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極十字聖拳


 北斗劉家拳の流れを汲む拳法。かつて異端の天才と呼ばれた魏瑞鷹が、劉家門を元にして創始し、後に彪白鳳流飛燕の二人の弟子に伝承された。秘孔術を使う以外はあまり北斗の拳と似通った部分はなく、主に鋭い手刀で敵の身体を切り裂くといった戦い方を得意としている。その鋭利な爪痕は、触れられた事すら気付かない程の切れ味を誇る。

 その宿星は南十字星であり、拳の伝承する者達の手の甲にはその星をかたどった紋章が刻まれている。だが北斗七星が指し示す極北には天帝という星があるのに対し、南十字が指し示す南極には星がないため、守るものを探してただ闇を孤独に回るのみとされている。

 その拳の真髄は、身も心も血で染め上げ、血に酔うことで恐怖を消し去り、命を見切る事にある。故に"死鳥鬼"と呼ばれる流飛燕は、死地に向かう前に、優雅な鶴の象徴である自らの拳に血化粧を施すため、多くの武芸者達の血をその全身に浴びた。だが拳志郎によると、流飛燕はその血に酔いすぎたために、師・瑞鷹の思惑を理解できなかったと語っている。

 特筆すべきはその防御にあり、千手羅行の修行によって千の手を得た流飛燕には、拳志郎の拳をもってしても身体に触れることすら出来なかった。しかし全ての拳を防いでも、闘気によって秘孔を突く天破活殺だけは防ぐ事が出来なかった。

 もともとは北斗神拳を凌駕するために生み出された拳であるため、その使い手達は総じて北斗神拳への強い対抗心を抱いている。流飛燕も拳志郎に敗北した際、これは極十字聖拳の負けではなく、己の不覚ゆえの敗北だと語り、自決しようとした。かつて霞鉄心もまた、その意思を汲み、義足である魏瑞鷹との戦いで拳の優劣をつけるのは惜しいと考え、それぞれの弟子に拳の決着を委ねる事を選んだ。

 『蒼天の拳 REGENESIS(アニメ版)』には、流緋鶴なる女拳士も使い手として登場する。飛燕を義兄と慕い4年ほど旅に同行していたが、どういう経緯で拳を学んだのかは不明。