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シンに敗れ、ユリアを奪われた事で、ケンシロウは変わった。民衆の側に立ち、哀しみを力に変えたその拳で、圧政を続ける軍閥を次々と打ち破っていった。そして彼は、いつしか救世主と呼ばれ始めた―――。その報告を聞いたソウガは、ケンシロウが拳王軍にとって危険な存在であると感じ始めていた。しかし、覇道の最中であるラオウにとって、ケンシロウとの決着はまだ先の話であった。 覇道完成のために必要な智勇兼備な将。それに該当する男を、ソウガは知っていた。かつて南斗の智将と呼ばれた、南斗流鴎拳のリュウロウ。彼は分裂して争う南斗に嫌気が差し、風を聴く森と呼ばれる地で隠遁生活を送っていた。その才を見極めんがため、単身リュウロウのもとを訪れるラオウであったが・・・ ラオウ直々の勧誘を、リュウロウは丁重に断り、そして言った。私が共に戦う人があるとすれば、それはケンシロウしかいない、と。救世主の宿命―――。常に民衆の側に立って、野盗や軍閥を相手に戦うケンシロウの姿は、力なき者達に勇気を与えてきた。だが、ラオウのやり方では民衆の心を掴むことはできない。人々が望むものは、己達と共に戦ってくれる救世主なのだと。ラオウが悔い改め、真に民のためになる王道を歩むなら、ケンシロウもトキも、そして自分も喜んで力を貸すだろう―――。その事を伝えるため、リュウロウはこの森でラオウの事を待ち続けていたのであった。 己の覇道を曲げることは出来ない。そしてその妨げになるやも知れないリュウロウを、ラオウは殺さねばならなかった。ラオウの剛拳を巧みにかわし、攻撃に転じるリュウロウ。しかし、病に侵されたその身体では、ラオウに勝つ事は出来なかった。覇道を捨てよ―――。リュウロウは最期までそう口にしたが、ラオウにはやはりその忠告を受け入れることは出来なかった。覇道の先に待つ、修羅の国の平定。それを成し遂げるため、ラオウは、この国と統治に時間をかけていられなかったのであった。そしてこの時、ラオウは闘いの中で新たなことを見出していた。それは、覇道の前には不必要な、己の甘さであった。 |
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