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新たな友・黒王と共に、南へと足を伸ばす拳王軍。だがその行く手に、南斗飛燕拳の使い手であるハッカとリロンが現れた。彼等はこの領土を治める軍閥の長、『聖帝』なる男の部下であった。襲い掛かってきた二人をなんなく撃退したラオウであったが、死に行く寸前、リロンは聖帝の正体の名を口にした。サウザー・・・それは、ラオウが幼き頃に幾度も拳を交えた幼馴染の名前であった。 拳王軍侵攻の報は、すぐにサウザーの耳にも入れられた。戦力の消耗を危惧し、思慮に暮れるサウザーであったが、その時、ある男がサウザーに作戦を提案してきた。彼の名はユダ。サウザーと同じく、南斗六聖拳の一角を担う、南斗紅鶴拳の伝承者であった。 ラオウとサウザー。二人の十数年ぶりの対面は、軍閥の王同士の会談として実現した。激突必死―――そう思われたが、サウザーは意外にも覇道から退くと宣言してきた。それは、事実上の拳王軍への降伏宣言でもあった。サウザーの言葉に疑問を感じながらも、その提案を受け入れ、兵を撤退させるラオウであったが…… 肩透かしを食わされた鬱憤をはらさんと、、そのまま別の軍閥への侵攻を開始する拳王軍。だがその最中、ラオウのもとに一報が入れられた。拳王不在の拳王府に、聖帝軍が攻め入ったというのである。その聖帝軍精鋭部隊を率いていたのは、妖星のユダであった。全ては彼が仕組んだ事であった。不戦協定を結んだ直後に裏切り、不意をつく事で、兵を失うことなく拳王府を攻め落とす―――。それが、ユダがサウザーに持ちかけた策だったのである。ラオウ達が急いで戻ったとき、既に拳王府は、ユダの手によって陥落した後であった。怒りに震え、ユダに向かい突進するラオウ。数千の矢も、ユダの南斗紅鶴拳も、ラオウの肉体の前には意味をなさなかった。だが、気を失う寸前、ユダはある事を口にした。サウザーの身体の秘密の前には、北斗神拳は通じない―――と。 直後、拳王府にサウザーが姿を現した。我は南斗極星。誰にも屈しない―――。先ほど約束が偽りであった事を改めて告白し、ラオウの前に立つサウザー。帝の拳、南斗鳳凰拳。後退を知らぬその拳の猛攻を凌いだラオウは、渾身の北斗一点鐘で反撃に転じる。完全にガードしたと思った次の瞬間―――、サウザーの額から鮮血が迸った。ラオウの拳から送られた気が、サウザーの秘孔を捕らえていたのである。動く事のできなくなったサウザーに向かい、とどめの一撃を放つラオウ。だがその拳は空を切り、逆に動けぬはずのサウザーの拳が、ラオウの身体を切り裂いた。秘孔の効かない身体・・・それが、ユダが語ったサウザーの身体の秘密の正体であった。 サウザーが勝利を確信した次の瞬間、彼の身体を多大なダメージが襲った。秘孔は防げても、ラオウの拳の威力は、サウザーの予想をはるかに超えた威力を持っていたのである。このままでは相討ちになる。そう思ったサウザーは、突如ラオウに平伏し、言った。改めて拳王軍と同盟を結ばせてもらいたい。今後は風下に立ち、一切手出しはしない―――と。一度裏切った男の服従宣言。だがそれを、ラオウは意外にもすんなりと受け入れたのだった。 帰路の途中、サウザーはユダに言った。甘く実った果実をとるのは帝王の仕事ではない。ラオウが実らせた果実を居ながらにして食うのが帝王である自分なのだ、と。一方、ラオウが戦いを避けたのにも理由はあった。覇道の先に待つ"真の目的"を達成するために、ラオウはここで立ち止まっている時間は無かったのだった。 |
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