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人を支配するものは恐怖―――。拳王という名の恐怖を兵に背負わせることにより、ラオウは僅か数日で鬼巌城を拳王府へと生まれ変わらせた。更にソウガやレイナの指導により、兵達の実力や武具の質は急成長を見せ、拳王軍はたちまち近隣の軍閥たちを支配下に治める巨大軍閥となっていった。 だがある日、ギオン軍を攻めていた拳王侵攻隊が全滅したとの報が入れられた。ギオン軍は、谷の奥へと拳王軍を誘い込み、そこに住むという野生の馬達に彼等を襲わせたのである。その千頭もの馬を率いるは、漆黒の悪魔と恐れられる馬の王、「黒王」。王には王自ら訪ねるのが礼儀―――。そう言って拳王は、ソウガとレイナだけを連れ、黒王谷へと赴くのだった。 谷に着いた三人が見たものは、二匹の虎に囲まれた黒王の姿であった。黒王は、攻撃に転じることが出来なかった。自らの腹の下に、怪我をした仔馬を守りながら闘っていたのである。その光景を見たラオウは、徐に仔馬を掴み、致命の秘孔を突き入れた。足手まといは片付けた。それで心置きなく闘えよう。そう言ったラオウを、渾身の後ろ蹴りで吹っ飛ばした黒王は、襲い掛かる虎を一撃の下に踏み潰したのであった。 仔馬の負った怪我は、もはや助かる見込みの無いものであった。故にラオウは、秘孔によって仔馬に痛みを感じさせることなく、その生を終わらせたのであった。ラオウは王として、黒王に自分と近しいものを感じていた。我が覇行がなるその日まで、その背を俺に貸してくれぬか。そのラオウの言葉に、黒王は小さく嘶き、答えた。配下である千頭の馬と共に、黒王はこの乱世を拳王と共に戦いぬく意志を決めたのであった。悪魔と悪魔が手を結んだ―――。その信じがたい現実を前に、智将ギオンは抵抗することなく、拳王に完全降伏を誓ったのであった。 |
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