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ジョーカー



登場:TVアニメ版(4〜21話)
肩書:KING軍参謀
流派:南斗翔天拳
  CV:千葉繁

 KING(シン)の右腕としてTVアニメ版に登場したキャラクター。ケンシロウの動きをシンに報告したり、現地の部隊に指令を出したといった役割をこなす。南斗翔天拳のほか、凄まじいスピードや、岩を切り裂く程のトランプ投げを武器とする。に掴まり宙を移動することも出来る。

 ケンシロウが城に攻め込んだ後、城ごと炎上させてケンシロウを抹殺しようとしたり、ジャッカルデビルリバースを操るよう命令を下したり、スネーク軍スコルピオ軍に協力してケンシロウを襲うよう命じたりなど暗躍。全てケンシロウを倒すには至らなかったが、その中でケンの実力を認め、バルコムが爆撃でケンシロウを倒したという報告に疑念を抱いた。

 ケンが死んだとされる場所を捜索中、生きていたケンシロウと遭遇。南斗翔天拳にて戦いを挑むも、自慢のスピードでケンシロウを振り切ることができず、最後は北斗残悔拳を喰らい敗北。シンにメッセージを伝えれば命を助けると言われたが、情けは無用だと潔い死を選択。死ぬ間際にケンシロウ生存の報をシンに伝えるよう、ペットの鷹にメッセージを託した。




 アニメ北斗の拳に数多くのオリジナルキャラあれど、その中でもやはり代表格なのがこのジョーカー様だろう。一度でもテレビアニメ北斗の拳を観たという方なら、誰しも忘れる事のできないその存在感。原作10話で終わるこのKING編を、22話まで引っ張り、盛り上げてくれた功労者は、間違いなくこのジョーカー様だ。
 
 なにより彼は、脇役キャラとして人気を博すに必要不可欠ともいえるポイントを全て抑えている。まず格好いい。妖しい。それでいて忠義心が厚い。速い。そこそこ強い。頭が切れる。勘が鋭い。千葉繁、とこれだけ揃えば、人気が出ないほうがおかしい。たまにケンシロウの前に現れては、軽〜い挑発を残してさっさと逃走するしたたかさ。バルコム将軍のケンシロウ死亡の報をただ一人信じず、厳しい表情を崩さなかった冷静さ。ケンに生きる道を用意されても、それを断り、自ら誇り高き死を選んだ潔さ。全てが格好良い。これだけ格好良いと、あの宮崎知事並の広いデコも、絶句してしまうほどのイカレた服のセンスも格好良く見えてくるから困る。
 
 キャラクターとしてのジョーカー様も魅力たっぷりだ。参謀を務めつつ斥候をもこなす彼は、サザンクロス←→ケンシロウの間を往復しまくりでとっても多忙。乗り物を使っている様子はないので500km(ジーナの村〜サザンクロス間)以上の距離を徒歩で行ったり来たりしていることになる。かなりの縮地法を使えるわけだ。そしてその発言力から考えても大将軍バルコムと並ぶ立場であることは間違いない。普通、そんな地位の人が斥候なんかしないよ。なんて仕事熱心な方なのでしょう。きっとそのへんの兵を使うよりも自分が動いたほうが早いから、わざわざ自ら駆け回っているのだろう。これもKINGへの忠誠の厚さゆえだろう。南斗翔天拳の伝承者は、南斗孤鷲拳に仕える事を宿命とする、忠義の星なのだろう。

 その強さも侮れない。バルコムにも決してひけはとらないと思う。結局ケンシロウとの闘いでは、傷の一つも付けられず負けてしまうが、これは仕方のないことである。何故ならジョーカーは既にケンシロウと3度以上も顔を合わせているし、戦ってもいる。北斗神拳には「一度戦った相手の拳は〜」とかいう反則技があるが故に、ジョーカーは既にその動きを見切られてしまっていたのだ。初対面時にまともに闘っていたなら、もっと苦戦させられていた筈だ。それにバトルの中には省略されたと思われる凄まじい攻防戦のカット集が差し込まれており、かなり見ごたえのある闘いであった事は間違いない。最終的にケンがジョーカーの軽功術についてこれたのも、ケンがその動きを水影心でパクったからのようにも見える。つまりジョーカーとの闘いがまたひとつケンを強くしたとも言えるわけだ。更に彼は、投げたトランプで岩柱をも砕く事が出来る。おそらくジョーカーは、無数に放つトランプ全てにオーラを込めているのだろう。こんな北斗孫家拳並の操気術を扱える拳士が、弱かろうはずがないではないか。
 
 しかし彼の一番の「格好良さ」は、彼が「存在した」事である。まだこの連載開始時、原先生が後の事をあまり考えずに描いていたということもあり、原作のKING軍は、他の軍勢と比較しても相当ショボいと言わざるを得ない。いくらシンが遮二無二走って大軍団を作り上げたと言っても、登場したのがあのKING四重臣だけでは説得力も何も無い。その原作の「KING軍の貧弱さ」を補ったのがジョーカーという存在なのである。他にもアニメでは、オリジナル軍団達が登場するが、彼らだけでは駄目だ。だって馬鹿っぽいもの。人間砲弾とかもそうだが、大将軍のバルコムの筋肉バカっぷりが止めをさしている。そんなイロモノ集団化したKING軍において、ジョーカーという存在は智の象徴であり、KING軍が「巨大軍閥」として存在するには決して欠かすことの出来ない存在なのである。ジョーカーが居るか居ないかで、KING軍の価値は天と地ほど変わる。それだけの人物であるが故に、彼は「存在するだけ」で格好いいのだ。だからもっと世間は、彼のことを評価すべきである。いろいろ発売された北斗の拳のゲームにも結局全く呼ばれることは無かったし、昨今の外伝シリーズでも描かれることはなかった。「巨大軍閥・KING軍」を描く際には欠かすことの出来ないこのジョーカーという存在を、今一度みんな見直して貰いたい。

 ちなみにTVアニメのキャラクター設定画にはケンシロウとの大きさの対比図が載っており、これだけをみると相当低身長であることが伺える。ケンシロウを公式設定の185cmだとすると、なんとジョーカー様は149cmという女子力だ。ただこれはあくまで初期設定であり、劇中ではケンシロウとほぼ同じ大きさになっているので安心してほしい。