ストーリー | キャラクター | 流派・奥義 |
核の炎によって、世界は滅びを迎えた。 訪れたのは、力による支配の時代。 その地上を統治せんとするは、拳王と名乗る世紀末覇者であった。 水と緑が豊富なとある場所―――。拳王軍の支配は、その辺境の地にまで及ぼうとしていた。だがその下見中、何者かが放った矢により、拳王軍司令官シュカンの命が奪われた。彼等が狙うその地には、武装した自治軍が陣を構えていたのである。己達の居場所を守らんと、拳王軍と正面からぶつかり合う自治軍。だが拳法家揃いの拳王軍は、彼等にとってあまりにも強大な相手であった。このままでは敗北必死―――そう考えた新人のヤンは、"ある男"に救援を頼むため、女人街へと走り出した。その男の名は雲のジュウザ。自治軍が助っ人として雇った、一人の流れ者であった。 女遊びの途中で狩り出されたジュウザには、やる気の欠片すら感じられなかった。だがそんなジュウザの闘志に火をつけたのは、拳王軍の部隊長・ガラハが発した一言であった。「胸に七つの傷を持つ男より強いというのは俺様の事―――」。彼が言う"七つの傷の男"の事を、ジュウザは知っていた。その男の行方を捜してくれることを条件に、ジュウザは自治軍の助っ人として働いていたのである。今のジュウザにとっては、その男を追うことこそが、自らを動かす唯一の理由なのであった。 圧倒的な強さを誇るガラハを「教科書どおり」の一言で斬って捨てたジュウザは、それを証明するかのように、たった一撃でガラハを打ち倒す。続けざまにかかってきた数十人の敵も、ジュウザの前ではまるで無力であった。我流は無形。無形ゆえに誰にも読めない―――。それは誰に教えられたわけでもない、ジュウザ自身が編み出した変幻自在の拳であった。 その日の夜、自治軍の幹部会では、拳王軍の後続隊に討って出る案がのぼっていた。無論、その作戦にジュウザの存在は必要不可欠……。それ故、彼等はある決断を下した。『七つの傷の男がカサンドラを落とした―――』。先日掴んだこの情報を、彼等はジュウザに隠しておくことを決めたのである。もし伝えれば、ジュウザがこの地を旅立ってしまうことは必定。彼等が拳王軍に勝利するためには、どうしてもジュウザを繋ぎとめておく必要があったのだった。 その話を木陰から聞いていたのは、新人のヤンであった。ジュウザに去ってほしくないという思いは、ヤンにとっても同じであった。しかし、ジュウザが語った言葉に、ヤンの心は大きく動かされた。「あの雲のように人の心は誰にも縛れねェんだ」。それを聴いた瞬間、ヤンは思った。俺たちはジュウザさんの自由を奪ってしまっているんじゃないか―――。悩んだ末ヤンは選んだのは、ジュウザに全てを打ち明けるという決断であった。 翌日、ジュウザが去ったという報せは、当然のようにメンバー達を焦燥させた。そしてその混乱の収まらぬ中、拳王軍の後続隊は、彼等のすぐそこにまで迫ってきていた。ジュウザ無して勝てるわけがない―――。そう言って次々と逃亡者が出る中で、事の当事者であるヤンは、たった一人で拳王軍に立ち向かう。力負けしたヤンに、拳王軍の刃が向けられたその時―――、彼を助けたのは、軍の仲間達であった。ヤンの無鉄砲な行動は、崩れかけた彼等の心に勇気を取り戻させていたのである。やれるだけやるしかない。そう覚悟を決め、本隊が陣取る林の向こうへと突撃する自治軍。だがそこで彼等が見たのは、全滅した拳王軍の死骸の山であった。それは去りゆくジュウザからの、彼等へのささやかな置き土産であった。 "あの男"がいるというカサンドラへ向け、ジュウザは新たな旅は始まった。彼が追うのは、七つの傷の男・ケンシロウ。恋人ユリアを守れず、死なせてしまったその男に、ジュウザはどうしても会わねばならなかった。自らもまたユリアを愛した者として―――。 |
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