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李永健
りえいけん



登場:第1話〜7話
肩書:溥儀の毒味役 青幇の毒使い
武器:毒
CV:佐々木梅治(アニメ)
   八奈見乗児(ドラマCD)

 溥儀の毒味役を務める老人。拳志郎の朋友。かつては「睡龍」と呼ばれた青幇屈指の毒使いであり、右肩にその証である龍の刺青を持つ。紅華会の拷問で両足の指を切断され、歩行が不自由な身体となっている。

 物乞いとなっていたところを、溥儀の毒味役として拾われ、共に日本へ。洋食屋にて拳志郎との再会を果たし、青幇の皆が殺されたという哀しき事実を伝えた。だが拳志郎に上海に戻ってきてほしいとは口にせず、密かに退散。身分を隠して自害しようとするが、金克栄に捕われ、拳志郎を呼び寄せるための人質にされた。その後、訪れた拳志郎に、既に潘光琳玉玲が殺されてしまったことを伝え、最期に玉玲の手紙を渡せた事に安堵しながら、病に果てた。

 TVアニメ版では、かつて拳志郎と玉玲の結婚式前夜に開かれた祝宴の場に参加している姿が描かれた。





 拳志郎を上海へと引き戻したキーパーソンであり、蒼天の拳随一の癒し系キャラクターの李さん。死期が近いこともあってか、その老いた顔から繰り出される笑顔は、一片の裏も感じさせぬ、悟りの境地に達したかのような微笑を携えていた。この笑顔だけで「青幇はヤクザではあるが義を重んじる組織なのだろう」と読者に認識させるに充分な説得力を持っていたと思う。

 しかし、李さんはああ見えてもかつては青幇の殺し屋として名を馳せた人物。しかも腕に小龍の刺青を持つのは、殺し屋の中でも屈指の存在だったという証。となると、彼が過去に毒殺した人物は百を超えてくるだろう。そんな一流のマーダーだった男が、なぜあんな屈託の無い笑顔を作れるのだろうか。

 いくら相手が非道な紅華会とは言え、殺人は殺人。数多の命を奪ってきた男には「業」がつきまとう。そんな男が笑みを浮かべたなら、松丸議員(by中坊林太郎)が如き闇深き笑顔(画像左)になってしかるべきなのだ。だが、その闇を一瞬でも相手に感じさせてしまったなら、それはもう暗殺者としては下の下。どこからどう見ても100%善人にしか見えない笑顔を作れる者こそが一流。殺意や罪の意識を持ちながらも、その気配を一切外面に出さないからこそ、李永健は青幇屈指の殺し屋「睡龍」と呼ばれるまでになったのである。