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カイゼル



登場:原作(165〜170話
   TVアニメ版(123〜126話)
   リバイブ
肩書:郡将
流派:孟古流妖禽掌
CV:屋良有作(TVアニメ版)
   藤本たかひろ(真北斗無双)
   一条和矢(リバイブ)

 修羅の国郡将修羅として1800勝の経歴を持つ。相手を傷つけることなく筋骨臓腑を抜き取る事のできる孟古流妖禽掌の使い手。かつて第三の羅将ハンと戦ったが、その時はハンの拳の影すら見ることができず、胸に傷を負い、今でも古傷として残っている。

 浜辺で捕らえられたリンを、自らの居城に監禁。彼女に子を宿す修羅を選ぶための闘技会を開催した。勝者であるアルフにリンの血の入った聖酒を与える予定だったが、七つの傷の男の出現を受け、その男の抹殺を条件に追加。しかしアルフは敗れ、更にはリンがボロによって連れ出されたため、その後を追い荒野へ。ボロの正体が、巷を騒がせている羅刹ことシャチであることを知り、小手調べにと嗾けた殺・斬も敗れたため、自ら相手をすることとなった。経験に裏打ちされた熟練の戦い方で、優位に戦いを展開するも、シャチがわざと作った死角に誘い込まれ、肋骨一本奪った代償に右腕を喪失。更にはハンにやられた古傷を狙われ、最後は破摩独指を喰らい、頭部を破裂させられて敗北。死ぬ間際、三人の羅将がいる限りおまえ(シャチ)に天下は取れないと告げた。

 TVアニメ版では、1800勝という戦歴が、8800勝にまで増大。またリンがシャチに連れ出された際、原作では居城でその報告を受けたが、アニメでは外出していた。



トンチンカンなもので頭をはさんでる故に気付きにくいが、かなり格好いいオジサマである。使用する技も、中堅クラスにはもったいない面妖さで素敵だ。もっと彼のかっこよさに気付いて欲しい。

 砂蜘蛛、アルフときて、郡将として彼らの上に立つ存在としての強さを求められた彼。しかし、レベル的にいうならケンを苦戦させられるほどのものではないと思う。1800勝(アニメでは8800勝!)という戦歴も、数字では伝わりにくい。そこで相手をさせられたのが、シャチだった。戦闘術だけなら遥かにシャチを凌駕する熟練の技で、郡将としての強さを印象付けることに成功したといえよう。しかしその後、自らがハンには全く敵わなかったという事を明かすことで、修羅<郡将<羅将 という構図をより鮮明にさせることが出来た。戦闘漫画における中間管理職の役割を見事に果たした、影の苦労人なのである。


 物語中のカイゼルの役目にも注目してみよう。先に結論をいうと、彼は修羅の国における門番のような存在なのではないかと思われる。カサンドラでいうところのライガ・フウガ的存在だ。カイゼルの城は、修羅の国に入るための最後の砦なのである。

 そう思われる理由の一つが、赤鯱が船を停泊させた場所だ。その昔、赤鯱が来た時も、そして今回ケンシロウが来た時も、そこには砂蜘蛛がいた。これは偶然ではなく、赤鯱がどちらも同じような場所に船を停泊させたからだろう。ジャスク、ファルコもすぐ近くの浜辺から上陸したと考えていいはず。どうしてこうも皆同じような所から上陸したのだろうか。それは、修羅の国に上陸できる場所が限られているからだと考えられる。基本的に上陸できる浜自体が少なく、向こう側の大陸から船で渡ってきた場合、よほど特殊な状況でもない限り、自然にこの砂蜘蛛の居る浜に上陸するようになっているのだ。そして一旦ここに上陸してしまうと、カイゼルの城を突破しない限り、三羅将達がいる内陸には入れない。そういう仕組みになっているのだと思われる。

図にするとこんなかんじ。



つまり上陸可能ポイントは岬の先端部分のみであり、内陸に行くにはどうしてもカイゼルの城を通らざるを得ない地形になっているのだと推測される。無論、他にも浜があることは確認されている。シャチがレイアの造った船で出ようとした浜や、ヒョウが脱国者達を見逃した浜(アニメのみ)等は、この岬ではないだろう。しかし、そんな浜があるからといって然程意味はない。修羅の国に正面から攻め込もうと考えるなら、どこから上陸しようと一緒だからだ。新天地を求めて攻め込んだ赤鯱にしろ、ケンやファルコにしろ、回り道をして違う浜から上陸することに意味はないのである。また、安全な浜から上陸するにしても、事前にどこの浜が安全かという情報が必要なわけで、それを手に入れるだけでも難しい。わからないなら一番上陸しやすいこの岬から陸に上がろう、という流れになるのが自然だ。つまりこの岬以外から上陸する選択肢はほとんど皆無だということだ。

 余談になるが、岬がこういう形状になっていると考える事で一つの疑問が解決する。それは地図上にもあるが、ファルコの死亡地点だ。ファルコは夕日を見ながら死んだ。しかし修羅の国が中国だとすると、水平線に夕日が見えるのはおかしい。地殻変動で中国が島になっていたとしても、ケン達は日本側のほうからやってきたわけで、その島で水平線の夕日を見るには島の反対側まで行かねばならぬのだ。しかし、この地図のような岬があったとすれば、問題は解決。島の東側に居ながら、水平線に沈む夕日を見ることが出来るわけだ。まあ伝書鳩が西から飛んできたという問題は残るが、ファルコを探してうろうろしていたと考えれば済む問題である。

 最後にもう一つ、カイゼル門番説を証明するものとして、シャチの存在がある。シャチはカイゼルのもとで切り札を手に入れる機会を待ち続けていた。何故わざわざボロの真似までして、カイゼルの城に潜入していたのか。それは、侵入者がほぼ確実にカイゼルの城へ来る事を知っていたからだ。シャチがリンという切り札を手に入れたのは偶然ではなく、必然だったのである。

 そういえばカイゼルの城には修羅の門と呼ばれるトンネルがあった。本来あれは、侵入者が修羅の国本土に入るための「門」なのではないだろうか。しかし十数年間そのような者は一人として現れず、結果修羅の門は修羅を目指す者達が闘技場へと向かう道へと造りかえられたという経緯があってもおかしくはない。