羅虎城
らこじょう
国民党に所属する伝説の
馬賊将軍。
章烈山が
第二紅華会の御大にするために呼び寄せた人物。
驚くほど小さな身体を持っており、本人はその事に強いコンプレックスを抱いているが、一方でその身体を活かした軽功術を得意とするなど、処世術に利用したりもしている。また、その身体には似つかわしくない大声を発する事ができ、その響きに肝を抜かれた者達には、羅の身体が大きく見えてしまうという。
かつて
関東軍が好条件を武器に懐柔しようとしたが、それを断固として拒絶し、
日本軍と抗戦。
チチハルで戦死したとされていたが、裏で結びついていた
共産党やソ連の手引きによって脱出し、ローマに身を潜めていた。その後、章烈山にその手腕を買われ、第二紅華会の長となるべくして
上海へ帰還。自慢の大声と、巧みな話術、豊富な資金を利用し、一瞬にして馬賊を纏め上げ、彼等を第二紅華会の構成員へと仕立て上げた。
その後、
青幇にとって脅威になりうる存在だとして、
拳志郎に命を狙われることに。自らの寝室にて拳志郎を待ち伏せ、自慢の軽功術で戦いを挑むが、あっさりと捕らえられ敗北。自分の名「羅虎城」を口にした瞬間に死ぬという秘孔を突かれ、その解除を条件に、自らが開く晩餐会に章烈山を招くよう指示された。だがその結果、拳志郎に敗北した章烈山が改心したため、自らの第二紅華会計画は水泡に。機関銃を用いて拳志郎達を殺し、己が新たな上海の王とならんと目論むが、うっかり己の名を口にさせられてしまい、あえなく爆死した。
マキシマムサイズの章烈山の登場によって蒼天キャラの規格が限界突破し、その流れで登場したのがこのミニマムサイズの羅虎城であった。身長は場面によって可変するが、おおよそ30cm〜50cmといったところか。デカいのは北斗の拳でも山ほどでてきたが、これほど小さいのは初めてだなぁ、凄い個性だなぁ、と思ってたら、部下の中に更に小さいのが二人もおり、更には推定15cmという妖精クラスのノミの孔なるキャラまで登場し、その価値はほぼなくなってしまった。
彼のそのチビさは、もちろん章烈山との対比を意識してのものだろう。紅華会の再建を目指す二人が、巨人と小人という凸凹コンビぶりを狙った結果だと思われる。だが対照的なのは、サイズだけではない。その死に様も、烈山とは対照的なものだった。
二人は共に国民党と共産党を二股かけて金を稼ぐ悪党であった。そこに現われたのが拳志郎こと閻王。生前の罪を裁く閻魔大王の化身である。拳志郎に敗れ、その後の身の振り方を問われた烈山は、父の愛に応えるため、心を入れ替えて国のために尽くすことを誓った。そんな彼を、閻王は赦した。対して羅虎城は、太炎や五叉門党からの再三の説得も聞かず、マシンガンをぶっぱなして拳志郎たちを皆殺しにしようとした。その結果、閻王から下されたのは、秘孔による惨めな最期であった。同じ悪党としての道を歩んだにもかかわらず、天が必要とした者、必要としなかった者という違いによって、彼にだけ死というお裁きが下されたのである。
これの少し前、羅虎城は圧倒的な声量を用い、その小さな身体をとてつもなく巨大に映し出してみせた。それができたのは、彼の持つ度量の大きさ故だという。だが彼が最終的に死ぬ原因となったのは、一にも二にも金・金・金という器の小ささを見せたからであった。正直、先の巨大化を見た後だと、この死に様はどうにも強引というか、無理やり「小さい人間」にされたような印象を受ける。おそらく、ラストの烈山との対照的な結果を演出するためにはそうせざるを得なかったのだろう。つまり彼は、サイズ等諸々含めて烈山の「当て馬」として登場させられた、可哀想な人物なのである。
正直ね、この人相当努力したと思うんですよね。こんな身体的ハンデを抱えながら、伝説の馬賊将軍と呼ばれるまで出世するまでには、相当な苦労があったと思うんですよ。偉くなってからは周りが気を使ってくれますが、ペーペーの頃は相当組織内でも馬鹿にされてましたよ。でもその悔しさをバネにしてね、なにくそと頑張って、その苦労が実ったことで将軍にまで上り詰めたわけですよ。なのに用意された死に様がこれというのは・・・あまりにも不憫でならない。いやまあ、全部私の勝手な想像ですけどね。同じチビとしての。
彼のモデルとなっているのは、作中で名前も登場している
張作霖ではないかと思われる。といっても「馬賊将軍」「ヒゲの形」「日本軍に暗殺された(諸説あり)」くらいしか共通点は無いが。羅は抗日の英雄とされているが、張作霖はどちらかというと日本とズブズブだったみたいだし。名前だけで言うなら、張作霖らと共に西安事件を起こした楊虎城が近いんだけど経歴が大分違うしなあ。