ストーリー | キャラクター | 流派・奥義 |
核の炎がもたらした無秩序の世界―――。 暴力が支配するその無法の荒野を、一人の男が彷徨っていた。その男、南斗水鳥拳のレイもまた、この不幸な時代の中で悲劇を背負った男であった。妹アイリの結婚式が行われるはずだったあの日・・・アイリは何者かによって連れ去られ、そして両親はその命を奪われてしまったのである。息絶える寸前、父はレイに告げた。犯人の胸には七つの傷が刻まれていた―――と。復讐に取り付かれたレイの心は、まるで人間の心を失った餓狼の如く、荒みきっていた。だが、悪党と罵られようとも、泥水をすすろうとも、レイは生き延びねばならなかった。七つの傷の男を殺し、妹アイリの笑顔を見るまでは・・・ 上玉の女は皆"アスガルズル"へと送られる―――。奴隷商人から聞き出した情報を頼りに南へと向かうレイは、その道中、ユウという名の少年と出会う。女装して悪党から食糧を奪うという巧みな処世術を見せるその少年は、レイが南斗水鳥拳の使い手である事を知った途端、自らアスガルズルへの案内役を買って出た。女が客の相手をし、その代価として大量の水や食料を得て成長した街、アスガルズル。精鋭の軍勢に守られるその難攻不落の街は、いつしか『皆殺し色里』と呼ばれ、その名を知らしめていたのであった。 用心棒になりたいという名目の下、アスガルズルへの潜入を果たしたレイとユウ。その強さに目を付けたのは、エバズ・ヴァルキリアなる、女だけで組織された自警団であった。近頃街では、用心棒達の図に乗った行動が問題になっているのだという。そんな彼らを牽制するため、彼女達はレイの拳を買おうと考えたのである。だが、その報酬としてレイが求めてきたのは、この街の女王であるエバの身体であった。アスガルズルの女王、エバ。無法の荒野でバラバラとなった女達を纏めあげ、女達が自立して生きて行ける街・アスガルズルを創設した彼女は、この街の女達にとってかけがえのない存在であった。 エバのもとへと訪れたレイは、アイリが既にこの街を去った事を知らされる。もう用はないと街を発つ事を決めるレイであったが、エバはそんなレイの瞳に、例えようもない哀しみを見ていた。復讐の炎に焼かれたレイの心は、人ならざる餓狼へと成り果てていたのだった。そんなレイに、エバは自らを抱くよう告げた。それで得られる一縷の安らぎが、レイを人として留まらせる事―――。そしてそれがレイの正しき義星の宿命に導く道であることを、エバは知っていたのだった。 だが翌朝、深い眠りから目覚めたレイの前には、驚愕の光景が広がっていた。自らの横に、亡骸と化したエバの姿が転がっていたのである。その背に刻まれた十字の傷は、紛れもなく、南斗水鳥拳によってつけられたものであった。釈明の余地なく、駆けつけたエバズ・ヴァルキリアの猛攻を受けるレイ。華麗に彼女等の攻撃を躱すレイであったが、僅かに身を掠めたナイフには、猛毒が塗られていた。塔の最上階から身を投げ、なんとかその場から逃亡したレイであったが、既に全身を回り始めた毒は、レイから意識を奪い始めていた。 |
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