崇山通臂拳
すうざんつうひけん
使用: |
拳法家 (対 ターゲル) |
登場: |
北斗の拳(60話)/アニメ版(38話) |
カサンドラに幽閉された
拳法家が伝承する拳。
拳王に極意書を奪われ、そのままカサンドラに幽閉されたために披露されることはなかった。
TVアニメ版では牢屋へと連行される際に抵抗し、
カサンドラ兵を一蹴。だが
黒掌十字拳のターゲルには通用せず、交錯時に身体を十字に分断された。
通臂拳は清朝の頃に陳慶が韓道長より授けられた拳法で、五雷拳・長臂・五行通臂拳などと呼ばれている。ただ「崇山通臂拳」と銘打たれた拳は無い。通臂拳は中国北方で生まれた極めて実践的な拳法で、河北省を中心に広くに伝わり数多くの分派を生んだのだが、その中にも「崇山通臂拳」は無い。甲斐の才兵衛様によると、思想的に「崇(嵩)山の通臂拳」というのはあり得ぬとのこと。しかし通臂という動作(下記)は中国拳法のほとんどに取り入れられている要素であるため、崇山少林寺などで生まれていてもおかしくはない。あそこには「十字通背」なんて動作もあるし。表に出ていないだけで、知っている人は知っているのかもしれない。
通臂拳よりも通背拳という拳法の方が一般的にはメジャーである。しかし二つとも基本的には同じで、時代によって少し名前が変わった程度のものらしい。詳しく言うと、通臂拳という拳法の名には「腕(臂)から生じた力を肢体を通じて放つ」という意味がある。そして通背拳には「腰背から生じた力を肢体を通じて放つ」という意味がある。腕から本当に強い力を生むためには、腰背で生じた力を腕に流さなければいけない。というわけで、通背拳の中に通臂拳が含まれるという形になったらしい。
通背拳の元祖となった拳は、あのハブが使うことでもおなじみの「猴拳」の一種ではないかと言われている。通背拳とは、猿が獲物を捕ったり攻撃したりする際に行う腕の伸縮がもとになった拳なのだ。確か神の使いの白猿は両腕の骨が繋がっていて、片方の腕を伸ばして攻撃するともう片方の腕が縮むなんて伝説があって、それを拳法にしたのが通背拳なのだという。。
通背拳の礎となる構えの極意は「懐を深く」。つまり腰を引いて胸を凹ませ、空間を作り、相手の拳を身に届かなくするのだ。自らの拳をより遠くへ届いているかのように見せるという意味合いもある。よく見るとアニメの崇山通臂拳の構えもなんとなく腰を引いているように見える。適当に作ったものではないのかもしれないと思い調べてみたところ、この構えは「丁字歩」という防御型の構えに酷似していた。更にターゲルにはなった双手は、推窗望月(すうそうぼうづき)という秘技に非常に似ている。これもまたアニメ北斗の奥義描写の指南役である進藤満尾氏の知識によるものだろうか。