TOP

天破活殺
てんはかっさつ



流派: 北斗神拳
使用: ・ケンシロウ(対 サウザー)
 …北斗の拳(96話) アニメ版(68話)
・霞拳志郎(対 流飛燕)
 …蒼天の拳(133話)蒼天リジェ(アニメ3話)
登場: 北斗の拳/アニメ版/蒼天の拳/蒼天リジェ(アニメ)/
ラオウ伝殉愛/北斗の拳3/北斗の拳4/北斗の拳5/
北斗の拳6/SEGA2500/サターン版/激打3/審判の双蒼星/
北斗無双/真北斗無双/北斗が如く/リバイブ/パチンコ系



 触れずして闘気をもって秘孔を突くという北斗神拳の奥義。指先から撃ち出す闘気の弾を用いて、離れた位置にいる相手の秘孔を突くことを極意とする。ケンシロウサウザーとの戦いで使用し、南斗鳳凰拳奥義 天翔十字鳳によって宙を舞う羽と化したサウザーを撃墜。同時に北斗七星の型に秘孔を突く事で、秘孔(血の流れ)を身体の表面に浮き上がらせると共に、足の動きを封じて跳躍できないようにした。
 この奥義を使用する前に、北斗神拳の秘奥義「天破の構え」をとっているが、これと天破活殺が直接関係あるのかどうかは不明。


 「蒼天の拳」では、流飛燕との戦いの中で霞拳志郎が披露。鉄壁の防御を誇る飛燕の「千の手」を破るための、"千一本目の手"として使用し、左肩の秘孔をついて破裂させた。拳志郎の話によると、この技はもともとは北斗孫家拳の奥義であり、その使い手である芒狂雲との闘うことでこの奥義を会得できたのだと語っている。
 後に泰聖殿へと訪れた際には、大湖石と呼ばれる巨大な岩を、この奥義らしき技を使って粉々に粉砕している描写がある。

 ゲーム作品の中では、無想転生などに次ぐケンシロウの準最強奥義として扱われる事が多い。殆どは北斗七星を飛ばしたり、闘気波を放ったりするような攻撃技として描かれているが、北斗無双では、上空から地面に向けて巨大な北斗七星を描くように闘気を飛ばし、それを爆発させて攻撃するという技になっていた。





 無想転生が受け技としての究極奥義であるとするなら、こちらは攻め技としての究極奥義と言っていいだろう。北斗神拳を最強たらしめている理由のひとつといっても過言ではない。それほどにまで強力な奥義だと思う。

 蒼天の拳にて霞拳志郎は、霊王こと芒狂雲との闘いの中で天破活殺を会得したと語っている。そしてそれを流飛燕との戦いの中で使用し、左肩を破裂させた。このシーンからいろいろな事が解る。
 まずは当たり前の事だが、天破活殺は背中に七つの秘孔を突くためだけの奥義ではないということ。拳志郎は指一本での天破活殺で、肩を破壊する秘孔を突いていた。その気になれば死に至らしめる秘孔も勿論突くことができるという事だ。
 次に、天破活殺を撃つためには、サウザー戦で見せたような天破の構えや、闘気を放つための大きなモーションも必要ないということ。飛燕が全く気く天破活殺に気付かなかったと言う事は、拳志郎が最小限の動きでこっそり闘気の発射したことの証だ。うーん、相手に悟られること無く遠距離から秘孔突けるって、これもう無敵ですやん。むしろサウザー戦の時くらいの派手なアクション&技名叫びがあってやっとバランスがとれてるくらいだ。
 そして天破活殺を成すためには、単に闘気を飛ばすだけでは駄目だと言う事。霞拳志郎は、北斗孫家拳との戦いで天破活殺を会得した。孫家拳の操気術は、フォークを丸めたり、弾丸の軌道を変えたりと、闘気を用いて実に細かな事象を起こすことができる。おそらくこれだけ自在に気を操ることが出来なければ天破活殺による秘孔突きは効果を伴わないのであろう。元斗皇拳などの闘気に長けた拳法が秘孔目掛けて闘気弾を発射したところで意味は無いのである。


 完全無比に思えるこの奥義であるが、弱点もある。まず非常に成功させるのが難しいということ。狙った箇所に闘気を放ち、しかも着弾後に経絡の流れを操作するよう仕込んでおかねば成らない。それを戦闘中で動きまくっている相手に向けて行うのである。遠方の敵なら動きをミリ単位で先読みせねばならないだろう。とんでもない難度である。サウザーや流飛燕には成功したが、相手が技の存在を知っていればまず喰らわなかったはずだ。つまりその時点でラオウ様には確実に通用しないと言う事である。
 また、威力のほうもそこまでは期待はできないのかもしれない。たとえ孫家拳の操気術をもってしても、一旦手から離れた闘気で経絡を操るのには限度がある。直に指先で突いたものと比較するならその差は歴然だろう。雑魚相手ならそれでも十分だが、達人相手には直突きどころか強烈な一撃が求められるのだから、闘気弾ではとても無理だ。
 強敵相手には成功率激低&効果制限。雑魚相手には勿体無くて使う気も起きない。強いことは強いが、意外と使いどころの無い持て余し奥義なのかもしれない。

 ここからは妄想になるが、もしかしたら霞拳志郎が中国に渡ったのは、この天破活殺の修得も目的の一つだったのではないかと思う。
 北斗神拳と北斗孫家拳の融合によって拳志郎は天破活殺を得たが、だからと言って天破活殺がこのとき生まれた拳というわけではなさそうだ。西斗月拳を使う月氏族の仏塔の中には、二千年前に作られた天破の構えの像があった。北斗神拳誕生時には既に天破活殺は生み出されていたと考えるのが妥当だろう。もしかして拳志郎は、ある事情で天破活殺を会得できなかったのではないだろうか。蒼天の中でギーズは、七年前に崇山少林寺から北斗三家の秘伝書が盗まれたと言っている。もしかすると歴代の北斗神拳伝承者は、伝承者になった後にこの崇山少林寺を訪れ、北斗三家の秘伝書よりその奥義を会得し、更なる奥義を会得していたのではないだろうか。その三家の一つである孫家拳より、伝承者達は操気術を体得し、天破活殺を完成させるというのが通例となっていたわけだ。しかし拳志郎はその崇山少林寺炎上による秘伝書紛失により北斗三家の拳を身につけることが出来なかった。霊王と戦い、水影心により操気術を会得することで、やっと天破活殺を身につけることができたのだ。一見偶然のように思える拳志郎の天破活殺会得だが、これこそが中国渡航の真の目的だったとすればどうが。秘伝書紛失によって北斗三家拳を会得できなかった拳志郎。それらを自らの力で手に入れ、真の伝承者となるべく拳志郎は中国という舞台に身を置いたのである。もとより拳志郎が中国にいたのは、拳法修行と銘打った格闘家との死合が目的だった。この多くの死合を通じて北斗三家の使い手を探していたのだとしても不思議はない。その願い叶ってか、拳さんは霊王と出会い、孫家拳を会得。そして曹家拳、劉家拳の使い手とも無事対面することが出来、晴れて北斗三家を手にすることが出来た。ただ秘伝書を読んで体得してきた歴代伝承者達とは違い、己の力で三家拳と拳を交えて体得していったことで、拳志郎は過去最強の伝承者となった・・・。エピソードとしても申し分ないではないか。