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聖帝十字陵
せいていじゅうじりょう




 聖帝サウザーが己の権威を誇示せんがために建設した巨大な陵墓。だがその実態は、サウザーが師であるオウガイの亡骸を弔うために造り上げた、自らに残された最後の心であり、己の愛や情といった感情と決別するための墓でもある。

 外観はエジプトなどに見られるピラミッドと酷似しており、大きな石を積み上げるという建築技法も同じである。しかし純粋な四角錐ではなく、上から見ると四辺の中央が僅かに内側にへこんだ十字型の形状となっている。中腹には、聖室と呼ばれる仕掛けによって現れる隠し部屋が存在し、そこにはミイラとなったオウガイが座禅を組んだ状態で鎮座されている。

 建築作業に従事させられているのは、全て聖帝軍が拐ってきた幼い子供達であり、これは反逆する大人よりも従順な子供を使った方が効率が良いという聖帝の考えに基くものである。

 ケンシロウがシュウと再会した頃はまだ八割方までしか出来上がっていなかったが、シュウのレジスタンスが壊滅させられる頃にはほぼ完成し、あとは頂上に聖碑を積むのみとなっていた。また、ラオウ外伝 天の覇王にある描写からは、ラオウとサウザーが戦った頃は、まだ着工したての段階であることが確認できる。


 「聖碑」と呼ばれる巨大な石を頂上に積むことで陵は完成を迎えるが、その下に人間を生きたまま下敷きにすることが聖帝十字陵の魂となるとされている。また聖碑は、南斗聖拳の伝承者によって築かれねば点睛を欠くとされ、南斗の血が漆喰となることで十字稜はより強固なものになるという考えのもと、サウザーはその生贄にシュウを選んだ(ただし少し前まではケンシロウを入れるつもりでいた)。
 百人の人質の命と引き換えに、十字稜の頂上まで聖碑を運ぶよう命じられたシュウは、足の腱を切られた状態であるにもかかわらず、それを遂行。頂上で鉄鎖に繋がれたシュウは、そのまま身体を矢や槍で貫かれて絶命するも、死ぬ直前、一瞬だけ視力が戻り、駆けつけたケンシロウの顔をみながら聖碑の下敷きとなった。その後、十字稜の階段の上でケンシロウとサウザーが闘い、激闘の末、体の謎を見破られたサウザーが敗北。聖室に眠る師の膝下でサウザーが息絶えたその瞬間、聖碑の下からシュウの涙とも言うべき血が流れ出し、同時に十字稜は音を立てて崩れさった。


 原作から数年後の世界が舞台である北斗の拳4では、裏南斗白豹拳デルモンの居城となって残っている。中に入るための条件として、ジンギ南斗十人組手に挑ませるが、それをクリアした途端、デルモンはジンギの眼の光を奪い、入り口を施錠してしまう。
 この十字稜の傍には、聖碑がシュウの記念碑という形で残っており、ジンギがそこに触れると、シュウの魂から奥義・黄明醒破を授けられる。聖碑の下には十字稜へと続く階段が隠されており、ここから十字稜へと潜入し、ジンギはデルモンとの一対一の戦いに臨み、勝利後に死亡する。

 同じく原作後の世界であるセガサターン版北斗の拳では、サウザーとオウガイの墓所として残されているが、ギャラン率いる牙猩拳の部隊に制圧され、彼らを倒さないと入れなくなっている。ケンシロウとザキが訪れると、サウザーの亡霊が現れ、ザキが己の娘であることを告白し、赤子であった彼女を捨てたことを詫びてくる。


◆用語

聖碑
聖帝十字陵の頂上に置かれる石。置き場には、人間を生きたまま下敷きにするための人型の穴が空けられている。サウザーは当初ケンシロウをここに入れる予定にしていたが、後にその役目はシュウに変わり、一人でこの聖碑を頂上まで運ばせた後、その場に鎖で捕獲。矢や槍で絶命させ、そのまま下敷きにした。
サウザーが天翔十字鳳を繰り出す際には、この聖碑の上に立ち、構えをとっている。

聖室
聖帝十字陵の中腹に隠されている部屋。仕掛けによって扉が開く構造になっている。中にはオウガイのミイラが安置されており、ケンシロウにやられたサウザーはその師の膝下で最期の時を迎えた。