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死環白
しかんはく



流派: 北斗神拳
使用: カイオウ(対 リン)
登場: 北斗の拳(200話)/アニメ版(148話)


 その目の光と共に一切の情愛を失うという破孔。突かれた者は記憶を失いながら気絶し、再び目覚めたときに最初に見た人間にその情愛の全てを捧げる。いつ目覚めるかは判らないが、その眠りを包んでいるのは薄皮一枚で、衝撃を受ければすぐに目覚める。カイオウケンシロウに愛の無力さを知らしめるため、リンにこの破孔を突き、自らの馬に乗せて野に解き放った。後にヒョウらの手によってリンは救出され、ケンシロウの指名によってバットを愛する事になったが、その後バットの手によって再び記憶を抹消されている。



 今も昔も、会得したい秘孔破孔ランキングで確実にベスト3に入ってくるであろうこの奥義。愛しのアノ娘をゲットするため。壊れかけの夫婦関係をリセットして1からやりなおすため。恋の三角関係を清算するため。その他ここでは書けない様な事まで、兎に角この破孔に込められた夢と希望とエロスは計り知れない。
 しかし、そういい事だらけのものではない。最初に見た者に「全ての」情愛を捧げるという事は、その対象となった人物以外の情報は全て消去しなければならないという事だ。成程、記憶を失うのは至極当然だといえる。しかし、目覚めた後も同じことが言える。目覚めて最初にバットを見たのだとしたら、リンはそのバット以外の人物に対しての興味や知識といったものを完全にシャットアウトせねば駄目だ。相手を知ると言う事は、その者への愛を積み重ねるという事に繋がる。もしそうなってしまった場合、カイオウの目論見が全く意味を成さなくなる。リンにサモトを愛させても、バットのがんばり次第では愛を取り戻せるというのなら、全く意味が無い。つまり死環白を突かれた者は、死ぬまで他人には興味を抱かない状態を継続しなければならないのである。初期化された脳を、愛を捧げた者のデータだけで埋め尽くし、他の情報は全く入ってこないよう制限をかけるわけだ。ヌメリの言うとおり、「もはやおまえの目には俺しか映らぬ」状態となっているのである。目覚めてバットを見た後のリンの目には、結婚式を祝福してくれているマミヤやその他の人物などゴミにしか映っていないわけだ。これで本当に幸せと言えるのだろうか。バットの記憶消去という暴挙は、大正解だったんじゃないだろうか。しかしこの程度で破られるというなら、どのみち死環白ってたいした破孔じゃないなあとも思う。