マッド軍曹
登場:原作(13,14話)TVアニメ版(6、7話)
肩書:GOLAN幹部 元レッドベレーの軍曹
戦法:高速ナイフ突き ニードルナイフ
CV:田中康郎(TVアニメ版)
吉水孝宏(真北斗無双)
田尻浩章(リバイブ) |
狂信者集団「
GOLAN」の一人。階級は軍曹。
神の国(ゴッドランド)にて
兵士たちの教官を努め、たとえ訓練といえども命のやりとりを徹底させる非情な男。かつて1人で500人のゲリラを殺せると言われた陸戦隊のレッドベレーの生き残りであり、その中でも特にその名を知られた人物。
GOLANを壊滅せんと乗り込んできた
ケンシロウに対し、
吸血ニードルナイフで先制攻撃。しかし筋肉で全ての管を排出されてしまい、さらに嗾けた訓練兵も蹴散らされたため、自ら相手をすることに。かつて何千人のゲリラの血を吸い取った、一秒間に10回突くナイフ術で攻め立てるも、背後を取られ、
秘孔を突かれて敗北。水槽から顔を上げられなくなり、溺死を免れるために
カーネルの居場所を吐いた。その後、立ち去ろうとするケンに背後から襲いかかろうとするも、既に突かれていた秘孔により胴に風穴を開けられ死亡した。
TVアニメ版では、カーネルの命を受けて、ケンシロウ捕獲のために
オアシスへ出撃。クレーン吊りの鉄球でケンを気絶させ、ゴッドランドへと運んだが、全てはケンシロウがアジトに潜入するための演技であった。その後は原作同様に敗北。
尚、アニメではニードルナイフは使わず、代わりにサソリの毒を塗ったナイフを投げて攻撃。軌道に変化をつけ、傷を負わせたが、毒は効かなかった。その後に登場する
バッカムが、代わりにニードルナイフを使用している。
また、「軍曹」の呼び方が「サージ」から「ぐんそう」へと変わっている。
少ない出番ながらも、可也のインパクトを残したキャラと言えよう。その最大の特徴は、一言で言うなら
『五月蠅い』。言葉通り、ガハハな笑い声も実に五月蠅そうだが、それ以上に
態度や性格、あと顔面からして五月蠅い。もう存在自体が五月蠅い。ぶっちゃけ大佐も彼の事は苦手だったんじゃないかと思う。
しかし常にガハハなのかと思えば、部下が甘さを見せた途端にスン……となり、
背景が暗転するほどのシリアスモードに変わるという。これ、ヤンキーがよくやるやつだわぁ。さっきまで楽しく話してたのに急にキレだすんだよ。嫌だわぁ。こんな上司がいる職場とか死んでも働きたくないわぁ。
そんな彼の代名詞とえば、
吸血のニードルナイフ。突き刺す事によるダメージよりも、刺した所からの噴血による失血死を狙うというのは面白かった。日常生活でも似た形状のものはよく目にするので、その度にマッドの五月蠅い顔を思い出す人も多いのではないだろうか。
結果的には大した成果は得られなかったものの、
ケンシロウの頑強な筋肉に深く突き刺せている時点で相当な威力だと思う。凄すぎて、普通の人間にやったら体貫通しちゃうんじゃないだろうか。噴血とかの前に死ぬでしょ多分。
そして
「たわば」を残した功績も忘れてはならない。「あべし」「ひでぶ」の二大巨頭には劣るものの「うわらば」と三位の座を争う名断末魔である。漫画「究極超人あ〜る」には、この断末魔を拝借した「たわば先輩(本名:河田)」なるキャラが登場するなど、その知名度や人気はかなり高い。
ただ個人的には、その
「たわば」に到る直前の3コマのほうが好きだったりする。どてっ腹に風穴を開けられたリアクションとして
「はぁひゃ〜〜!!」「ひょ〜〜〜」は面白すぎるでしょ。鬼軍曹として狂気を演じてただけで、本当は凄くユニークなおじさんなのかもしれない。
●彼が「軍曹」である意味
マッドの仕事は、GOLANの兵士たちを鍛え上げる「鬼教官」。油断すれば即命を落とすような厳しい訓練を行い、その合間には自分たちが神に選ばれた者達である事を刷り込む洗脳教育。すごい徹底ぶりだ。
そんな彼の階級は
「軍曹」。自衛隊等においても、新人達の指導は軍曹が行うのが一般的とされており、それに倣った形だろう。
しかし彼が軍曹というのは、実力から言えばかなり低くないか?と思う。
軍隊の一般的な階級は、まず
大将、中将、少将ときて、その次が
大佐。そして
中佐、少佐。そこから
大尉、中尉、少尉、曹長ときて、その次がようやく
軍曹となる。マッドの実力は、GOLAN時代は勿論、
軍隊時代でも最上位であり、数多くの功績を残してきた人物。
そんな彼が軍曹止まりというのは納得がいかない。その不当に低評価されている理由とは何だろう。
私が思うに、もしかすると以前の彼は
シンプルに役立たずだったのではないだろうか。かつてレッドベレーとして活動していた彼等の任務は、主に特殊作戦や対ゲリラ戦であったと考えられる。だが彼は、この任務に全く向いていなかった。何故なら、
身体がデカすぎたからだ。
核戦争以前は、まだ銃撃戦がメインの時代。場所を選ばないゲリラ戦では、その場の地形や遮蔽物を活かした立ち回りが求められる。そういった戦闘において、
まるで敵に見つけてくれと言わんがばかりのマッドの巨体は、味方全体を危険に晒しかねないお荷物兵士だったのである。
こうしてマッドは前線部隊から外されることとなった。しかし白兵戦においては無類の強さを誇ったため、新人たちを鍛え上げる教官としての任を拝命。鬼教官として多くの兵士を育て上げる功績を残したが、実戦に投入されることは無く、軍曹から昇進することはなかった。
しかし、文明の滅びと共に、銃の時代も終焉。戦闘がほぼ近接戦のみとなったことで、マッドの兵士としての価値は跳ね上がった。
核戦争によって、彼は時代の寵児となったのだ。GOLANが唱える「神によって選ばれた者達」という自負を、一番強く信じているのが、このマッド軍曹なのかもしれない。