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[第6話]
悪魔の手配書
七つの傷の男を狙え


 サザンクロス。その美しき街並をユリアに見せ、この全てがお前のものだと告げるシン。しかし、それでもユリアの心を掴むことは出来なかった。そして、立て続けにジョーカーから入れられた報は、更にシンの気分を害した。七つの傷の男は生きているというのである。だが、シンに焦りは無かった。この一年でシンが築き上げた、巨大な組織KING軍。その猛者達とケンシロウとの壮絶な戦いが幕を上げようとしていた。

 ケン達はオアシスへとたどり着いていた。水の出る町に人々は集まり、そしてそこは食べ物や情報の交換場所となる。このオアシスもそうして生まれた、今では珍しい程に活気のある町だった。だが、そんな町にも悪の手はしっかりと伸びていた。軍服に身を包んだ男達、ゴッドアーミー。彼らが街中を行進し始めた途端、突如村人達は家の中へと閉じこもってしまったのだ。とその時、道を横断しようとした老婆が転倒。ゴッドアーミーは、お構い無しにその老婆をバイクではねんとするが、その目の前の惨事をケンが見過ごすはずは無かった。華麗な跳躍で老婆を救ったケンは、四散した食料を拾い、老婆へと返却。その場は何事もなく去ったゴッドアーミーであったが、既にこの時、ケンとゴッドアーミーの間には深い因縁が生まれていたのだった。神の軍隊。そう自称するゴッドアーミーは、この町を守るという名目で訪れては、食べ物や女を奪って行くならずもの集団であった。このオアシスもまた、力に支配された哀しき町なのであった。

 町を彷徨うケン達が遭遇したのは、大男ブロウに吹き飛ばされる店のマスター、ジョニーであった。タダで飯を食わせなかったという理不尽な理由で、ジョニーはブロウに殺されかけていたのだ。そしてその光景は、ケンのマネージャーと自負するバットの腕の見せ所でもあった。ケンにそのブロウを倒してもらい、ジョニーから報酬を貰おうと考えたのである。二日分の食糧のために働くことになったケンは、北斗鋼筋分断脚にてブロウの筋力を著しく低下させ、あっという間に決着をつけてしまったのだった。

 店でジョニーから食べ物を受け取っていたその時、先程のゴッドアーミーの警備隊が店へとやって来た。彼らはこのジョニーの店からも、大量の食糧を貢がせていたのだ。とその時、ペルがその警備隊長の靴を舐めてしまった。激怒してペルを蹴り飛ばしたその隊長に、ケンの苛立ちも限界を迎える。ケンの挑発的な態度を受け、決闘を申し込む警備隊。特製のヌンチャクで襲いかかる隊長であったが、所詮ケンの前に敵為しうる存在ではなかった。交首破顔拳にてアッサリと死亡した隊長を抱え、警備隊はそそくさと逃亡するが・・・

 ゴッドアーミーの正体、それは、かつて一人で500人のゲリラを殺せるといわれたレッドベレーの生き残りであった。自分達は神から選ばれた者達だと信じる狂信者の集団だったのだ。そして彼らの首領は、超能力を使う南斗の男だとジョニーは話した。

 神の国、ゴッドランドと名付けられた地で、血の滲む特訓を行うゴッドアーミー達。鬼教官マッド軍曹と、訓練の総指揮をとる少佐の非情な訓練が続く。そんな中、少佐の耳に警備隊長の死亡報告が入れられた。警備隊長の異様な死体に困惑する一同。その時、彼らの前に、巨大な大佐(カーネル)の幻影が現れた。彼こそがこのゴッドアーミーの首領であり、南斗の拳を使う超能力者であった。現れたのはこの男か。そう言ってカーネルの見せた紙に描かれていたのは、紛れもなくケンシロウの顔であった。それは、彼らが神とあがめる男から送られてきた手配書であった。ケンシロウ抹殺の指令を受けた少佐は、闇の中、オアシスへと出陣する・・・

 オアシスへ向かう少佐の部隊。それを、岩陰から見つめる男たちがいた。彼らはオアシスの村人達であった。ゴッドアーミーのやりかたに耐えられなくなった者達が、レジスタンスを結成していたのだ。だが、素人である彼らが、戦闘のプロであるゴッドアーミーに勝てるはずは無かった。不意打ちで放った矢を全て叩き落とされたレジスタンス達は、反撃のナイフ投げによってほぼ全滅。最後に残った二人を少佐が鞭で絞め殺した瞬間、男たちの勇気ある抵抗は潰えたのだった。


 知らせを受けたケンシロウが到着した時、既に村人達は全滅した後であった。無残に殺された人々の死体の山に、怒りを爆発させるケン。ナイフ攻撃をヌンチャクで跳ね返し、雑魚を一掃したケンは、鞭を構える少佐と対峙。突いてきた瞬間お前の体は二つになる。自らの鞭のスピードに自信をのぞかせる少佐。しかし、ケンのスピードは彼の想像を越えていた。とてつもない速さの蹴りを、少佐はただ無防備に喰らうことしか出来なかった。北斗繰筋自在脚。ケンの意思通りに動く体となってしまった少佐は、自らの鞭で、己の首を締め上げて死んだのだった。夜が明けた荒野に残った数限りない死骸の山に、ケンは不幸な時代の哀しみを見るのだった。
放映日:84年11月15日


[漫画版との違い]
・ブロウを退治するイベントと、VS少佐以外はほとんどアニメオリジナル
・GOLAN(ゴラン)がゴッドアーミーに改名。
・バットの要求が、2日分から3日分に。実際に支払われたのは1日半分から2日分に。
・メチルアルコールが最高級の酒に変更。貢ぎ物が少ないとブーたれた警備隊長にプレゼントする。
・原作では村人達は奪われた女を取り戻すために護送車を襲ったが、アニメではケンを倒すために村へと向かう少佐の一団を待ち伏せし、不意打ちした。
・少佐の武器が鋼線から鞭に変更。死に方も首チョンパでなく窒息死。




・無理やり
ケンとゴッドアーミーの因縁のできかたが無理矢理。まず最初のコンタクトは「ゴッドアーミーの行進の前を横切ろうとしたババアが道のど真ん中で転けて轢かれそうになったのをケンが救う」というなんだか変なイベントだ。別にババアは行進が終わるまで待てばいいわけだし・・・無理矢理。それにケンとゴッドアーミー(警備隊)の戦いの起こりも無理矢理。別にケンが何したわけでもないのに「表へ出ろ!」と言って警備隊は武器をかまえるってのは・・・。無理矢理だなあ。
・鋼筋分断脚
筋力低下の様子が鮮明に描かれてるんですが、なんつうかモロに筋肉の十分の九を切断してたいたような・・・痛々しい・・・あれでは働いて喰うだけの筋肉っていうか全く動きませんな


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