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[第54話]
愛するマミヤ! 
その瞳の輝きに死兆星がひそむ!!


 バットは村の見張り台に登り、ケン達の帰りを待っていた。レイの命が尽きようという日にもかかわらず、夕刻になっても帰ってこない二人の身を案じていたのだ。とその時、バット双眼鏡が一台のジープを捉えた。その後部座席に乗っていたのは、紛れも無く己が待ちわびていた二人の男の顔であった。ケン達に大恩を受けたノバが、二人をここまで送ってくれたのである。

 ケンに抱えられ、ぐったりとするレイに不安を覚える一同。ケンは気絶しているだけだと説明するが、どちらにせよレイの命は今夜限り。レイのために何もしてあげることが出来ない。己の無力さを痛感するマミヤは、先日メディスンシティーで手に入れたもう一つの薬をトキに渡した。そして、苦しむレイから目を逸らすかのようにその場を後にしたのだった。

 鏡の前で自らの美しさに陶酔するユダは、背後に己の部下のコマクの気配を察した。コマクは、ケンとレイがマミヤの村に戻ったことを報告。それを聞いたユダは、コマクの部隊を村へ派遣し、マミヤを連れ去ることを決めた。愛する者に看取られることなく淋しく死んでいく、それがユダの考えたレイへの屈辱のプランであった。

 皆が見つめる中、レイは激しい痛みに悶えながら目を覚ました。ユダを倒せぬまま死んでいかねばならない己の無力さを嘆くレイ。そんなレイに対し、トキはまだ命を延ばす方法が一つだけあると告げた。だがその秘孔を突けば、体を襲う痛みは今の数倍になる。その痛みによって発狂し、死んでしまうかもしれないというのだ。更にトキは、今すぐその苦しみから逃れられるという選択肢も提示した。それは、マミヤから預かった薬を飲み、今すぐに死ぬという方法であった。

 レイの苦しむ様を見ていられず、部屋の外で夜空を眺めるマミヤ。そして街の外では、そのマミヤを拐うという命をうけたコマクの部隊が、既に突撃の準備を完了させていた。

 残り少ない命をマミヤのために捧げたい。そう心に決めているレイは、迷うことなくトキの秘孔を受ける決断をした。レイの意志を酌み取ったトキは、皆を退室させ、もし耐えられなかった場合のためにレイに薬を渡し、早速儀式を開始。ラオウの新血愁に対抗できる唯一の秘孔 心霊台。そこにトキの指が突き刺さった瞬間、レイにとって地獄のような時が始まった。体は不気味に隆起し、爪は剥がれ、血を吐き、地面をのたうちまわるレイ。苦痛から解放される安らかな死を求め、手は薬へ伸びようとするが、マミヤを思う一心がそれを沈めた。やがて、部屋の外で待つ一同の耳にレイの叫び声が届かなくなった。不安を覚える一同に、部屋から出てきたトキは、やるだけのことはやったと曖昧な返答を返した。生きたいという執念が、ラオウの新血愁の威力を勝った時、再びレイは甦る・・・。

 時を同じくして、コマクの部隊が村へと向けて進撃を開始した。次々と村人を惨殺していくユダの配下達であったが、ケンが駆けつけると一気に戦況は激変。トキもリンに襲いかかろうとした男を有情破顔拳で倒すなどして戦いに加わり、いつの間にか戦況は明らかにユダ軍の劣勢となっていた。しかしこれはコマクの書いたシナリオ通りであった。戦に勝てずとも、ユダの命令通りにマミヤをさらえればそれで良かったのである。コマクは筋肉馬鹿のゴーギャンにケンと出来るだけ時間をかけて闘うよう指示。そしてもう一人の部下・シカバには、ゴーギャンがケンを引き付けている間にマミヤを連れ去るよう命じた。

 シカバの部隊は直ぐにマミヤを姿を発見。マミヤは得意のヨーヨーで雑魚を撃退するが、シカバのチェーン攻撃には通じず、羽交い締めに捕らえられてしまう。助けを求め、心の中でレイの名を呼ぶマミヤ。その心の叫びは、眠れる一人の男の体を甦らせた。

 ゴーギャンが放った鉄球を破壊したケンは、跳躍し、上空から北斗撃墜指を炸裂。しかしその時、既にマミヤは捕らわれた後であった。急いでマミヤのもとへ向かったケンは、なんとか連れ去られる前に現場へと到着。襲い掛かる雑魚達を薙ぎ払い、マミヤを解放するよう指示するケン。シカバもマミヤを人質に脅しをかけるが、そんなことでケンの歩を止めることはできなかった。しかしシカバもまた、ケンを相手にしても一歩も引かなかった。マミヤを連れて帰らねば、どのみちユダに殺される。どうせ死ぬならマミヤを道連れにするという覚悟でいたのだ。流石にそれ以上歩を進められず、立ち止まるケン。だがケンは、シカバにはやはり確実な死が待ち受けていることを予言した。

 ケンの予言は直ぐに実現した。激しい轟音と共に、突如シカバの側の壁が崩壊。その瓦礫の向こうから現れたのは、激痛によって白髪と化したレイの姿であった。病み上がりのレイならば勝てる、そう思ったシカバはマミヤを捨ててレイへと突撃。だが鈍るどころか一層その切れ味を増していたレイの拳は、一瞬にしてシカバ達を切り裂いたのであった。

 肉体は復活したが未だ死兆星は消えない。そのレイの呟きを聞いて、マミヤは死兆星とは何かを尋ねた。だがマミヤがその返答を聞いた時、薄幸のマミヤの人生はさらに影を落とすこととなった。北斗七星の脇に輝く蒼星は、マミヤの頭上にも輝いていた。マミヤの目にもハッキリと死兆星が映っていたのだ。どこまでも哀しい運命を引きずるそんなマミヤのために、レイは命をかけて戦うことを再度誓うのだった。

放映日:85年12月5日


[漫画版との違い]
マクがユダに報告するシーン(内容は異なる)と、レイが心霊台で白髪になるシーン以外は全てアニメオリジナル
・コマクがユダに報告するのは、原作ではマミヤが死兆星を見たことだが、アニメではケンとレイが村へと帰ったこと。
・原作ではレイが心霊台を突かれているときにユダがやってくるが、アニメではコマクの部隊だけでユダは来ず。



・鏡よ鏡よ
アニメ版のユダは「どうだ?俺は美しいか?」といろんな人に執拗に聞いてきます。コマクにもダガールにも女達にも。正直みんな嫌がってるぞ。気付け。
・タフ
かし事あるごとに襲われてるなマミヤの村。マミヤの親父さん達が生きてた頃にも野盗に襲われてるし、マミヤが拐われた時にも来てるだろ。アニメでは牙一族に2回、拳王侵攻隊に一回、で今回に、ユダが来る時にも一回。天帝軍もきてた。レイ外伝でも一回拳王侵攻隊きてたな。9回か。すげえ・・・


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