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大川奉作
おおかわほうさく



登場:第81〜84話
肩書:日本帝国陸軍中将
CV:角田信朗

 日本帝国陸軍関東軍司令部の中将。かつて一人息子を馬賊宇占海に殺されており、その行方を探している。

 日本軍に帰順したいという李秀宝との交渉役に選ばれ、奉天から上海へ。北大路と面会し、なんとか李秀宝の命を救えないかと頼まれるが、有名すぎるとして頑なに処刑の方針を貫いた。
 交渉当日、息子の仇である宇占海の首が届けられ、更に自らの胸に北斗七星の血痕が残されていた事から、これは李秀宝を殺すなという閻王からの脅迫だと推測。閻王と李秀宝の繋がりを怪しむが、彼女の美しさとその心意気を目にし、閻王は彼女への恋故にその命を守ろうとしているのだという事を確信。武士の心を持って処刑を中止し、その事を"閻王"に伝えよと拳志郎に言付けた。





 ここまでの北斗・蒼天は、北斗神拳の「威力」を武器に敵を攻略していく展開であったが、政治的に玉玲の命運を握るこの男に対しては、初めて北斗神拳の別の側面を持って相手を攻略していくという展開が描かれた。すなわち、息子の仇の首を土産として届けるという「交渉」や、体に北斗七星の血痕を残すという暗殺拳としての「恐怖」で相手を気押すというやり方での事態の解決方法である。

 この戦いは、なかなか厄介であった。まず大川を殺すというのは愚の愚。彼が居なくなったところで次の交渉役が選ばれるだけだし、何より将を殺されたことで日本軍からの恩赦は100%無くなる。今までの北斗神拳の使い方ではどうにもならない。ならば太炎との戦いで会得した北斗曹家拳の人体操作の術を用いればどうか。さっさと秘孔を突いて「許す!」と一言言わせれば終わっていたような気もする。しかし、その後はどうなるか。例えその場を切り抜けたとしても、馬賊の長を赦した理由を上官から問い質された大川はそれをどう説明するのか。おそらく秘孔による意識操作では、意識を根底から変えることは出来ないだろう。ならば他の日本軍の将校達を納得させるような理由を大川が言えるはずが無いし、もちろん説得することなど出来るはずが無い。真に事態を解決させるには、大川に自らの意思で李秀宝を許すと決断させる必要があったのだ。

 状況を理解し、様々な展開を想定して一番ベストな選択肢を選ぶ。戦闘においてだけではなく、交渉というこの場においてもまた「千変万化する戦いに対応する」という北斗神拳の特性が活きたということだろう。大川もまた、ネゴシエーションという舞台で北斗神拳と拳を交えた強敵なのである。


 彼の元ネタは、日本陸軍の山下奉文(1885-1946)中将であると思われる。名前が若干似ている(山→川? 下→大?)点や、陸軍所属である点、作中のタイムラインである1937年頃に丁度大川と同じ「中将」に昇進している点、そしてその坊主頭が主な根拠だ。もさもさの髭こそ無いけど。
 一応、大川と同じ泰天(満州国の市)にも軍司令として赴いていたようだが、1940年代の事らしいので時期は異なる。
 山下中将は、あの水野晴郎が監督・主演を務めた事で(一部で)超有名な「シベリア超特急」シリーズの主役としても知られている。また、彼がマレー作戦の後に呼ばれた「マレーの虎」という名は、あの「マネーの虎」の元ネタでもある。