泰山黒影拳
たいざんこくえいけん
流派: |
泰山流 |
使用: |
ドルフィ&ゼンダ (対 ケンシロウ) |
登場: |
アニメ版北斗の拳(91話) |
TVアニメ版北斗の拳に登場した、
ドルフィと
ゼンダの二人が協力して行う泰山流の拳法。ドルフィが攻撃を繰り出す瞬間、サポート役のゼンダが金属製の手甲で太陽光を反射。目に光を浴びせられた相手は、ドルフィの攻撃を視認できず、無防備に攻撃を喰らうことになる。
ケンシロウをも見事に作戦に嵌め、闘いを優勢に進めたが、謎を見破った
フドウによってゼンダが戦場へと引きずりだされたため、コンビネーションは瓦解。その後は一人ずつ撃退され、あっさりと敗れ去った。
「太陽光の反射で相手の目を眩ませる」……これが泰山黒影拳の真髄ということでいいのだろうか。ちょっと戦法が大雑把すぎやしないか?まず快晴じゃないと成立しないし、夜も無理。周囲の環境にも左右されるし、室内など以ての外。そもそもこんな子供の遊びみたいな事が、何度も通用するはずがない。場所を移動するなどして、すぐに対応されてしまうのがオチだろう。正直、穴だらけな拳法と言わざるを得ない。
だがおそらく、今迄はそれで上手くいっていたのだろう。曲がりなりにもあの筋肉だ。攻撃がヘボかろう筈はない。
実際ケンシロウも2発攻撃を喰らっただけでハァハァ言っていたので、相当な攻撃力があることは間違いない。例えチャチな技であろうとも、対応される前に速攻で相手を倒せれば問題は無いということだ。
だが勝負は何が起こるか判らない。相手にタネを見破られようとも、あいにくの曇天であろうとも、彼らは泰山黒影拳を成立させなければならないのだ。おそらく、そのための術を彼らは有していたはず。マヒ毒を塗った吹き矢とか、極細のテグスで引っ掛けるとか、太陽光以外の妨害手段も用意していた可能性は高い。
だがそこにはルールが存在する。それは、
あからさまなサポートはしないということ。あくまで闘っているのはドルフィ一人……ゼンダの妨害によってドルフィが優位を築こうとも、それらは全てドルフィ一人の実力、ドルフィ一人の功績でなければならないのだ。何故なら、
影からのサポートが肝であると周知された瞬間、泰山黒影拳は威を喪失するからである。ブレーメンの音楽隊の如く、所詮その力は実体のない影。その正体がネコやニワトリであると悟られないためにも、彼らは化物の
「黒影」を演じ続けなければならないのである。
そしてこの拳を成立させるためには、もう一つ必要なものがある。それは、
サポート役の絶対的な服従心だ。己がどれだけ影から支えようとも、全ての功績はリーダー1人のもの。そんな日陰の存在としての立場を受け入れ、主従関係を保ち続ける事が、絶妙なコンビネーションを可能としているのである。
逆に言えば、その信頼関係を破壊しなければ、真に泰山黒影拳を攻略したとは言えない。だからこそケンシロウは、ゼンダに秘孔を突き、「ドルフィの死刑に賛成させる」という茶番を演出したのである。最後に二人の主従関係をぶっ壊し、完璧な勝利を飾るために。性格悪……。
●こんなのに苦戦しないでくれ
泰山黒影拳について色々と考察はしてみたものの、正直言ってこの拳法、
あまり好きでは無い。いや、拳法がと言うよりストーリーかな…
北斗の拳のアニオリ拳法って、ツッコミを入れたくなるものも多いじゃないですか。でも私は、強ければ別にいいじゃないかとも思ってるんですよ。南斗列車砲?一撃の威力は拳王様をも超えてるよね。南斗爆殺拳?ダイナマイト強いじゃない。南斗人間砲弾?攻城戦において超有能だよ。拳法かどうかはさておき、十分にその存在意義は感じられるわけ。
けど泰山黒影拳はねぇ……ショボいじゃん。目眩ましって……
いや、アニオリの泰山流がショボいのは別にいいんだよ。問題はそのショボい罠に
ケンシロウが見事なまでに嵌っちゃってる事なんですよね。1回なら別にいいよ。けど3回も引っかかるのは駄目すぎ。ヘボすぎ。 北斗神拳は一度見た相手の拳を見切ることができるのに目眩ましは見切れないんすか?光の反射は拳じゃないから駄目だったとでも?
しかも攻撃で結構ダメージ喰らっちゃって、ハァハァ呼吸が粗くなっちゃってんのもなあ。ケンが呼吸乱すって相当なことよ。こんな奴に大ピンチな雰囲気出さないで欲しい。最終的に勝てたのもフドウのヘルプが入ったからだしなあ。
目晦まし自体は、ゼンダの照射技術が上手すぎたとすれば納得は出来る。けどそれを喰らった後に、
「え、何!?」って感じでケンが防御を解いて、ドルフィの攻撃をモロに喰らっているというのがね……ヘッポコすぎるんですよね。こんな奴があと18話くらいでラオウ様に勝てるわけ無いじゃんって思っちゃう。
タイマンでケンシロウと渡り合える奴など殆どいないんだから、こういった変化球で攻めたかったのは凄く解るし、興味深くもある。けどなあ、コンビネーションにしても、もう少し何か無かったかなあ。せめてケンシロウが苦戦しても十分に納得できるだけの内容であって欲しかったな。