹴りを喰らってアッサリとダウン。奥の手である二刀流・双頭剣で巻き返しをはかるが、振り回す刀は一度もケンシロウにかすることなく、最後は上空からの正拳突きを喰らって勝負は決した。背を向けたケンに襲い掛かろうとしたジェモニは、既に突かれていた秘孔輪雅によって、傷からの首を切り落とし死亡。ジェモニの刀が飾った10000人目は、そのジェモニ自身の首となったのであった。
十数年前・・・木に登り、鳥の巣の中の卵を取ろうしていたのは、幼き日のトキであった。そこに通りかかったラオウは、いい方法を見せてやると告げ、強烈な一撃を幹へと炸裂。木の上の卵をとるならその木を倒せばいい。それがラオウの考え方であった。だが、その倒れた木の下に卵はなかった。犯人はジュウザであった。木が倒れる寸前にその下を駆け抜けたジュウザは、労せずして卵を手に入れていたのである。ラオウの強引なやり方を馬鹿にすると同時に、自らのスマートなやりかたをみせつけることでラオウを挑発するジュウザ。それを受けたラオウはジュウザへと歩み寄ろうとするが、当然そんな無益なケンカをジュウザが好むはずはなかった。ラオウの隙をつき、その額へと卵をぶつけたジュウザは、一瞬にして姿をくらましてしまったのだった。やり場の無い怒りに身を震わせるラオウであったが、それをなだめたのはリュウケンであった。リュウケンの拳士としての目は、ラオウに劣らぬほどのジュウザの才を見抜いていた・・・
、ラオウの頭上を越えていったジュウザが着地したのは、黒王号の背の上であった。今までラオウ以外に背を許したことの無い黒王号は当然のように大暴れでジュウザを振り落とそうとする。だが、鬣を引っ張るジュウザと目が合った瞬間、黒王号はいとも簡単に静まってしまった。黒王号がジュウザを主と認めたもの、それはその瞳に宿った強い意志であった。| [漫画版との違い] ・ジェモニとのやりとり全て追加 ・岩を落とすのが、原作ではフドウの軍だが、アニメではジュウザの仲間達。 |
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