第壱話 『呪縛の街』 |
第弐話 『禁じられた拳』 |
第参話 『男が哀しみを背負うとき』 |
登場人物 | 流派・奥義 | STAFF・CAST | 小説差込漫画 |
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ケンシロウが国を離れた事を確認し、歓喜に沸くサンガの手下達。だが彼らが城に戻ろうとしたその時、マントを纏った一人の男が現れた。続いて、彼を追うかのように現れた二人の僧―――。その額に刻まれた蒼い刻印は、彼らがクリフランダーであることの証であった。 ![]() 呆気に取られるサンガの手下達に向かい、セイジは言った。サンガが築き上げたこの街の全てを俺が支配する―――。セイジが拳を学び、山を降りたのも、すべてはその野望を果たすための第一歩に過ぎなかった。目の前で圧倒的な力を見せ付けたセイジに対し、もはやサンガの手下たちには服従以外の選択肢は残されていなかった。 城内にいたサーラを捕え、あっけなく城を手に入れたセイジは、まずサンガの死体の下へ案内するよう命じてきた。地下に安置された"それ"を見た瞬間、セイジは怒りの形相で棺を蹴り壊し、飛び出したその死体を踏み潰した。サンガに向けられた異常なまでの憎しみ・・・。それは全て、今日の日の復讐を果たすため、セイジを突き動かしてきたものに他ならなかった。そして、サンガのものを全て奪い取ること復讐を果たさんとするセイジにとって、"神"であるサーラの力は必要不可欠なものであった・・・。 |
![]() 門の前までたどり着いたケンシロウに、クリフランダー最強を誇る男、ジネンが立ちはだかる。だが彼の取ったその構えに、ケンシロウは敏感に反応した。北斗天帰拳―――。それは紛れも無く、北斗神拳の奥義のひとつであった。彼らが使う拳法の名は"北門の拳"。北斗神拳と同じく、北斗七星から生まれた密拳であった。 |
峡谷にかけられた一本の丸太に、一人の少年がしがみついている。少年がその橋を渡り終えようとしたその時、向こうの岩壁に立つ男が、その丸太を足で蹴落とした。必死に男にしがみつき、少年は言う。「父さん、何故・・・!」だが男は答えることなく、ゆっくりとその手を引き離し、己の息子を峡谷の中へと放り捨てた―――。それは、毎夜悪夢として繰り返される、セイジの忌まわしき過去の記憶であった。 ![]() 暫くの後・・・。牢番のチェスの目を盗み、トビは密かに牢屋から抜け出していた。だがそんなトビの目に飛び込んできたのは、バルコニーで佇む半裸姿のサーラの姿であった。何が起こったのか、すべてを理解したトビの目には、怒りと哀しみの涙が溢れていた。 |
ジネンの連打を悉く躱すケンシロウに対し、ジネンはケンの攻撃を全く捉えることが出来なかった。闘気を込めれば拳は読まれる―――。修験の拳である北門の拳には、主戦場での実践力が欠落していることを、ケンは見抜いていたのだった。 勝敗が決したその時、固く閉ざされていた山院の門が開かれた。姿を現した北門の拳の老師は、既にケンの正体に気が付いていた。彼らが学ぶ北門の拳の"開祖の拳"である、北斗神拳。その正統伝承者であるケンシロウは、彼らクリフランダー達にとって神にも等しい存在なのであった。 ![]() 足止めしたお詫びとして血清を受け取り、ラストランドへの帰路につくケンシロウ。だが旅立ちの前に、老師はケンに告げた。門外不出の掟を破り、遁走した者がいる―――。男の名はセイジ。狂気じみた拳への執着心で、奥義を二年で極めたというその天才の正体・・・それは、あのサンガの息子であった。 |
自らが手中に収めた街並みを見下ろし、父サンガへの復讐を成した喜びを噛み締めるセイジ。その男の謀略を止めんと、背後から短剣をつきたてるサーラであったが、刃ですらその肉体を貫く事は出来なかった。だがその時、サーラの目があるものを捉えた。セイジの首筋にある、獣による傷跡・・・。かつてサーラは、そこに傷を負った一人の"少年"と出会っていた。 ![]() |
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<小説版とOVA版の違い> 小説版でのみ描かれたシーンや、OVA版で変更されたシーンなどを紹介。 ●セイジ登場 ・セイジの追手2人は、OVAではサイドカーにのってくるが、小説では漆黒の悍馬。 ・OVAでは生き残りの兵全員でセイジに忠誠を誓うが、小説では逃げ送れたチェスだけが捕まえられ、その後副官にとして配下につく。 ・OVAでは地下の洞窟にサンガの棺が安置されているが、小説では地下は出てこないため、修練場に置いてある。 ●ケンシロウ vs 北門の拳 小説版ではケンシロウがクリフランドを通らないため、全く別のストーリーになっている。 <小説版でのケンシロウ vs 北門の拳> 血清を手に入れるため、ジープで自由の村へと戻ったケンシロウ。だがそこには、セイジ抹殺のために送り出された二人の修験僧、シマとレンが待ち構えていた。伝え聞いていた風貌から、ケンシロウをセイジと勘違いした二人は、捨て身の戦法でケンシロウへと襲い掛かる。だが完全に裏をかいたはずの奇襲攻撃も、ケンシロウには通用しなかった。 相手がセイジではないことを知った二人は、事のあらましをケンシロウに語り始めた。己達の拳が北門の拳である事。セイジという男が掟を破り、門外不出のその拳を野に持ち出した事。そして、禁を犯した者には開祖の罰が下るという言い伝えがある事―――。そこまで語ったその時、シマの中に閃光が走った。山奥の院に祭られる、開祖を模してつくられたという闘神像。ケンシロウの瞳は、その像と同じ哀しみを宿していたのである。目の前の男が、開祖の拳「北斗神拳」の伝承者である事を知った二人は、己の掌の北斗七星を涙でぬらしていた。 ・「クリフランド」「クリフランダー」という名称はOVA版のみ。 ・OVAではビスタの命があと2日で、クリフランドを通らなければ間に合わないというストーリーだったが、小説では普通に自由の村に薬を取りに戻る。故にケンシロウはクリフランドへも行かないし、老師やジネンも出てこないし、北門の拳が兵器を400年守り続けているというエピソード等も一切無い。 ●セイジ、ラストランドの王に ・OVA版ではセイジが胸の秘孔を突いてサーラを気絶させるが、小説ではセイジがサーラに秘孔「椎神」を突き返し、意識は残したまま身体の自由を奪う。 ・チェスがトビをいたぶるのはムチではなく剣。 ・OVAでトビがサーラを見たのはバルコニーに立つ姿だが、小説では水が溜めてある洗い場。 ・セイジが野犬に噛まれるシーンは、OVAでは子犬と母犬しか出てこないが、小説ではその前に数匹の野犬をセイジが返り討ちにするシーンがある。 |
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