
カサンドラへ向かい旅を続けるケン達。カサンドラのことをマミヤに問われたレイは、己が知っているだけの情報を話し始めた。世紀末覇者
拳王。最強を目指すその男は、数々の拳法家達をカサンドラへと集め、彼等の拳法を我が物にしているのだという。そしてそのままカサンドラへと幽閉された拳法家は、悲痛な叫びを谷へと響かせ、そしていつしかそれは鬼の哭く声へと変わっていった・・・それが哀しきカサンドラの伝説であった。
ターゲルは襲撃隊の全滅を獄長に報告。ケンシロウの予想以上の強さにターゲルは脅威を感じるが、ウイグルは既に対ケンシロウの秘策を用意していた。ケンシロウの弱点は優しさ。奴の甘さでは、女を殺すことは出来ない。そう考えたウイグルは、女拳士・ベラをケンにぶつけようと考えたのだ。早速ベラを牢から連れ出し、ケン抹殺を命じるウイグル。己の拳を殺人に使いたくない、ベラはそう言って命令を断るが、すでに彼女には選択権は与えられていなかった。奥の部屋から刃物を突きつけられて現れたのは、ベラの母親であった。ウイグルは、命令を無視すれば母親を殺す。そしてもしケンを倒すことが出来れば、蘭山紅拳の秘伝書も返してやろう、との交換条件を持ちかけてきたのだ。自分のことはいい、拳を捨てて女に戻れ、と母はベラを説得するが、ベラには母親を見殺しにする非情さはなかった。亡き父より、女を捨てて蘭山紅拳を次いでくれとの遺言を受けたときからベラとケンシロウの戦いは宿命づけられていたのだった。
カサンドラへの道中のケン達に、一人の少女が助けを求めてきた。一緒に旅をしていた祖父が、脱水症状に陥ってしまったのだ。ケンシロウの差し出した水でなんとか祖父は息を吹き返したが、次の瞬間、その柔和な空気を切り裂くかのように、女拳士・ベラが現れた。母のため、父の遺言のため、ベラはケンシロウに戦いを挑む。しかし、そのベラの中に宿る哀しさを見抜いたケンには、ベラを攻撃することは出来なかった。一方的に攻め立てるベラ。しかし、彼女の攻撃は虚しく空を切り続ける。とその時、二人の激しい戦いによって、ケンの水筒が弾かれてしまった。遠くに飛ばされ、水がこぼれ出した水筒を見た少女は、貴重な水を守るために水筒へと駆け寄る。しかしすでにそこは戦場の中であった。ベラがケンへと向かって投げたはずの薔薇・・・その軌道上に、少女は立っていたのだ。だが、その薔薇が突き刺さったのは、ケンシロウの腕だった。自らの体を張って、ケンは少女を護ったのだ。戦闘中に他人の命を救うというケンの優しさ。強く、そして優しいその男に、ベラは自らの完全敗北を悟ったのだった。戦意を失ったベラを残し、ケン達は再びカサンドラへと向けて出発した。
カサンドラへと向かうケン達に、先程の少女が駆け寄ってきた。ベラの危機をケン達に伝えるため、少女の祖父が彼女を使いに出したのだ。しかし、帰ってきたケン達が見たものは、黒掌十字拳にて切り刻まれたベラの姿であった。非道なターゲルに怒りを爆発させたケンは、雑魚の掃除をレイとマミヤに任せ、ターゲルと対峙。数々の相手を切り刻んだ黒掌十字拳も、次元の違うケンシロウにはまったく効果がなかった。改めて突撃してきたターゲルに対し、ケンは北斗撃墜指を炸裂。秘孔
百会を突かれたターゲルは絶叫と共に爆死。ケンは、自分と同じ一子相伝の宿命に散ったベラに、深く同情するのだった。| [漫画版との違い] ・崇山通臂拳の男が妻子と共にカサンドラへと連れてこられるところと、トキが微笑を浮かべる以外はほぼアニメオリジナル ・崇山通臂拳の男が捕らえられてくるのは、原作ではトキの回想の中でだが、アニメではケン達が到着する少し前 ・極意書を渡したのは、原作では拳王本人だが、アニメではウイグルが一時預かり 崇山通臂拳の男は、原作では牢の中で妻の名を呼びつつ死ぬが、アニメではターゲルに殺される トキが微笑を浮かべるシーンは、原作では空手家をウイグルが屠った後。 |
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