ストーリー | キャラクター | 流派・奥義 |
北斗の次兄、トキ。 病を背負い、既に死兆星を見たその男に残された時間は、少なかった。 だが、彼にはまだやり残した事があった。 ひとつは、北斗神拳を医学をして役立てる事。 そしてもうひとつは、かつて兄と呼んだ男を超える事――― 付き人のラモと共に旅に出たトキは、ある村へと辿り着いた。そこは、この世に絶望した者達が集まる、死人の村であった。死に行く者達に医者など必要ない―――。そう言って、その村の者達は誰一人としてトキの治療を受けようとはしなかった。村人達の目に宿る"虚無"。そんな希望を失った人々の目に光を取り戻すことはできないのか。それを確かめるため、トキこの村に留まる事を決めた。 翌朝、村の人々は驚愕した。昨日、トキに触れられた重病の少年・ルカが、元気に動き回っていたからである。奇跡の手を持つ男として、トキの名は瞬く間に近隣の村々へと広まっていった。そしていつしかその村は、「奇跡の村」と呼ばれるようになっていた。 噂が噂を呼び、トキの診療所には診療を待つ人々の長蛇の列が出来ていた。だが噂を聞きつけるのは、病人達だけではなかった。活気を取り戻したこの村は、盗賊達にとって格好の獲物だったのである。トキが気付いたとき、既に村は、殺された者達の死骸で埋め尽くされていた。だが、トキは微塵の怒りも含まぬ顔で、盗賊達に言った。許せ―――と。トキの高速の拳が、盗賊達の経絡秘孔を捉える。北斗有情拳―――。死ぬ間際に天国を感じさせるというその拳は、悪党達の命を奪う事にさえ罪を感じる、トキの贖罪の拳であった。 村を壊された哀しみ、そして病の身体へのしかかる戦闘の反動が、トキに膝をつかせる。だがそんなトキの身と心を支えたのは、ルカの笑顔だった。トキはまだ諦めてはいなかった。この命続く限り、人を救い続けるというトキの思いは、まだ消えてはいなかった。 |
|