
バットは村の見張り台に登り、ケン達の帰りを待っていた。レイの命が尽きようという日にもかかわらず、夕刻になっても帰ってこない二人の身を案じていたのだ。とその時、バット双眼鏡が一台のジープを捉えた。その後部座席に乗っていたのは、紛れも無く己が待ちわびていた二人の男の顔であった。ケン達に大恩を受けたノバが、二人をここまで送ってくれたのである。
残り少ない命をマミヤのために捧げたい。そう心に決めているレイは、迷うことなくトキの秘孔を受ける決断をした。レイの意志を酌み取ったトキは、皆を退室させ、もし耐えられなかった場合のためにレイに薬を渡し、早速儀式を開始。ラオウの新血愁に対抗できる唯一の秘孔 心霊台。そこにトキの指が突き刺さった瞬間、レイにとって地獄のような時が始まった。体は不気味に隆起し、爪は剥がれ、血を吐き、地面をのたうちまわるレイ。苦痛から解放される安らかな死を求め、手は薬へ伸びようとするが、マミヤを思う一心がそれを沈めた。やがて、部屋の外で待つ一同の耳にレイの叫び声が届かなくなった。不安を覚える一同に、部屋から出てきたトキは、やるだけのことはやったと曖昧な返答を返した。生きたいという執念が、ラオウの新血愁の威力を勝った時、再びレイは甦る・・・。
シカバの部隊は直ぐにマミヤを姿を発見。マミヤは得意のヨーヨーで雑魚を撃退するが、シカバのチェーン攻撃には通じず、羽交い締めに捕らえられてしまう。助けを求め、心の中でレイの名を呼ぶマミヤ。その心の叫びは、眠れる一人の男の体を甦らせた。
ケンの予言は直ぐに実現した。激しい轟音と共に、突如シカバの側の壁が崩壊。その瓦礫の向こうから現れたのは、激痛によって白髪と化したレイの姿であった。病み上がりのレイならば勝てる、そう思ったシカバはマミヤを捨ててレイへと突撃。だが鈍るどころか一層その切れ味を増していたレイの拳は、一瞬にしてシカバ達を切り裂いたのであった。| [漫画版との違い] マクがユダに報告するシーン(内容は異なる)と、レイが心霊台で白髪になるシーン以外は全てアニメオリジナル ・コマクがユダに報告するのは、原作ではマミヤが死兆星を見たことだが、アニメではケンとレイが村へと帰ったこと。 ・原作ではレイが心霊台を突かれているときにユダがやってくるが、アニメではコマクの部隊だけでユダは来ず。 |
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