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黒王を手に入れたラオウが、領土を広げんと遠征を繰り返していた頃・・・自らの骨占いに導かれ、一人の女が拳王府の門を叩いた。彼女の名はサクヤ。占卜と天文の理を知る、褐色の女軍師であった。 棘王ハデル率いる黒薔薇一族との戦いにおいて、初めて指揮を任されたサクヤ。約二倍もの兵力を備える相手に正面からぶつかるその戦法は、一見なんの策もないように見えた。しかし両軍がぶつかろうかというその時、突如峡谷に砂嵐が吹き荒れ、それは黒薔薇一族の視界"だけ"を奪った。占いによって突風が吹くことを予知していたサクヤは、ある地点に板塀を用意させる事により、砂嵐の向きを意図的に変化させたのである。視界を消失した敵兵など、もはや拳王軍にとって敵ではなかった―――。 だがそんなサクヤにも、知ることの出来ない未来があった。南斗の星が乱れる今、この世を治めるのは北斗。その北斗とは、果たしてラオウの事なのか・・・。自らの疑問を解消すべく、彼女が訪ねたのは、南斗の智将と謳われた男、リュウロウであった。 切り立った小高い岩山の頂上に咲く花を欲するとき、人はそれを如何にして手に入れるか。その謎掛けに対し、リュウロウは答えた。自分ならあえて手折らず愛でる。サウザーは自らの手を汚さず、他人を使い手に入れる。トキは自らを犠牲にして種を持ち帰り、ケンシロウは花を欲さずとも、民衆が彼のために動き、花を託すだろう、と。だが、ラオウはその何れとも違う答えを出した。サクヤが花を欲したあの日、ラオウは一撃で岩山を打ち砕き、無傷で落ちてきたその花を手にしたのだった。天に向かうのではなく、天を引き寄せる―――。この花が手折れなかったように、自らの覇道もまた、己が天に選ばれし男であれば必ず成るであろうことを、ラオウは知っていたのだった。占卜や天文を持ってしても未来を見ることが出来ない男、ラオウ。そんな男の生き様に、サクヤもまた魅せられていたのだった。 |
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